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第3章 混在

第3章 混在


第1話 多くの者達


 この世界は、多くの者達で溢れかえるようだった。

いくつかの集団が纏まったようだ。

あちこちで、諍いも起きている。

争いも起きている。

宣戦布告をした者もいるようだ。

 それにしても多過ぎる。


 かつての、満員電車を思うようだ。

だが、それは感覚だけだった。

それらは、遠く固まり、そして混在していた。

しかし、異世界に旅立つ者達にとって距離は、ほとんど無関係だ。

 アインの開発した測定器も、ほとんど役に立たない。

アインは、上限値を概算としたより高性能の機器の開発に取り組んだ。


 異世界は、いくつ存在するのだろうか。

現在の我々では、推測すらできない。

この世界の事を知っている存在は、居るのだろうか。


それにしても、能力数値が高過ぎる。

アインの測定器は、ほとんど振り切れる。

だが、中には、能力数値の低い者もいる。

何が、彼らの存在を許しているのだろうか。


 アインは、新測定器を開発した。

それは、テラ単位を概算で求める事ができた。


 それは、「線形を捨てる」最後だった。



第2話 測定


 アインは、彼らの能力値を測定した。

90%以上の者達が、測定できた。

やがて、この『%』も捨てられて行く。


 Tを超える者が、いくつかいる。

我々には、手に負えない。

 能力数値の低い者もいる。

アインの測定器は、Pをいくつかのパラメーターに分割できるようになった。

P=P1×P2×P3。

アインにパラメーターの個数は、未だ確定できない。

概略で予測した3つのパラメーターが測定できるだけだった。

 能力数値の低い者は、この3つのパラメーターが偏っていた。

3つのパラメーターの内、1つが異常に高い。

そして、他の2つのパラメーターは、異常に低い。

 能力数値の高い者は、3つのパラメーターが平均的に高い。

やはり、Pは、非線形の姿をとるのだ。


 Pが低い者は、特異な能力を持つ事が予測される。

それが何かは、解らない。

関数に影響しているのだろうか。

Pが低い者は、突出した1つのパラメーターを持つ。

それが、彼らを生き残らせているのだ。


 いずれにしろ、我々の手には負えない。



第3話 7つの縛り


 彼らは、集団を作り、壊し、そしてまた、作って行く。

その過程で、複数の集団が7つの縛りを得たようだ。

この世界の中で、いくつもの世界の者が混在する。

異世界の住人の博物館だ。


 我々は、傍観するしかない。

能力に開きがあり過ぎる。


 元の世界に戻る者達も出てきた。

諦めたのか。

任せたのか。

そうなのだ。

彼らにとっての目的は、争いではない。

自分達の世界の安全なのだ。


 集団が、3つになった。

それぞれが、いくつかの縛りを持っている。


 1つの集団が、我々に接触してきた。



第4話 1つの集団


 その集団は、鎮也達が持つ3つの縛りを嗅ぎ付けた。

強引に、そしてなだめる様に要求する。

「その3つの縛りを渡せ」


鎮也達には、為す術がない。

彼らの能力値は、鎮也達のそれを百万倍以上、上回っている。


 鎮也は言った。

「少しだけ。

ほんの少しだけ、時間をくれ」

「急ぐのだ。

我々の世界に脅威が迫っている」


 完全に目覚めたレオは、1つの方法に頼るしかなかった。

それは、未だ、実証されていない。

「贈り物を信じよう」


 リーは、完全に覚醒していた。

「強制の転送」を完全に手に入れていた。

早い。

突然変異が始まってから、完全に目覚めるまでの時間が異常に早いのだ。

転生者の特性なのだろうか。


 リーは、その集団に能力をぶつけた。

その集団は、ブロックできなかった。

その集団は、元の世界に転送された。


 2つの縛りだけが、残った。



第5話 リー


 リーの能力の説明がつかない。

アインは、自分の式を放棄しようとさえ思った。


 アインは、諦めが悪かった。

「何かがあるはずだ」


 アインは、僅かだが可能性を見つけた。

「関数を一時的に交換したのだ。

おそらく、その関数は、指数関数だ」


 関数の謎は、深まるだけだ。

しかし、可能性はそれしかない。

アインが自分の式を捨てない限りには、その可能性しかない。


「指数が入り込むと、確率は、概念しか残らない。

