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宇宙放浪者ヘドロ!  作者: 村上さゞれ
第2章 監獄衛星タイタン編

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11_死刑執行(ボルガ所長自らやるみたいです)


「素晴らしい銃だとは思わないか?」

「…………」

「何の戦術的優位タクティカルアドバンテージもない彫刻エングレーブがされた銃……そうそう、たしか地球という星のコルト社が開発したシングルアクションアーミーというらしい。45口径モデルのこれはピースメーカーと呼ばれていたとか。平和を作る象徴なんだと」


 その瞬間、つんざくような銃声が鳴り、ボルガ所長の持っていた回転式拳銃から硝煙しょうえんが漂う。ケルゲレン大監獄の地下深くにある第7処刑ブロックに、どさり――と死刑囚が床に倒れる音が響く。麻袋を被せられた頭部から、どくどくと血が濃密な染みとなってフロアに広がっていく。

 周囲は冷たいコンクリートと錆びついた鉄骨で構成され、黄色い裸電球だけが部屋を照らしている。部屋の中にはまだ五人、死刑囚が両膝立ちで処刑の瞬間を待っていた。


「ワシはな、キルレートを稼ぐのが生きがいなんじゃ」


 ドン、ドン――と銃声が鳴り、さらに二人の死刑囚が死亡する。

 だが、死刑囚たちは小さく呼吸を整える以外、一切の抵抗を見せない。もはや恐怖も絶望も通り越した、悟りの境地のような静寂が彼らの周りにはあった。


「きっと死んだとき、目の前にリザルト画面が出てきて、ハイスコアなら何か特典があると思うんじゃよ。ワシは今まで小動物から犬猫、家畜動物の殺処分も喜んでやってきたが、やはり人型をしている生き物を殺すのが一番経験値が入る気がする。……そうは思わないかね?」

「はっ……は! そう思います!」


 ドン、ドン、ドン――と続けて三人の死刑囚の頭部から血が漏れだしたところで弾切れになり、すべての死刑囚を処刑し終えたことで、ボルガ所長は他者の命を奪ったという感覚に酔いれる。


「ああ、イイ! この命を奪っている感覚……これこそがワシの魂のレートを上げてくれる。組織に首輪はつけられているが、やはり合法的に殺しができるのはイイ。とくに一方的に殺せるというのがたまらない。……さて、次の処刑はいつかね」

「はっ、脱走した宙賊が裁判所で死刑判決を出されれば、すぐにでも送られてくると思います」

「ふむ、なら当分は先か。……仕方ない。それまでは子どもをなぶって遊ぶとしよう」


 ボルガ所長が弾切れの銃を、黒服が開けて差し出していたアタッシュケースに置くと、立ち会いの医師たちが一糸乱れぬ動作で敬礼を捧げる。

 すべてが完璧だった。

 所長にとって、死刑執行はこれ以上ない娯楽だった。


「やはり……この星系で生まれた人間は、この星系で作られた銃で処刑するに限るな。はははは!」


 しかし、所長の首筋――うなじには赤く点滅する光が三つあった。

 それが上層部によって、組織に歯向かったものを自動で削除するための爆弾であることは明らかだった。



短ァ~、1000文字しかなくてすみません。

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