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私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

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口は禍の元

 ハルカが〈オランズ〉へ出かける時も、名前が決まらないと頭を悩ませていると、心配したレオンが顔を覗き込んでくる。


「何か心配事?」

「ええ。北に港を作ってるじゃないですか。あの村の名前をどうしようかなと」

「なんだよ、揃って真面目な顔してるから、なんか深刻な悩みかと思ったじゃんか」


 ついでに聞いていたテオドラがけたけたと笑う。

 考えてみると結構難しいものなのだが、やったことのないテオドラは気楽なもんだ。


「じゃ、お前が考えろよ」


 即座にアルベルトに言い返されて、テオドラはむっと口を閉ざしてから、ポンとレオンの肩を叩く。


「考えろってさ」

「……テオが言われたんでしょ。自分で責任持ったら?」

「まじか……。……【竜の庭】の村なんだから、〈竜の港(ドラゴンポート)〉とかでいいんじゃないのか。いや、安直か? ちょっと待てよ」

「やっぱりそれが無難ですかね」

「分かりやすいもんね」

「じゃ、決まりです」

「良かったな、お前の案で決まりだ」

「は? おい、本当にそれでいいのか?」


 実は候補としてすでに何度か出ていた案だ。

 別にテオドラが言い出したからそれに決めたわけではなく、最後の一押し、という感じなのだが、完全にテオドラの責任のように聞こえる流れになっている。


「はい、折角案を出してくれましたし」

「いや、お前らの村なんだからもっとちゃんと考えろよ」

「いいのいいの。【竜の庭】もノクトさんが案を出したやつだし」


 ハルカたちは前段階を知っているからすっきりとした顔をしているが、急に適当に言った自分の案を採用されたテオドラは慌てている。


「あーあ、テオが適当に言うから、この先ずっとあの村は〈ドラゴンポート〉だよ」

「いや、だからもっとちゃんと考えればいいだろ!」

「皆が真面目に考えてるのに、馬鹿にしたテオが悪い。反省したら?」


 昔からこの二人はレオンの方がちょっと大人っぽい。

 考えなしの発言をすることも多いので、たまにはこうして注意されるくらいでちょうどいいのだろう。


「元々私たちの中でもその案はあったんです。やっぱりわかりやすいのが一番ですから、それでいいのだと思います」

「そうか? 本当にいいのか?」

「はい、ありがとうございます」


 ハルカにフォローされてほっとした顔をするテオドラ。

 まぁ、その名前がこれから先、村がなくなるまで地図に残されるのは事実なのであるけれど。


 さて、そんな話をしながら拠点を出発するハルカたち。

 今日はいつもの面々と、今話をしていた双子でのお出かけだ。

 数日街に泊って、双子が騎士団への探りを入れつつ、物品の補充。

 あとはのんびりと過ごす予定である。


 ちなみに王国の旅の詳細を聞いたレジーナは、今朝早くからハルカの動向を監視して、ぴったりとついてくるようになった。

 何もないと思っていたのに戦闘が発生したことが気にくわなかったらしく、やはりハルカから目を離さないようにすると決めたようだ。レジーナもアルベルトたちと同じくらい、強くなることに貪欲である。


 そんなメンバーでナギに乗って〈オランズ〉の街へ到着。

 拠点へ入ると、コート夫妻と先日〈オランズ〉に連れて帰ってきた、オレークの妻と娘であるパレットの姿があった。

 パレットは無邪気にモンタナの方へ向かって走ってきたが、その手が尻尾だか耳だかを掴もうとワキワキと動いているのを見たモンタナは素早く逃走開始した。

 図らずも家の中を追いかけっこして遊ぶような構図になった。


「すみません、騒がしい子で……!」

「元気で安心しました。オレークさんは……」

「夫なら街に出て冒険者の仕事をしています。帰りにはどこかへ寄ってご飯を食べてくるのではないかと。ハルカさんに喜んでもらえるように、味を確認して回るって張り切っているんです」

「そうですか……、オレークさんも元気そうで何よりです」

「心配してくださってありがとうございます」


 オレークは元々兵士をしていたから、冒険者としての仕事は、ある程度堅実にこなせるはずだ。

 話を聞けば四級冒険者になっているようで、門の警備などに参加しているのだとか。〈オランズ〉の街の住人は、ハルカの知り合いか、一方的に知っている人ばかりだから、オレークには大体親切に接してくれるらしい。

 連れてきたことが悪い方向に働いていないようでハルカはほっとした。


 話をしていると、モンタナが何度か廊下を往復して戻ってくる。

 パレットはその後を楽しそうに追いかけてきていた。

 モンタナはそれこそ猫のように、端に追い詰められると重さを感じさせない動作で壁を蹴るようにして駆けあがってパレットの頭の上を越えていく。


 それがまた楽しいようで、パレットは歓声を上げながらさらにモンタナを追いかける。


「ハルカ、次戻ってきたらそのまま買い物行くです」


 モンタナはそう言って去っていったところで、ハルカは笑いながら玄関扉を開けて買い出しの準備をした。


 パレットは母親に捕まり、無事に外へ買い出しに出たハルカ。

 そのすぐ後ろには、いつもはあまりついてこないレジーナがぴったりとついてきている。

 次の騒動は逃さない、とにかくハルカについて歩くつもりでいるようだ。

 今となっては〈オランズ〉は、ハルカにとっては特に争いごとが起きにくい街である。そんなに気を張っていても何も起こらないと思うけど、と、少し申し訳ない気分になりつつ、ハルカはいつも通りに買い出しを続けるのであった。


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― 新着の感想 ―
やはりレジーナは番犬ワンワン
これは…騒動フラグが立ったのか立ってないのか… どちらにしても竜の庭パーティーに勝てる相手ってもう特級クラスの武人か人質を取るか(随分前にぺちゃんこにされたけど)しか思いつかない 米を人質に取れば…
あの、他勢力から勢力圏ってこと隠す気がありますか……
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