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私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

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お仕事の手伝い

 アルベルトとモンタナは、ウーとの勝負に勝利したようだった。

 どちらも僅差であったようで、ウーは相当に悔しがっている。


 それぞれ擦り傷程度の怪我があったので治癒魔法を施していると、ウーがその間にもヴェルネリに愚痴を言う。


「まじで悔しいぜ、これ。巨人どもと戦ってると戦い方が大味になるんだ。やっぱ武人なら技術の高い奴らともたまには戦わなきゃいけねぇってもんだ。ちょいと武者修行に出ていいか?」

「駄目だ」

「ならもうちょっと武人を集めてくれ。腕が鈍る!」

「……そうだな、いなくなられても困る。何か策を講じてみるか」

「よぅし、それでいいんだそれで」


 仲の良いことである。

 ヴェルネリのように生真面目で仕事熱心な相手には、ウーくらい勝手で自由な人間の相性が良いのだろう。


「武闘大会とかどうだ? 【ドットハルト公国】の武闘祭は、すっげー盛り上がってたけど」

「それも良いかもしれん。この街がある程度形になれば考えてみよう」


 アルベルトが何気なく提案したものも、ヴェルネリは真面目な顔をして考えているようだ。立地的に武闘祭ほどは盛り上がらないかもしれないが、辺境伯領でもいいから立身出世したいと思う者は集まってくるかもしれない。


「しかしなぁ、空を飛んで旅をするってなると、自由にあちこちに行けて良いもんだ。俺もかれこれ十年以上家族と会ってない」


 治癒魔法を受けたウーは、腕をぐるぐると回して調子を確認しながら呟く。


「ご出身はどちらですか?」

「【ほう】だ。コリンもそっちの出身だろ?」

「あ、私はねー、パパが【鵬】の出身。私は生まれも育ちも〈オランズ〉ですねー」


 そういえば、未だ【鵬】は行ったことがない。

 大きな国としては行ったことがないのは、残すところ【鵬】と、カナの【自由都市同盟】くらいだろうか。


「どんな国なんです?」

「飯と武術と歴史の国だな。なかなか強かな連中も多くてなぁ、面倒くさいが面白い。まあ、ごちゃごちゃしてる」

「へー、なんか面白そうだな」

「アルベルトにゃ向いてるだろうな。あちこちで喧嘩してる奴がいるぜ」


 ご飯と言われると行ってみたいが、喧嘩はごめんだな、とハルカはちょっと考える。次なる旅でたち寄ってみてもいいが、案内人の一人くらいは見つけたいところだ。

 まぁ、いずれは訪れてみようと思うハルカである。


「今晩は泊っていくか?」

「……そうですね。明日の朝一番で出発しようと思います。街は忙しそうですし、適当にこの辺りで」

「いや、食事はこちらで食べていけ。どうせまとめて大量に作っている」

「あ、こんな言い方してるけど、結構うまいもの作ってんだぜ。飯が美味くてよく眠れて、ついでに給料が良けりゃ人ってのはバリバリ働くもんだってな」

「そうだな」

「では……、ええとお言葉に甘えて。……特にやることもありませんし、折角ですから少し工事の手伝いでもしましょうか?」


 なんだか食事を出してくれるとなると、何かした方がいいのかなと思って提案するハルカ。仲間たちも先ほど土木仕事が懐かしいと話したばかりであるから、別に働くことに異存はない。

 先ほどハルカはあまり仕事現場をかき回しては、と考えていたが、まぁ、現場の監督に従って物を運んだりする程度は問題ないだろうと聞いてみたわけである。

 さて、唯一何か言いたげなコリンが口を開く前に、ヴェルネリが頷いて言った。


「それならば労働の結果に応じて支払いをしよう。治癒魔法の分もだ。明日の朝までに用意をする」

「さすが閣下、分かってますねー!」

「労働と成果には対価が必要だ」


 そんなつもりはなかったが、支払ってくれると聞いたアルベルトは腕まくりを始める。


「よーし、前と違って身体強化もできるようになってるし、どれだけ動けるか久々に試してみるか。おい、モンタナ、どっちがたくさん儲けるか勝負しようぜ」

「やるですか」


 手合わせをしたばかりというのに、二人とも元気だ。

 腕まくりをしてさっさと工事現場へと向かってしまった。


「……すみません、あまり厳密に見ていただかなくても大丈夫ですから」

「いや、きちんとやる。今日は私も現場を見る日に決めた」

「旦那がいると皆緊張して働きづらいだろ」

「たまにはそんな日があっても気が引き締まるだろう」


 話が決まって歩き出すと、ユーリもちょっとだけ考えたような顔をしてから、こっそりと腕まくりをしながらハルカの後に続く。

 最後尾にはナギもついてきているが、ヴェルネリが一緒にいるものだから、現場の者たちも怖がって手を止めるわけにもいかず大変そうだ。


 ヴェルネリは現場に到着すると、監督している者を一人呼び出して、今日の夕暮れまでの助っ人が来たことを伝える。


「一流の冒険者だ。力は人一倍あるし、魔法使いもいる。お前の裁量で時間のかかりそうなことや、力が必要なことを優先してやってもらえ」

「は、承知いたしました」


 ヴェルネリの言葉に困惑の表情を浮かべていた現場監督であったが、とりあえず言われたことを飲み込んで、素直に返事をした。

 そしてチラリと、勝手に混ざって大岩を運んでいるアルベルトとモンタナを見て、これは確かに役に立つぞ、と思い、今度はそこにいる残りの面々を見る。


 女性が三人、子供が一人。それからめちゃくちゃにでかい竜が一頭。


 何をどうお願いしたらいいのか。

 監督は一分ほど悩んでから、いったん、今困っていることについて相談だけしてみることにするのだった。

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― 新着の感想 ―
相談してしまったら終わりよ。言ったことは全て終わりよ。
これは 一年は工期が縮むなw いや二年かもしれんw
コっさん「どうせ終わらないし数年分くらい稼げるかな」 ユーリかわいい
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