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始まりの日
日本。いや日本でもなく他国でもない世界。
俺は今思っている。
どうしてここにいるのか。誰が俺をここに連れてきたのか。この世界でなにをしろと言うのか。
多分今この場所で、この子を見守るためにこの世界に連れてこられ、この子を見守るために生きて来たのだと。
意識が薄れていく中、そう自分に言い聞かせていた。
あの子が叫んでいる。途切れ途切れで聞こえてくる。
目に涙を浮かべ、俺に向かって泣き叫んでる。
『…ない...で』
よく聞こえない。大丈夫、泣かないで。君を泣かせる災厄は俺が受け止めるから!