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第二幕・プロローグ
繰り返される、夜剣廻の物語。
「何を望むの?」
彼女は問うた。ただ銀色の世界、閉ざされた白銀の世界に立つ、青年に向かって。少女は膝を抱えて、宙を浮いていた。
「違う、結末。違う、未来。そして・・・」
この螺旋を断ち切る。
「うん、そうだね。もう、終わらせなければ…」
少女はよいしょ、と言って、地に足をつける。
「楽しかったよ、あなたといれてね」
少女が言う。そしてさらに続ける。
「もう時間はないようだね。ここももう消えてしまう。最後に、私の力で、あなたを連れて行ってあげる」
膝をついて、頭を垂れる、青年。
「やだなぁ、もう」
照れたような少女の声。光が周囲を満たす。青年が言った。
「最後に、お名前を…」
「もう、忘れてしまったわ」
でもね。
「私もあなたと同じような存在。螺旋を生き、次元を超えしもの」
そして言った。
「あなたの新しい未来が、幸多からんことを・・・」
次元を超える。
物語は第二幕を迎える。
第二幕開始。前作は短すぎでしたが、今作はそれなりの長さになる、と思います。