【2-1】俺の願い、叶った?【stageⅠ】
別の形で展開していきます
―――この奇妙な現象について、粗方の法則性は分かった。
だが、判断材料がまだ少ない。もう少しだけ確定するのには時間がかかりそうだ。
だが、俺は一体この奇天烈能力の法則性を掴んでどうするつもりなんだ?
―――考えていても仕方がない気がした。いずれ解るさ。
「まぁいいや、遊ぼ」
土曜日の朝っぱら開口一番に放った言葉はそれだった。
試しに昨日『呼んだ』アクアリングソードを窓から思い切り振ってみた。
予想以上に重くて手こずったが、剣は光と共に衝撃波を放った。
遠くの山へと飛んでいき、土煙がたっている。木々が何本か倒れているようだ。
「ハハハハ……」
わぁ、強いなぁ……。
RRRRRRR!!
一階にある電話機が受信を訴えている。
時刻はまだ午前8時あたりだ。こんな朝早くに誰が……?
下に降りて、受話器をとった。
「もしもし」
「リーンくーん!!」
げっ。
と、思わず受話器を定位置に叩き戻しそうになったがなんとか耐え、もう一度耳に当てる。
「な、なんだ衿か」
「……今、電話切ろうとしなかった?」
「してないしてない」
なんて察しが良いのだろうか、この娘は。
「んで、用はなんだよ、こんな朝早くから」
「いやね、リンくんと遊ぼうと思って」
……はい?
「え?何驚いてるの?いつものことじゃない」
息を呑む音が聞こえたのかは知らないが、そんなことを聞いてくる。
いや、確かに学校が無い日は大抵家にいて、まぁ衿から電話が掛かってきて遊ぶということはある。し、やぶさかではない。
が、今は事情が事情だ。この真っ青に煌めく剣を見られたらどう弁解すればいいのかわからない。
何とかして断らねば。
「……えぇっとぉ、俺、今日ちょっと調子が悪いんだなぁ実は」
当然調子なぞ悪くない。絶好調だ。
「えぇ!?どうしたの?大丈夫なの?」
予想以上に心配された、これはマズイかもしれない。
「え、えぇっと……大丈夫だようん」
「なら遊べるね」
まじか……。
―――――――――――――――――
衿が俺の家に到着したのは、それから20分程後のことだった。
ちなみに例の剣はあらかじめ隠しておいてある。
「よ、よぉ、衿」
「うん?どうかしたのリンくん」
「いや、なんでもないけど……」
今日の衿は、白黒ボーダーのTシャツに黒いスカートがくっついているような、ワンピースを着ていた。
髪は後ろで一つに纏めて、前髪は黄色いピンで留めてある。
似合うぜ畜生。
「あれ、リンくん部屋掃除した?やけに綺麗だけど」
と、衿が不意にそんなことを言うので、つい動揺してしまった。
「お、俺も掃除くらいたまにはするわ!舐めんな!」
「もしかしてリンくん……なんか隠してない?」
まずい、これは非常にまずいぞ。
「……そ、そういえばハイチュウ買ったんだけど食う?」
「食べる!」
よっしゃぁ!話逸らせた!ハイチュウありがとう!
小さい頃から、こいつはハイチュウとかそこら辺のお菓子が大好物だった。
特にハイチュウに関しては、三食のメシより好きらしい。(本人談)
下からハイチュウをとってきて、二人で食べた。(ほとんど衿に食べられたが)
その後、結局夕方近くまでゲームしたりトランプとかしたりして遊んだ。
俺は衿を家まで送って、(すぐ近くのくせに送ってと連呼するので)部屋に帰っていたのだが。
「……アクアリングソードが無くなっているな……」
このことも、今なら必然と言えるな。
「さぁ、遊ぼうか。この『能力』で」
なかなか、物語の本筋にはいれないどうしようか