運命の日
クラーク・ベルナールは全校集会で挨拶をして、すぐに学校を後にする。そして、向うのは、三上崎山。
三上崎の遺跡。異なる、異空間の残照が残るそこにもう一人の人物がいる。
夜剣 奏。
「久しぶりだなぁ、廻。いや、今は奏か」
馴れ馴れしく話す、ベルナール。
「この世界に何の用だ、ベルナール」
「いや、何、僕らの親が一体何を成し遂げたいのか、興味があってね」
ウィンクする、白髪の男。
「気持ち悪いな」
奏が言う。
「それに俺はお前の、お前たちの親ではない」
「だけど、僕たちはあなたを元に生み出された。この世界に居るのはおそらく僕だけ。他のナイトブレイドはいないよ」
遺跡の奥をのぞく、ベルナール。
「今日がその日か。いや、いいときにこっちに来れたね」
「狙って来たのだろう、貴様は」
「いやいや、でもね。僕も厭なんだよね。この螺旋の繰り返しは・・・」
「そうだったな、お前も・・・」
ベルナールを見る。彼は踵を返す。
「ねぇ、廻。君は・・・」
奏言って首を振る、ベルナール。そのまま、歩き去る。
「ベルナール。お前はこう聞きたかったんだろう?全てが終わったら、どうするか、と・・・」
贖罪。それが彼の使命。それが果たされた時、彼は―――。
ベルナールに再び昼休みに呼び出された。どうやら彼はカウンセラーらしいが何の用か、と廻は疑問に思いながらも、カウンセラー室に行く。朝まででなく昼までも私と廻の時間を・・・と、ナツキが怒っていた。後で何か奢って期限を取っておかないと、と考えながら、ドアをノックする。
「あぁ、入って」
ベルナ-ルの声。入る廻。テーブルを挟んで向かい合う形の二つの椅子。促されてそちらに座す廻。テーブルにはコーヒーカップがまだ、湯気を発している。
「来てもらったのは他でもない、君のことだ、夜剣廻。螺旋に囚われ続ける存在」
笑いを浮かべた顔。しかし、声は笑っていない。
「今日これからあること、起こる出来事から逃げるてはいけない。それは君の宿命だ」
訳が分からないという顔の廻。
「今はわからなくていい。けどね、その時になったら、目を背けるな」
置いてあったコーヒーカップを飲むベルナール。アツ、と舌を出す。
「何かあったら、相談に乗るよ。ここを訪ねてくれ、おいしいコーヒーも出すよ」
退室する廻。見送るベルナール。
「忌々しい螺旋・・・その枷を突き破れ、夜剣廻くん・・・」
昼の陽気の中、呟くベルナール。
奔るノイズ。