【2-3】俺の願い、叶った?【stageⅢ】
ついに・・・・
あの後、漣君は月が顔を出し始める頃くらいまで語りそうな勢いだったので、俺と衿が流石に焦って止めた。
あいつどんだけ語りたかったんだよ……下校の波なんかもうとっくに過ぎちまったじゃねえか。
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――さて、俺の前には今、袋がある。
衿と帰っている途中、ゲーム屋に寄って購入した物が中に入っている。
『うきどきライフ~俺たちの恋愛はこれからだ!?~』、か……。
本当にこれ、面白いんだろうか?話を聞いた限りでは神ゲーの予感がしたけど……ええい、百聞は一見に如かず!考えていてもしょうがない。
俺は無造作に袋を破り捨てた。
――買うときにも見たが、やはり表紙は良いな。
パッケージは、学生服を纏った女子達のイラストだった。
「よし、やるか」
別に誰に言ったわけでもなく、部屋で独りごちる。
そして、中からCD-ROMを取り出し、ゲーム機に入れた。
やがて始まるオープニング。女の子がタイトルを読み上げた。
そして、脳内に何かがよぎった気がした。
――まてよ?
ゲーム。今まで、俺はゲームに関して何か起きなかったか?
普通のことではない。ゲーム内のことでもない。何かもっと大きな―――
そうだ。
プロミネンスソード。アクアリングソード、プラズマ。
あれらを、俺は『取り出す』ことが出来た。
それは、あのゲームにだけ、限られたことなのか?
例えば、この恋愛ゲーム。
もしかしたら―――。
震える手でコントローラーを操作し、キャラ紹介の画面へ行く。
そして、震える声で言った。
「この娘、『リム』が、『欲しい』。いや、『会いたい』―――」
刹那、必然のようにTV画面が光り――
「――おいおい、本当に成功しちまったのか?これ――」
気が付けば、まるでゲームのキャラクターのような美少女が、そこにはいた。
青く透き通った髪を靡かせて・・・・『リム』が。
「やっほー!こんにちわー!…って、アレ?ここどこ?」
「……わぉ……。」
それは歓喜の声ではなかった。
やっと、やっとですね。はい。