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運命の日

 夕刻。部活のあるナツキを待たずに、帰路に着く廻。その脳裏にあるのはベルナールの言葉。

 あれは何なのか。疑問は尽きない。


 深夜。その日は両親は仕事でいなかった。兄も、帰宅していない。早くに寝ていた、廻。そんな彼は、パチリと目を開く。眠れない。何かが起きる、そんな予感。

 そして、揺れる世界。次元をも揺るがす、微かな、だが、地球全体を揺らす、地震。

 起きて着替えて、外に出る。そして見えたのは。


 時空の歪み。


 空より現れる、形容しがたき化け物。とっさに察知する。あれは危険だ、と。

 轟音が周囲を包む。消滅する、三上崎山。光の柱が立ち、闇夜を照らす。

 化け物はふと、こちらを見たかのように感じられた。そして、廻のいる方向に、光の矢が放たれた。


 それを遮る、時空の歪み。そして現れる、もう一つの魔人。




 鎧神慨装。




 廻は驚愕の表情でそれを見る。それは、巨大な体躯をかがめ、廻を見た。そして、言った。

『螺旋の主よ、約束の刻だ。今こそ、汝の宿命を断ち切ろう』

光る瞳。黒い悪魔のようなそれは続けた。

『我が名は鎧神慨装カイザリオン。主の刃として、螺旋をも斬り裂こう』

手を出し、廻を乗せる、それ。抗えぬ廻。ふと、巨人の胸の、何かが光る。その瞬間。

 廻は謎の空間にいた。そこが、鎧神慨装と言うものの中だと何故か判った。

 その空間から、化け物が見えた。

 訳が分からない。だが、やらなければならないのだ。

 そう思うと、その思いに共感したように唸る、巨人。

「お前が何かは知らないけど、あいつは倒さなきゃな」

何か武器はないか、どう動かすのか。疑問ばかりだが、直感に任せて手足を動かすと、そのとおりに、カイザリオンが動き出す。

 行ける!

『カイゼルブレード、機動』

両腕より、銃口のようなものが伸び、そこからビーム状の剣が生成される。それが武器であるのは明白だ。近づいて行った化け物に向けて、廻は手を振り下ろす。化け物の装甲を破る、剣。チューブのようなものを切り裂き緑色の液体が夜空を染める。躊躇なく、再び剣を振るう。腕のようなものを斬り飛ばす。響き渡る、絶叫。

「これで、トドメだ!!」

両腕を振り下ろすカイザリオン。それを貫く、一本の槍状の何か。後ろを振り向くと、目の前に居た敵と同じ奴がもう一体立っている。

「な、くぅ!」

刺された部分が痛む。フィードバックするのか、と理解する。痛みで、思考が揺らぐ。早く決着をつける!そう思った廻に告げる声。

『ギャザッシュカノン、チャージ完了』

エネルギーが拳に集まる。カイザリオンを飛躍させる。上空高くに飛んだカイザリオンは、両の手を合わせそれを放つ。二体の怪物は、その高エネルギーによって消滅する。


「いったい・・・何なんだよ・・・っ!!」

気づくと、家の自室に居た廻。訳も分からずに、だが、夢などでは無いと理解していた。


 ドアの向こうにいた夜剣奏。その後ろに立つベルナール。

「これからが本当の試練、だな」

ベルナールが言った。

「ここはもう、俺の知る世界とはシナリオの根底が違う。我々の存在が吉となるか、凶となるか・・・」


 いずれにせよ、賽は投げられた。望むと望まぬとも、運命は動き出す。

 月明かりの下に照らされる、一つの影・・・。



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