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決別の定め

廻は思った。あの攻撃が一度でも当たればカイザリオンは耐えられない。ならば。

(当たることを考えるな、ただ避けることのみに集中しろ!)

カイザリオンに、自分に言い聞かせる廻。突進するカイザリオンに、両腕のビームの刃を突き付けるアルクォーネ。避ける廻だが、反応が、そして動きが鈍い。

(だめだ、足りない。まだ、まだだ。もっとスピードを・・・)

しかし、アルクォーネの攻撃がカイザリオンを捉えた。

『終わりだ、廻・・・!!』

奏の声。ハッとする廻。

(まだ、終われない、こんなところで!!)

湧きあがる思い。まだ生きたいと願う心。そして、よぎる、ナツキの、顔・・・。


「まだ、終われない・・・・・!!!」

『ならば願え、さすれば、得られよう。カイザリオンの力の一端を』

脳裏に響く謎の声。しかし、廻はその声に従い強く願った。あの攻撃を避けられるだけの速さを。魔人を止める力を、と。

 迫りくる刃がカイザリオンを切り裂いた。

『!!!』

しかし、そこにカイザリオンの残骸はない。

「ここだっ!!」

アルクォーネの上空より降りかかるカイザリオン。魔人は回避運動を取るが遅かった。カイザリオンの閃光のような速さと繰り出される一撃で片腕を持っていかれる。

『まさかな・・・死の淵において進化、いや、スピードの身を特化させ、装甲を犠牲にしたのか・・・!』

驚く奏。

「感心させる暇も与えない!」

再び接近するカイザリオン。難なく避けるアルクォーネ。

『馬鹿の一つ覚え、だな。それにお前自身がスピードに振り回されている。それでは勝てん!』

「なら、もっと、もっと早く、早く・・・!!」

目せ捉えられないスピードが魔人の体を切り裂く。

『う、お、お、お、お、お、お、おぉぉぉおおぉぉぉぉ!!』

斬り伏せられるアルクォーネ。

「これで決める!」

跳躍するカイザリオン。

「ギャザアァァァッシュ!カノーーーーーーーーーーーン!!!!!」

機体同様、恐るべき速度で迫る光線になすすべもなく、アルクォーネは被弾する。魔人の立っていた場が大きな音を立てて爆発する。


「やった、か・・・?」

「いえ、まだです」

返すのは少女の声。

「あれでは死にません。彼は・・・」


 燃え盛る炎より現れた一体の魔人。その姿は一切の傷も追ってはいなかった。

『この程度で、倒されるほど俺は弱くはない』

羽を広げるアルクォーネ。

『だが、今回は撤退しておこう。こちらも予想以上に消耗した』

羽ばたき、舞い上がる魔人。時空が歪む。

『さらばだ、廻。次に会う時、それは即ち、お前の死、だ!』

消え去る魔人。

 それを見上げる四つの機影。




「助かった、のか?」

コウガが呟く。

「ひとまずは、ね」

ベルナールがそれに応えた。

「ですが、拙い状況です。これからが本当の戦いです」

少女が言う。廻は兄の消え去った痕を見て誓う。

(兄貴、俺にはどうして兄貴がああなったのかは分からない。けど、止める。それが俺の役目だから!)


 決意を胸に少年はそれを見上げた。滅びた世界の空もまた、青かった。




(ハイ)カイザリオン・・・形式ナンバーκ―TOΔ+∀[S]。高機動戦特化型のカイザリオン。装甲が薄くなった分、驚異的なスピードを得た。武装に関しても変化しておりギャザッシュカノンは威力が落ちた分、射程が伸び、連続して三度まで発射可能となっている。




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