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私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

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街の変化と騎士たちの動向

 翌朝早くに目を覚ましたレジーナは、素振りをして、食事をして、やる気満々だ。

 ついでになぜかアルベルトまでやる気を出しているのは、もう仕方のないことなのだろう。

 強い相手と手合わせをする機会というのはそうそうない。


 昨晩遅くに帰ってきたレオンは、朝になってから事の経緯を聞き、額に手を当てて天井を見上げていた。まさかそんなに早くトラブルになるとは思ってもいなかったらしい。


「【鉄壁】のプエル。見た目の通り鎧とランスを使って戦う第八席。テロドス様に憧れて育ったらしいけど、悪意はないけどとにかく暴走しがちの困った人だって」

「あー……、なんだかそんな感じはします」

「それでも第十席までの神殿騎士の中では、まだテロドス様が制御できる方だから、ということで連れてきたんだって。今は武器の携帯禁止、テロドス様と一緒でなければ街の外に出るのも禁止だから、そうそう問題は起きないはずだったんだけど」

「なんというか、本当にたまたま良くない時に出くわしてしまいましたね……」

「そうだね……。街で悪い人を見かけると、ハルカさんと遭った時みたいに首を突っ込んでて、評判は悪くないみたいだよ」


 まぁ、あの調子ならば助けられた人もたくさんいるのだろうとハルカは思う。

 どっからどう見ても、悪人ではないのだ。

 善行をなそう、という気持ちが全身からあふれ出て失敗しているだけである。


「騙されたりしないです?」

「騙されたりするらしいけど、この街ではあまりないって。何かあれば、テロドス様とかデクトさんとかが対応してるみたい」


 強いけど扱いが難しい。

 一人でうろうろされるよりは、まだ〈オラクル教〉の監視下にいる方がいいのかもしれないと思ってしまう。

 悪党に利用されては大変なことになりそうだ。


「ハルカって外へ行くとすぐ問題起こすよなぁ」

「そうなんだよねー。ハルカが何をするわけじゃないんだけど、ハルカがいると色々起きるんだよね」


 テオドラがけらけら笑いながら言うと、コリンも同意して頷いた。


「なんででしょうねぇ……」


 何かそういう運命を背負っているのだろう、と思わないと、自分を責めてしまいそうである。何やら切ない気持ちを言葉とともに吐き出すと、レジーナが玄関の扉を開けて「行くぞ」と言って外へ出てしまった。


 一人だけで行かせるわけにはいかないので、すぐにその後を追いかける。

 出かけるのはナギ以外の全員だ。


「いってらっしゃーい」

「はい、行ってきます」


 オレークの娘、パレットに見送られて元気に出発。

 子供の無邪気な姿を見ると、憂鬱な気分も少しは上向きになるというものである。


 街の通りを歩いて、北門外に作られている騎士団の駐屯地へと向かう。

 〈オランズ〉の街は、大通りを北へ北へと進むうちに、【悪党の宝ジャックインザボックス】が力を持っている区域へと入り、段々と治安は悪くなっていく。

 しかし知り合いであるオウティが【悪党の宝】を牛耳るようになってからは、多少は行儀がよくなってきたようだ。本人が望んだというよりは、ハルカや【竜の庭】との共存を考えた時、そうせざるを得なかったのだろう。

 そのお陰か、街の北側も以前よりも少し明るい雰囲気が感じられるようになった。


 時折非番の騎士たちが買い物をしている姿なんかもあって、騎士たちともうまくやっていることが分かる。

 騎士の駐屯地も随分と街に馴染んでしまったようだ。

 本当は帰ってもらいたいところなのだが、よほどのことがない限りそれは難しそうである。


 北門を出ると、そのまま左手の平地全体に、騎士団の駐屯地が広がっている。

 前に見た時はまだまだ作りかけであったのに、今では簡易な壁まで作られて、すっかり街が拡張されたような状態だ。

 おかげで北門の門番はすっかり安全になってきて、割と新しい冒険者にその仕事を回されることもあるとか。


 話を聞いていたハルカが門番たちの顔を見てみると、確かに若そうだ。

 姿勢正しく顎を引いているのを見ると、まるで正規の兵士さながらである。


 これは、ハルカに顔を観察されていることに気付いた冒険者たちが、緊張してびしっと姿勢を正していたからであって、普段は他の冒険者と変わらず呑気に仕事をしている。

 おそらくハルカがこの事実を知ることはないのだろうけれど。


 駐屯地には話が通っていたのか、ハルカたちとなじみの深いフラッドが、入り口付近で所在なさげに立っていた。


「あ、お久しぶりです」

「おー……、なんかまた色々あったみたいで」


 ハルカが乾いた笑いを漏らすと、フラッドも変な顔をして笑った。


「俺はこんなだけど、うちの上司たちは結構本気で申し訳ないと思ってるっぽいです。テロドス様も結構色々考えて人選してくれたっぽいので、何とかご勘弁願えると助かるす」

「あー……、少し話さなければいけないと思ってますけど、今回は怒っているわけではないので」

「そりゃあ良かった。……後ろの二人はやる気に満ち溢れてるように見えるんすけど?」

「あれは……、手合わせしに来たので。別に怒ってるとかでは……、いや、レジーナは怒ってるかもしれませんけど」

「あー……。とにかく、案内させていただきます」


 フラッドを先頭に駐屯地を進み、その先の比較的立派な家に入って最初に目に入ったのは、テロドスとデクト、それからプエルが頭を下げている姿であった。

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― 新着の感想 ―
竜の庭係の人らは胃痛が絶えないな・・・
アルベルトは関係ないからお預けなっ
ルビの振り方思い出してくれ〜!
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