夢
夢です。はい、夢。
目が覚めた。
―――覚めているのか?
眼前には、目を瞑った時と同じ光景が広がっている。
しかし、暗い、とは言い難い感覚に襲われる。
強いて言うならば、何も無い―――。
ここは、どこだろう。
「――……が……だ!」
どこからか誰かの声がする。人がいるのだろうか。聞き慣れているような気もする。
どうやって移動すればいいのか分からない。
声の方へ近づこうとした。足の感覚も無いが、動けていることは分かった。
だんだんと声の主の正体が見えてきた―――。
え……?あれは、まさか―――。
「だから言っているでしょう?それは無理だって……、燐夜君」
俺だ。
二人いる中の片方は姿も声もぼやけていて誰だかわからないが、
もう片方は、確実に、絶対的に俺だ。
声も姿も俺だが―――だが、俺はあんなに髪が赤かったっけ。
いや、見た感じ少しだけ幼い。恐らく中学時代辺りの俺だとは思うが……、
赤に染めた覚えは全くない。生まれてこの方ずっと紫だ。
―――中学時代。
俺は、普通な世界で普通の生活を普通に過ごしていたはずだ。
平凡で、通常で、たまに小さく驚愕や感動をするような、そんな日常を繰り返してきた。
友達を作り、笑い、そして、衿とも。
ここで、俺は見るのをやめるべきだった。
しかし―――この目で信じられないことが起きたのを見てしまったのだ。
「くっそ、手前……!覚悟しろ!」
そう、『俺』が叫んだかと思うと即座に、
髪の毛の色が、赤から蒼に変化した。
「ほう……戦うことを選びましたか。勇敢と言うべきか、いささか悩みますね……」
その『影』の手には、カードのような物が握られていた。
「しかし、既に君はゲームオーバーですよ、燐夜君―――」
「なっ……!―――」
「さようなら」
―――天井だ。
ここは俺の部屋で、間違いない。俺の意識は現実へと引き戻されていた。
時計は午前四時過ぎ辺りを指している。
そして、さっきまで見ていた夢のことに思いを馳せる―――
「あれ……。俺、どんな夢見てたっけ?」
色々あって遅れてしまったーー!!、次はもっとはやく投稿したいです