第一審 遺伝子レベルで超えられない才能の壁
テン、
「ではこれより、ガリレオ・ガリレイを死刑にするための逆転裁判を執り行います‼」
「弁護側、準備完了しております‼」
「検察側、同様だ」
裁判長の宣言に、弁護士ナル・フォードと検事ミッツ・ルギーが応える。どこかで見たような奴らだ。
「あわわわわ」
ガリレオ・ガリレイはゴミのように糞チビる。湿っぽい法廷の湿度が増していく。
「ガリレイさん、動いてるのはテン、ですか‼ チ。ですか‼」
何故テンには読点なのだろうか。などという疑問は今はどうでもいい。ここはテン、と答えなければならない。チ。と答えた時点でチ。に出てきた地動説論者のような目に遭わされる、とチ。の愛読者のガリレイは感じ取っていた。
「テン、です‼ テン、‼」
「何故読点なんですか‼」
「そこ⁉」
いや、お前も付けていただろう‼ などとツッコんでいる場合ではない。心証は最悪に近い。
「もう死刑にしましょう」
「検察側もそう思う」
「弁護側も、特に異論はありません!」
ナル・フォード‼ お前だけは食い下がれよ‼ などと言っている場合ではない。ヤバい。このままではガチで死ぬ。
「いや、動いているのはテン、ですよ‼ チ。は駄作ですよ‼」
「アニメ化したのに?」
「ツイッターでも人気だったぞ?」
「いや、今はXです!」
「ぐぐ……」
ナル・フォードがよく分からないところでミッツ・ルギーを追い詰める。よし、いつもの逆転裁判みたいな流れになってきた。
「何をしているの、ミッツ! 早くガリレイを仕留めなさい!」
カルラ・レイ検事も召喚された。やはり門倉翼の推しだけあり、無理矢理の友情出演だ。
「実に面白い‼」
「何がですか!」
「いや、ちょっと言ってみたくて」
ガリレイは言ってみたくなって自身の名台詞を放つ。いや、実はガリレイの名言ではなく、ガリレオの名言だ。ガリレオとガリレイでは、遺伝子レベルで超えられない才能の壁がある。
チ。