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名を失った巫女は、夜の守護神に拾われる  作者: 絹ごし春雨


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3/5

三話

 夜は未だ眠れない。


過去の傷は胸をちくちく刺し続ける。


抜けない棘のようだ。


私は毎夜、ヴァル様の元で泣いた。


彼は、いつも何も聞かず、側にいてくれた。



「神獣様は、お優しいですよね」


ある日、ぽつりと言った。


「優しい?」


意外そうに眉を跳ね上げるから、私はなぜかそれを見て胸がきゅっとなった。


「私、もう泣くのやめようと思うんです。最後に……私の過去を聞いてもらうことは、出来ませんか?」


断られるかもしれない。神獣様にはどうでもいいことだ。でも、この方なら。この方に聞いていただけたなら、前に進める気がした。


「……聞こう」


穏やかに、あんまり優しい声が降るから、また涙ぐみそうになる。


「私、しっかりしてるって言われて婚約解消されちゃったんです。婚約破棄された妹が可哀想だから、婚約者を譲りなさいって」


ヴァル様は、よくわからないという顔をした。

それを見て、久しぶりに笑顔になる。


やっぱり、私はおかしくない。

おかしいのは、家族の方じゃないか。


「ふふ。おかしいですよね」


「……人間は、よく分からないな」


ですよね、と頷く。

心が軽くなった。


ああ、そうか。

私は憐れまれたかったわけじゃない。

ただ、共感して欲しかったんだ。


わかった瞬間、また、神獣様に真摯にお仕えしようと気持ちが立ち上がる。


ふと、神獣様の人の手が、私の頭に触れた。

ゆっくりと撫でられる。


気持ちいい。

思わず戸惑うと。


「人間は、こうして人を労るのだろう。違うか?」


「……合ってます」


思わず体温が上がる。

顔は赤いかもしれない。


ドキドキしてきた。胸が罪悪感で潰れそうだ。

どうしよう。神獣様に、ときめいて、しまっている。

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