戦闘指南
突然、奔るノイズに起こされる廻。気が付くと、あのカイザリオンに乗っている状態だった。ベッドで寝間着姿でいたはずが、ちゃんとした服を着ている。
「お前の仕業か?」
カイザリオンに問う廻。肯定の意を返すカイザリオンに、ため息をつく。
「協力はするからさ、事情を話せよ事情を」
『敵が来る。主の力がいる』
それだけか、と思うが、それがこいつなりの想いやりなのだろう。そもそもこいつは機械なのだと、ベルナールの会話より思い出す。
見渡す世界は何もない、荒廃した台地であった。そこに現れる次元の揺らぎ。揺らぐ世界に現れたのは昨日の敵だ。しかも今度は8体。
「勝てる気がしない…」
昨日も2体だったがてこずった。これもヤバいのではないか、廻の本能が告げる。
「いけないなぁ、弱腰じゃぁ」
聞き覚えのある、声。それはベルナールの声だった。ベルナールは奴らの後ろより現れた。そのベルナールは灰色の巨人の掌に乗っている。巨大な碇を背負う、一つ目の巨人。
「僕がリードしてあげるから、やってみなよ」
突然消えるベルナール。おそらく乗り込んだのだろう。ただ一つの目を赤々と光らせてその背負う怒りを片手で持つ。
「行くぞ、マッシヴ」
ベルナールの声。そして、大きくその手の怒りを振り上げる巨人。
「クェーク・アンカー!!!」
それは大地を切り裂く。敵は後退する。そして、その隙にカイザリオンによる巨人。
「やぁ、無事かい?」
「・・・あなたは何者なんですか?」
「君の助けをするんだ、そういうことを聞くべきではないなぁ」
そして、真面目な声音になるベルナール。
「さて、では軽く教えておく。カイザリオンの武器は主にその両腕のカイゼルブレードとギャザッシュカノンのみだ。だが、カノンはエネルギーを多く使い、連射は不可能。よって格闘戦主体になる」
廻はカイザリオンのブレードを出す。粒子ビームの刃が両腕より出る。
「僕が前の二機を倒すから、踏み込んで一機葬ってね」
三機で固まっていた敵を見て言うベルナール。
「それじゃあぁ、行くぞ!!」
驚くほどの速さで接近する灰色の巨人。遅れまいと、カイザリオンを走らせる。手にした碇を振り下ろし、胴を二分される二機。追いついた廻は残りの一機の懐に踏み込み、その肉を切り裂く。
「いいよ、その調子だ」
近づいてきた一機を両断する巨人。
「じゃ、僕はこれで」
廻が振り向いた頃にはもういない。やけくそ気味に廻が叫んだ。その間にも近寄る四つの機影。
「しかたない、行くぞカイザリオン!」
『了解した』
まず一番近い機体を切り裂く。次に両サイドから来る敵の首を落とす。そして残りもその首を落とす。そう連想し、集中する廻。予想通りの行動をする敵の腹部に両腕を突き出し、切り裂く。視界の両側から来る敵を回転して首を落とす。残りの一機。勢いのまま、斬り倒す。その首が宙を舞う。
「・・・敵は?」
『もう存在しない。元の場所に転送する、主よ』
「その前に、次からは事前に知らせてくれ」
『御意』
ベルナールと、巨人は去ったカイザリオンのいた大地に立っていた。そのベルナールの前に次元の歪みが現れる。そしてそこから現れる夜剣奏。
「何をしているんだ?」
ベルナールに問う奏。肩を上げて、さぁと言うベルナール。
「どーもねぇ、彼を見ていると、あいつを思い出すねぇ」
「・・・・ボーン、か」
「本質的には似ているよ、二人は。だからこそ、惹かれるのさ、わかるだろう?君も夜剣廻なのだから」
「・・・・・・・・」
「ま、そーいうことさな」
次元の歪みに入って行くベルナール。それに続く巨人。それを見る奏。
荒廃した世界。幾度も見た光景。それを見ても、何の感慨もない。あるのは今だけだ。
奏は次元の歪みに入り、この世界を去って行った。
グランマッシヴAc・・・全長12メートル。肩が大きく出た灰色の機体であり、丸い頭部の赤い巨大なスコープが特徴。身の丈以上の長さの巨大な碇「クェーク・アンカー」を使う。Acは「アクター」をさし、この世界でのベルナールの役割を暗示する。