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第2章 異世界の者達

第2章 異世界の者達


第1話 防御(1)


 アインの考察が、始まっていた。

彼が、こうなると、周りからコンタクトはとれない。

彼は、思考の渦にでも巻き込まれているのだろうか。

「思考は、ブロックできている。

幸は、能力を持っている。

どう繋げればいいのだ」


「贈り物の正体は何なのだ」


 アインは、幸に言い寄っていた。

彼は、幸を口説いていた。

「調べさせてくれ」

 幸は、協力したかった。

「でも、嫌」


 1つだけ、解っている事があった。

「能力数値は、直接関係ないのだ」


負の世界では、本能と同じようにブロックが産まれると言う。

では、ブロックと本能が関係しているのか。


幸はマリヤと同じくらい優しい。

しかし、幸は、悪戯好きでもあった。

無邪気なのだった。


アインは思った。

「無意識の意識か?」



第2話 第2の「縛り」


 獣人が、この世界に存在する理由は何なのだろうか。

彼らは、何を原動力に生きているのだろうか。

我々は、この世界で、僅か0.02秒しか生きている事ができない。


 アリスが、第2の縛りを感知した。

それは、ある獣人の体内にあるようだ。

その獣人は、他の者と同じに見えた。

アリスでなければ、見分けが付かなかっただろう。


 アリスは、その獣人を調べ上げた。

解った。

その縛りは「感覚」だった。

予測されるのは、その獣人を攻撃した時、全ての獣人を敵に回す事だ。

攻撃か否かを判断するのは、獣人だ。

我々ではない。


 レオが能力を開花させ始めていた。

「感覚なら分割波を返さなければ、獣人は気付かないのではないか」

確かに、それならば、獣人は違和感を覚えるだけで済むだろう。

しかし、今、その技術はない。


 イズミは、ムーに戻った。

アインは、負の世界に行った。



第3話 負の世界


 それは、負の世界の科学者を唸らせた。

可能かもしれないし、不可能かもしれない。

彼らは、分割波の持つ速度を計測した事がない。

いや、できなかったのだ。

速過ぎるのだ。

何に対して速いのかさえ解らない。

ただ、速度が計測出来て、その分割波を遮断する方法を見つければ可能だ。

今まで、負の世界の科学者は、反射してくる分割波を捕える事しかできなかった。


 アインの考察が始まった。

「分割波の速度は、親となる感覚波の周期より2倍以上速くなければならない。

そうでなければ、感覚波は、反射してくる分割波を捕えられない。

君達の分割波を捕える方法を知りたい」

「我々は、周期の違う波を複数出して、その位相差から計測している。

分割波の振幅は、小さいので自動で調整できる」


 アインは、悩んだ。

「その方法もあったか。

逆に可能性が膨らんで複雑になってしまった。

そうだ。

レオに相談しよう」


 アインは、レオに経過を説明した。

レオは、事象や問題点がはっきりすると、異常なくらい解決手段を見つけるのが速い。

「攻略の糸線」は、その時は未だ、完全に目覚めてはいなかった。

しかし、

「簡単だ。

対消滅させればいい」


 アインは、単純過ぎる答えに唸った。

負の世界では、精神エネルギーの対消滅の技術が進んでいる。

分割波は、単純だ。

種類も少ない。


 攻略の糸口が見つかった。



第4話 その獣人


 アリスは、その獣人の分割波を盗んだ。

簡単だった。

彼らは、パワーだけが抜きんでているのだ。

ブロックは、できていないようだ。


 その獣人に合わせて、分割波の対消滅装置が調整された。

その獣人は、違和感を覚えたかもしれない。

だが、攻撃されたとは、感じていないようだ。

これで、感覚波を捕えれば終わりだ。

2つ目の縛りが、手に入る。


 感覚波本体の関数は、負の世界でもはっきりしていない。

解っているのは、それが指紋と同じように個体差を持っている、という事だけだ。


 アリスには、感知できた。

ブロックしていない対象者から感覚波を盗むのは、容易だった。

アリスは、2つ目の縛りを得た。

それは、開いた皆に瞬時に伝わった。


 2つ目も手に入れた。



第5話 防御(2)


