動く時
「フフッ、その程度ですか?」
「・・・舐めるな・・・!アークセイバー奥儀、甲賀武真骨!!」
駆け抜けるアークセイバー。それを受け止めるのは黒き不死鳥。
「コウガ・・・それでは、私を倒せません・・・。よく、見ておくことです。私と、あなたの実力の差を・・・」
飛び上がる不死鳥。炎がアークセイバーを包み込む。空中に浮かぶ文様。文字の羅列が回りだし、世界は闇に包まれる。
「月下、我が魂は、鼓動する、終焉の光が、星を包む・・・」
「・・・!!くそ、逃げられ・・・」
「帰月闘隼・・・」
弾け飛ぶ閃光。
コウガが跳ね起きる。今日はベッドの上は廻が使っている。その廻はまだ眠っている。寝汗が凄いことになっている。彼がこの世界に来た理由。それは次元破壊者に追われていたためではない。真の目的。それは自分の兄弟子を見つけ、倒すためだ。廻の手助けをしている現在でもそれは変わらない。
霊皇界において負けなしの兄弟子。何度も戦い、その全てにおいて敗北した。彼にとってそれは超えることのできない壁。
着替えて、庭に出る。そして、拳を突き出す。毎日の連鍛を怠ったことはない。兄弟子に勝つには、まだ何もかも足りなかった。
「・・・超えてみせる」
拳を握りしめるコウガ。そのコウガを廻は影から見ていた。毎日の積み重ねを、廻は見てきた。だからこそ、自分も何かしなければならないと思った。
(俺も、倒すべき、越えるべき人がいる・・・)
兄の顔、凶悪なアルクォーネの姿が思い浮かぶ。踵を返し、自室に戻ろうとする廻。そこにミライが現れる。
「お悩み、ですか?」
「・・・いつから?」
「さぁ」
笑う少女。その少女に何かを感じる。何か、を。
「特訓でもしてみます?お稽古なら付けてあげますよ」
こちらを見透かしたような発言。
「是非、お願いしたいな」
強くなりたい。勝たなければならない理由がある。だから、少年は頷いた。
とある次元。ベルナールは自分の愛機を見上げた。もはや、使い物にはならない両腕。装甲も崩れ、頭部のスコープが虚しく光るのみ。もう、駄目だな、と思うベルナール。
「相棒、長い付き合いだったが、これで、おしまいか・・・寂しくなるよ」
機械相手にしみじみとなる自分。だが、それでいいのだとベルナールは思う。執着があるということはつまり、人間らしいということだからだ。
「さて、どうするかね・・・」
どうするとはつまり、自分の機体である。あの世界で、まだ、見届けなければならないことがある。それを遂行するための、鎧。
「・・・昔の仲間に会うついでに、機体もこしらえる、か・・・」
ベルナールが呟く。どこに居るのかは分からないが、己の勘の告げる世界に行ってみるベルナールであった。
天までそびえ立つ塔。その前に座するのは一体の魔人、アルクォーネ。飛来してきたのは黒き鳥。
『よくぞ来た、夜剣廻。ついに、我が軍門に下る、ということか?』
「そういうことだ、ヴァーウル」
『クックック、良かろう。我と共に、この世界も、他の次元も、全てを統一し、ともに支配しようではないか・・・』
群がる機械の怪物。その中に佇む、一体の魔人。
(ここにも、鎧神慨装・・・。果たして、鎧神慨装とは一体・・・?)
『今、時は満ちた。次元の統一、我が宿願を果たそうぞ』
唸る怪物たち。魔人はその中心で高らかに告げた。
(・・・だが、そんなことはいい。俺の目的は・・・)
遠い記憶がよみがえる。
(・・・俺の知る、ナツキを取り戻すこと)