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第二幕・プロローグ

 夜剣廻。17歳。家族は父と母、そして、兄の悠。幼馴染で恋人のナツキ・エリクセンとともに三上崎市、県立水瀬高校に通う高校二年生である。

 家族関係は良好である。父も母も穏やかな人物である。兄は知的でミステリアスな人物だが、素晴らしい兄だ。背も高く、博識である。身長もそれなりに高い。身長が低いことがコンプレックスのメガネ少年とは、非常に似ている義理の兄。年齢は不詳。何故か父母も口を閉じてしまうから、何か事情があるのだろう。どこかで日中働いているが、やはり、それもわからない。謎の人物、兄。

 今、僕の隣を歩く少女、ナツキとこうして歩いているのも、兄の協力あってのことだ。今思い出しては恥ずかしいが、お陰でこうなったのだから、不満はない。だが、あの時の兄の顔はとても面白がっている顔だった。冷静な兄のおちゃらけた面を垣間見た。

 これから、授業か。と、ふと空を見上げる。


 奔るノイズ。鳴り響く心臓の鼓動。


 聞こえた気がした。だが、隣の彼女は赤茶の短髪を揺らし、平然と歩いていたから。

 気のせいだな、と思った。僕たちは通学路を歩いて行く。



 また、ノイズが走る。







 煙草を吸い始めたのはいつだったか。青年、夜剣悠は物思いにふけっていた。今は幸せだ。遥かに遠い過去の傷を塗り固めてくれる。しかし、その痛みが消えることはない。

 螺旋の中心に存在し、運命に宿命に翻弄される、夜剣廻。それを救い、この螺旋を終わらせることこそ、彼の宿願であり、役目。そして、救えなかった彼女への贖罪なのだと、思う。この世界に来て、経験しなかった大学に行った時かなぁ・・・。一番最初の疑問に対する答えをぼやく、青年。黒い髪が風に揺れ、煙が空に昇る。


 奔るノイズの音。


「そろそろ、か・・・」

この世界の夜剣廻に迫る、運命の刻。

「アルクォーネ・・・」

答えてくる意思。どれほどの時を共に廻ってきたのだろうか。

「さぁ、始めよう」



 蠢く影は、日常に浸透していく。待ち受ける未来に夜剣廻は立ち向かうこととなるのは、翌日のこと。5月12日のこと。




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