彼方からの使者
夜剣奏の乗る鎧神慨装アルクォーネはグラシャスに乗っ取られた。ベルナールはそれが分かった。感じるオーラが今までのものとは違う。その目は妖しく光っていた。
「奏、聞こえるか?」
ベルナールの問い。それに返ってくる言葉はない。廻やコウガはもう何が起こっているのかを理解できていない。
『無駄なことよ。こやつはもはや、我ぁが肉体。無駄なことよ』
グラシャスの声。
『みなぎる力。これが螺旋の力・・・!素晴らしい・・・』
腕を振り上げるアルクォーネ。
「ッ!!いかん!!」
グランマッシヴを咄嗟に動かし、カイザリオンとアークセイバーの盾となるように立つ。そして放たれる閃光に、グランマッシヴは焼かれていく。
「うおぉぉぉぉ!?」
爆発するグランマッシヴ。
「先生っ!!」
廻の叫び声。
「ちくしょう!仕方ない!兄貴を倒すしか・・・」
「どうにかしてコクピットを外せば助けられるんじゃないか、廻」
「・・・やってみよう、コウガ」
「おう!」
二機が魔人めがけて突進していく。
『馬鹿め!灰にしてくれる!!』
再び腕を振り上げようとするアルクォーネ。しかし、その動きが止まる。
『何ぃ!!?』
二機がそこに迫る。
「アークゲート オン・・・チェンジ アクロ・クロスタード!!」
変身し、アクロ・クロスタードとなるアークセイバー。拳を振り上げ突き出す。それに合わせる廻。
「喰らえ!ギャザッシュカノン!!」
拳にエネルギーをため込み、放つ。二つの拳がアルクォーネを貫く。
『ふふふ・・・はははははは・・・!!』
笑い声が響く。そこにはあの攻撃を受けてもなお立っている、魔人がいた。
『廻、コウガ。無駄だ。その程度では俺は倒せない』
響くのは奏の声。
「兄貴!!無事なのか?」
廻の叫び。だが、二機は警戒を解かない。
『あぁ、最高だよ。なるほど、この力か…!これがあれば、我が悲願も叶えられよう。我が名はナイトブレイド。夜を切り裂き螺旋を切り裂くものなり・・・!!』
高笑いする奏。そこに響くベルナールの声。
「思い出せ、夜剣奏・・・いや、夜剣廻!お前の目的はそんなことではない!それでは、お前の敵である、ヴァーウルと同じだ!君が戦ったもう一人の自分と同じ末路を辿るつもりか!?」
ぼろぼろでもはや、両腕もなく、ただスコープのみが虚しく光るグランマッシヴに向くアルクォーネ。
『思えば、彼女を失ってから多くのことがあった。だが、その中で、俺が満たされ救われたことは一切なかった!この世界もどの世界も俺を受け入れはしなかったのだ!!』
「それでも、君は戦うべきだ、運命と!そう僕に言ったのは君であった。忌むべき存在、兵器である僕やボーンにそう言った君が、その運命に負けるのか!?」
『うるさい負け犬め!!欠陥品のコピーに用はない』
振り上げる腕。それを抑えるカイザリオン。
「止めてくれ、兄貴!どうして、こんな・・・」
『いいことを教えてやろう、廻。俺の本当の名は夜剣廻。様々な世界で呼ばれ方は違ったが、俺はまぎれもなくお前と同じ存在だった。そして、お前のなれの果ては俺なのだ!これは数多の螺旋が絡むこの世界の鉄則!何度も繰り返し、その度に始まる夜剣廻の螺旋。永遠に奏でられる宿命。だが、それもここで終わる。廻、お前の死によってな!!』
「それはできないわ。だって、あなたを送ったのはそのためじゃないもの」
いきなり現れたのは一人の少女。
『貴女は・・・!?』
「思い出したかしら、ナイトブレイドさん」
にっこり笑う少女。
「ミライ・フェスター?」
ベルナールが傲然と呟く。
「お久しぶり、ベルナール。私の本当の名前はミライ・Y・ハヤミっていうの。覚えておいてね」
笑う少女。それに向き合うアルクォーネ。
『魔女め。いまさら何を・・・!』
「あなたに螺旋を断ち切ることが出来ないならば…」
少女の顔に今までのにこやかな顔はない。
「消します、あなたを」
『おもしろい!やって見せろ!!』
光が落ちる。そこに居たのは三体目の鎧神慨装。
「いきましょう、エクシオン」