共通② チンピラ
「えっと、私は凰綺藍。あなたは?」
「僕は鳳<ホウ>墸<チャク>。色々あって旅をしている途中に食料が尽きてしまって、まあ……さっきの状態になったんだ」
「へーじゃあ、とりあえず私も自己紹介。かくかくしかじかで伝説のすごい力を持つ仲間を集めることになっちゃった」
「そうか、伝説の力を持つ仲間を集めるんだね」
「うん。じゃ、早速行こう」
綺藍はチャクと共に街へ入った。
「腹が減ったなあ……」
チャクは空腹をうったえる。
(そういえば、食料が尽きたんだったわね)
「……ならあの店でパオでも食べようか?」
「いいのかい……?出鼻を挫いてごめんよ」
「で、お金はあるの?」「もちろん。多くはないけど、近くに店が無くて食料を買えなかっただけさ」
「ああ……なるほど。」
(たぶん沙漠を歩いていたのね)
二人は店に入る。店主が気前よく出迎える。
「オフタリサーン。もしかしてカップルか?」
「違います。」
「とりあえずパオください」
「私にも」
綺藍はそこまで空腹ではなかったが、ついでに食べることにした。
(なんだか視線を感じるような…?)
綺藍は気のせいだろうと出された料理を食べる。
店を出た二人を、粗野な集団が取り囲んだ。
「なっなによあんたたち!」
「兄ちゃん良さげなモン持ってるじゃねえか、有り金全部出しな!」
「は? そこは『可愛い女連れてんなあ兄ちゃん』でしょーが!!」
「うっせー黙ってろアバズレ!」
「はあ!? あんたたちなんて警吏にすぐボコられるチンピラでしょうが!?」
「テメーら、街中喧嘩はよせ」
「あ? 部外者はすっこんで……あ、アニキ!」
男の登場で、チンピラ集団がサッと道を開ける。
「悪い悪い、俺んとこの子分が因縁つけちまったようだな」
「あなた誰?」
「俺はユンタク。この街では一応、名の通った男だ」
「へーつまりチンピラの纏め役さん?」
「あー!おめぇアニキと口きくなんてずりーぞ!」
「てめーらは黙ってろ!」「うるさいわね!」
――――――
綺藍は人柄の良さそうなユンタクに顛末をかいつまんで話す。
「そりゃ災難だったな、お二人さん」
「そうなんだけど……まあ、相手は王様の関係者だし、やるしかないでしょ」
「これうまいね」
「ほんと、くやしいけどうちの店のより美味しい」
「アンタのとこでも店やってんのか?」
「あ、そうなの。私って茶屋の看板娘なのよ」
「親の手伝いで働き手がアンタ一人しかいないと見たぜ」
「くっ……なぜそれを!」