%も意味を実質的に失う。

非線形と指数か。

やっかいだ」


 もう一つの集団が接触してきた。

リーの餌食になった。


 また、2つの縛りを得た。



第6話 指数関数を持つ集団


 その集団の中にも、指数関数を持つ者がいた。

リーの能力が打ち消される。


 レオにも対策が見つからない。

アインは、自分の思考の中に閉じ籠っている。


 レオが言った。

「ロバート。

何とかしろ。

お前も転生者だろう」


 しかし、ロバートも自分の能力が何なのか知らない。

だが、完全に覚醒していた。

自分で気付かない内に覚醒していた。


 リーと同期した。

「連動の射撃」が威力を発揮した。

リーの指数関数が、連射される。

その集団は、連射の速度に付いていけない。


 その集団は、元の世界に戻った。


 3つの縛りを得た。

これで、10の縛りを得た。


 これで、この世界に残る生命体は、獣人だけとなった。


ロバートの能力は、周波数を指数的に上げるものだった。

しかし、仕事を終えたリーとロバートは3日寝込んだ。



第7話 指数関数


 混在していた世界は、静かになった。

まるで、平穏になったようだ。

しかし、それが錯覚なのは、皆知っていた。


 アインは、考察していた。

「解らない事が、2つある。

自分の推測は、当たっていると思う。

1つ目は、一時的とはいえ、自分の関数を交換できるのは、何故だ。

2つ目は、指数関数は周期を持たない。

値は、上方に突き抜けてしまう。

そして、べき乗によって速度を変える。

3つ目があった。

どうやって、元の関数に戻すのだ。

それが、あの眠りと関係しているのか。

1つ目と3つ目が解れば、2つ目は考慮しなくてもよい。

だが、解らない」


 そこに現実があるだけだった。



第8話 非線形


 アインは、Pのパラメーター3つについて考えていた。

皆の、パラメーターを測定したいと思った。

 だが、無意味な事を覚った。

皆の値は、ここにいた異世界の者達と違って小さ過ぎるのだ。


 アインは、推測するしかなかった。

「関数に影響するのは、Pの1部のパラメーターだけなのだ。

Pがいくら大きくても関数が働かなければ、無意味なのだ。

Pもcも助数なのだ。

vは、もっと離れたものだ。

本質は、関数だ。

関数が、その者の本質を決める。

感覚は、指紋と同じだ。

関数は、成長しているように見える。

指紋とは、性質が違う。

関数は直接測定できない。

ならば、Pを詳しく分割したらどうだろう。

Pは、非線形の姿を持ち、そのPnが関数に影響を与えているようだ。

Pを浮き彫りにさせよう」


 アインは、Pの考察に入った。



第9話 ワームホール


 この世界に来た者達は、ワームホールを通ってやって来た。

ワームホールを閉じなければならない。


 作業は、新和とサムが行った。

作業は、単純だ。

この世界の空間は薄い。

そして酷く脆い。

しかし、量が多い。

果てしなく多い。

この作業を終わらせるのは、不可能に思えた。


 新和が突然変異を起こした。

「無数の結界」を手に入れた。

同時に無数の結界を張る事ができた。

その数は、新和にも数えられなかった。

しかし、自分の張った結界だ。

全ての結界を感じる事はできた。

威力は、それほど上がっていないらしい。

能力値を測定した。

P=2Mp,c=23p,f=163MsHz,s=20Mv


ワームホールは、全て閉じられた。

これで、他の異世界からの侵入者はいなくなるはずだ。



第10話 全ての縛り


 11個目の縛りは、獣人の存在そのものに関係しているらしい。

彼らが、この世界で生存できる理由が解らなかった。

彼らは、他の世界から連れて来られたらしい。


 12個目の縛りも発見できた。

それは、巨大なエネルギーを持っていた。

測定もできない。

近寄る事もできない。


 レオは、言った。

「方法は、1つだけだ。

獣人の秘密を得る事だ。

獣人の秘密を得ると、12個目の手掛かりが得られるかもしれない。

順番がたいせつだ」


 アインは、「はっ」とした。

「順番?」


 アインは何かに気付いた。

「式だけでは、ないのだ。

順番も必要なのだ」


 アインの思考はここで止まった。

未だ、先の事なのだ。



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