 アインは、ヒントを得ていた。

「ブロックは、対消滅に近い事をしているのではないだろうか。

だが、攻撃する精神波の振幅が大きいと対処できない。

少しでも大きいと対処できない。

それが、大き過ぎる相手を防御できないのは、解る。

どのように大きい振幅に対処しているのだろうか」


 アインは悩んだ。

「解った。

完全に対消滅させる必要は、ないのだ。

振幅を減じればいいのだ。

そして、波を閉じ込めてもいい。

しかし、それはどうやったら出来るのだろう」


 アインは、幸の事を思い出していた。

「ブロックは、意識がするのだ。

無意識の意識がするのだ。

防衛本能なのだ。

我々は、それに気付けないだけだ。

幸は無邪気だ。

彼女は、無意識の意識に目覚めたのだ」


 他の者は、それに気付くしかない。



第6話 第3の縛り


 それは、狭間にあると言う。

この世界と他の世界の狭間にあると言う。

この世界は、空間が薄い。

 僅かにこの世界よりの狭間にそれはある。


 空間を破った瞬間に何が起きるか予測できない。

我々を含めた多くの者達に悲劇が訪れる事は予測できる。


 この世界の構造を、もっとよく知らなければならない。


 この世界は、直ぐ消滅する運命にあった。

必然の運命だった。

この世界が絶対零度なのは、最初の爆発の時、絶対エネルギー量が少なかったせいだ。


その消滅を救った者達がいる。

救ってはいけないものを救った。

この世界は、他の世界の脅威だ。

それを知らない世界も多く存在する。

知っている者達も存在する。

我々は、知っている者達の頼みで、この世界に来た。


「ここの空間は、何で、構成されているのだ。

重力子と斥力子が存在できるはずがない。

検出もされていない。

我々の世界には、それは、何処にでも充満しているのに」


 アインは、解らなくなっていた。


「だが、法則は必ず存在するはずだ」



第7話 空間


 この世界の空間は、波の対消滅で形作られていた。

ここの波は、小さい。

我々の世界のMIN波と同じくらい小さい。

その対消滅で出来る空間だから、薄いはずだ。


 本来なら空間が、出来る前に消滅しているはずだ。

その時間は、ゼロに限りなく小さい時間だったはずだ。


 その消滅を維持している法則か機能があるはずだ。


 アインは、レオに訊ねていた。

「解るか」

「もう少しだと思うが」


 レオが、完全に目覚めた。

「攻略の糸線」を完全に得たのだ。

「法則も機能も解らない。

それは、他の者の仕事だ。

俺に解るのは、どうやって縛りを得るか、だけだ」

「どうするのだ」

「新和とサムに誘導させる」

「しかし、新和もサムもこの世界のものを掴めない。

そうか。

誘導とはそういう事か」


 新和が動くとこの世界のものも動く。

 サムが動くとこの世界のものも動く。

空間系の能力者は、この世界のものに触れる事が出来ない。

異質の空間なのだ。

空間が空間に影響を与える。


 彼らに2方向から、遠回りで、狭間の更に外側に移動させた。

その時間は、0.001秒だ。


 縛りが内側に移動した。

何回か繰り返すとそれは、狭間から遠く離れた。


 3つ目の縛りを得た。



第8話 異世界から


 その者達は、巨大だった。

アインが、負の世界で開発した測定器を簡単に振り切る者達がいる。

彼らは、ワームホールを通りこの世界にきたようだ。

 この世界の存在を知った。

そして、脅威を感じた。

その調査にきたのだった。


 複数の集団がいた。

その集団は、協力し合うものと、闘うものに分かれた。

 集団ごとに持つ基準が違うのだ。

基準が違うと、最初違和感を覚える。

そして、それが必然なのか、誤解なのか、争いに発展する。

 協力しているように見えても、妥協しているだけなのかもしれない。


鎮也達は、知っている。

過去の自分達の世界がそうだった事を知っている。

 鎮也達の先駆者だったミチヤ達は、物質欲、支配欲を捨てた。

いや、人類にそれを求めた。

そして、願いと望みを持つ事を求めた。


 だが、それも1つの基準なのだ。

鎮也達は、仲裁に入れない。

力も及ばない。

基準も及ばない。


 鎮也達は、その者達とコンタクトをとるため、ムーに戻った。



第9話 その者達


「我々は、勧告した。

あの世界に介入してはいけない、と。

我々は、強制的に介入を止める権利を貰っていない。

誰に?

それは、いつかの機会に話そう。

また、贈り物をやろう。

お前達は、お前達の道を歩くのだ」


 リーもロバートも未だ3才だ。

しかし、少年と言ってもいい年頃に感じられる。

実戦には、参加させていなかった。

だが、リーもロバートも経験を得ていた。


 経験は、能力数値とは関係なさそうだ。

アインの測定装置がそれを告げている。


 だが、経験は感覚として伝わってくる。

アインの式だけでは、能力は測れないのか。

現実と式が食い違う。


 だが、アインはそれを認めていた。


「式は、方向を示すだけなのだ」



第10話 突然変異


 贈り物が届けられた。


 リーの突然変異が始まった。

リーは、転送者だ。

空間系に属する。

「強制の転送」を手に入れた。

能力値に関係なく、対象者を強制的に異世界に転送できる。

対象者が知っている異世界に転送される。

リーには、それが何処かは、解らなかった。

能力値を測定した。

P=19Mp,c=16p,f=9MsHz,s=1Mv


 ロバートの突然変異も始まった。

ロバートは、指揮者だ。

彼の属する系は不明だ。

「連動の射撃」を手に入れた。

この能力は不明だ。

ただ、その者達がそう告げた。

能力値を測定した。

P=2Mp,c=18p,f=12MsHz,s=15Mv


 関数が、経験と関係しているのならば、

関数は、永遠に解明できないだろう。



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