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旅立ち

調教師デビューから15年、ついに巡り逢った日本競馬界の至宝と世界一へ挑む!

2028年9月某日、私たちはパリへと飛び立った!何を隠そう私は調教師としての長年の夢である凱旋門賞へのチケットを手にしたのだ。今回私にチャンスをもたらしてくれたのはスターリークラウドという父コントレイルの牡馬だ。怪我の影響で3歳早春にデビューしてそこからじっくり使い4歳の初めにAJCCアメリカジョッキークラブカップを制覇、そこから大阪杯、天皇賞(春)、宝塚記念と無敗で春古馬三冠を達成した、いわば日本のエース的存在だ。今回の凱旋門賞参戦に当たっての不安点と言えば9割は馬場。残りの1割は初海外という事で元からあまり体の強い馬でも無いので体調面の心配が残る。体調面についてはそこをしっかり万全の状態でレースに送り出すのが調教師の腕の見せ所。渡航3ヶ月前からプランを入念に組み、起こりうるトラブルをリストアップ。そしてその解決策についても全て検討した。現地でも毎日3回ベテラン獣医のメディカルチェックを受けられる手筈となっている。馬場適正の方についてだが、スターリークラウドは母が欧州血統なのでなんとか対応してくれているのでは無いかと考えている。それに加え、当馬は新馬戦をダートの不良馬場で大差勝ちしているので余りに酷くなりすぎない限りは大丈夫だと考えている。そんなこんなで世間から見ると目立つ不安要素もなく、現地ブックメーカーのオッズでは4.5倍の二番人気に押されている。え、一番人気はどんな馬かって?

凱旋門賞の推定、というか確実に一番人気の馬はゴルムマクティーラ。父Saxon Warriorで、つまりディープインパクトの孫という血統。母は愛オークス馬という超が12個付くレベルの良血だ。彼は3歳時に2000ギニー、エプソムダービー、セントレジャーを制したイギリス三冠馬。4歳シーズンの今年は既に、ドバイSC、PoWステークス、英インターナショナルSを圧勝している。圧勝しているという言葉で形容してもいいのかすら分からないレベルだが‥。レーティングは暫定140。名実ともに世界競馬史上類を見ないレベルの最強馬だ。彼は今年の凱旋門賞をラストランに選択した。ラストランということもありオッズはとんでも無いことになっている。どのブックメーカーでも1.00倍。おそらく日本で発売が始まっても1.00倍になるだろう‥。そのレベルの馬がライバルに居るという事が意味するのは、スターリークラウドは彼を超え、さらに向こうへ行かなくては栄光は掴み取れないという事。こんなふうに憂いていても仕方がない!と自らを奮起させたところで、飛行機はシャルル・ド・ゴール空港に到着した。

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