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私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

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プルプワの役割

「何か協力しろってわけでもないんでしょう? ま、森に棲む蜘蛛人には、私の方から伝えてあげてもいい。ちょっと時間がかかるけどね」

「基本的には互助できれば、くらいの感覚です。普段の食事って動物とかですよね……?」

「そうね、動物や魔物。豚人オークが入ってくると食べることはあるけど……、ま、食べるなって言うなら食べない。そのあたりはどうなの?」


 豚人との関係は微妙だ。

 配下でもないし仲間でもない。

 習性的にもあまりお近づきになりたいタイプではないが、これから先どうなるかははっきりしていない部分もある。


「……もしかすると今後付き合いができるかもしれないので。豚人よりもあなた方の方がかなり強いですよね?」

「そうね」

「今ってあちらから皆さんに攻撃してくることはあるのですか?」

「基本的には縄張りに入ってこないね、あいつらは私たちを恐れているから」

「あなた方が積極的にあちらを襲いに行くことは?」

「必要がないからしない、かな」


 この様子だと蜘蛛人はやはり、縄張りに入ってきた者しか襲わない。

 そして、豚人たちもおそらくそれを知っているから、縄張りには入らないようにしている。

 滅多なことは起きないだろう。


「脅して逃がすくらいの方が入ってこなくていいかもしれませんね。懲りないようでしたら仕方ない部分もあるかと思いますが」

「ってことは今までと変わらずだね。流石に攻撃してくるような奴らは放っておけないよ」

「それは結構です。自分たちの身を優先してください。……巨人の方々にもあなた方の話は伝えておきますので、今後そちらも入ってくるようなことはないはずです」

「そりゃあ助かるね、あいつらが一番面倒だったの」


 プルプワは巨人と比べても変わらぬほどの大きさをしている。

 同じ大きさであれば、能力的にはおそらくアラクネの方が強いのだろう。

 面倒、という言葉からも、プルプワが幾度も巨人からの攻撃を退けてきたことがうかがえる。

 

「……プルプワさんはルージュさんと比べてもかなり大きいですが、他の方はどうなのでしょう?」

「私が一番大きいに決まっているでしょ? 長く生きるほど大きくなるのは確かだけどね」

「千年となると随分と御長命ですものね……」

「安心しなよ、普通の蜘蛛人はせいぜい二百年がいいとこ。私が特別なのさ……、私はこの森の蜘蛛人を生かすって役割があったからね。私はあんたを見た時、てっきりようやく役割が終わってお迎えに来てくれたのかと思ってたのだけど」


 どこかで聞いたような話であった。

 巨釜山おおがまやまのブロンテスが似たようなことを言っていたことをハルカは思い出す。きっと千年前の神人戦争は、守らなければ種族が滅びるほどに激しい戦いであったのだろうと推測ができた。


「ま、仲良しこよしでやっていこうって言うのなら、それも悪くない。私も長生きして、最近じゃちょっと疲れてきてるからねぇ。ここらで一つ、新しい風をっていうのも悪くないのかもってね。期待してるよ」


 千年種族を守ったプルプワに笑いながらぬっと上半身を寄せられ、ハルカは少しばかり動揺したが、胸を張って「はい」と答えて頷いた。



 プルプワは後ろにルージュを引き連れて、ハルカと並ぶようにして木の上を跳んでいく。これだけ大きいのに、体重は意外と軽いらしく、木は多少しなっても折れることはない。

 きちんと自分の重さと木の丈夫さを把握して跳んでいるようだ。

 

 今後の話や仲間たちのことを話しているうちに、プルプワが竜を見てみたいと言うので、一緒に移動をしている形だ。 プルプワはこの大きさになってから、巨人以外に自分より大きな生き物を見たことがない。ハルカが大きい大きいと言うので、ナギを一目見てみるかということになったらしい。

 ハルカとしても、仲間に蜘蛛人の姿をきちんと見せておいた方がいいだろうということで、こうして道案内をしている。


 やがていつも休んでいる辺りが近づいてくると、大きな生物の接近に気が付いたらしいナギが、ぬっと首をもたげてハルカの方を確認する。目が良いからか、しっかりとハルカが並走していることに気づいたようであったが、それでもすぐ横にいるプルプワを見て、少しだけ首を引いたのは、ナギが臆病な性格をしているからである。

 プルプワは全長ならばナギよりは小さいけれど、背はナギよりも高い。

 向かい合えば怪獣大戦争さながらだ。


「この辺りでちょっと待っていてください」


 ハルカはそう告げて先行し、仲間たちの待っている場所へ向かう。

 ナギが不安そうにハルカとプルプワを交互に見るので、降りる前に一声かけておく。


「ナギが大きいって聞いて、お友達になりたかったんですって。怖い相手じゃないですよ」


 ナギは不思議そうに首をかしげたが、首を完全に引っ込めて隠れることはやめたらしく、木の隙間から顔を出してじっとプルプワの観察を続けているようだった。

 地面に降り立つ前からアルベルトの声が聞こえてくる。


「おいハルカ、大丈夫か? 連れてきてるみたいだけど」

「はい、大丈夫です。大きい方の蜘蛛人がプルプワさん、私たちの様子を見に来ていたのがルージュさんです。プルプワさんも神人戦争の頃からの生き残りで、ゼスト様にお会いしたことがあるそうです」

「ふーん、それはいいけどさ、私たちからは両方見えてないんだけど。ナギがそわそわしてるし、いるのは分かるけどさ」

「あ、そうですね、じゃあ見える所まで行きましょうか」


 プルプワもルージュも木の上で待機しているから、森の中にいると姿が見えない。

 ハルカはさっそく顔合わせをしてもらうために障壁を出して、仲間たちを乗せて木々の上へと上がっていくのであった。

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― 新着の感想 ―
おばあちゃんのでかさが規格GUYです 1000年以上生きてるなら真竜に近い…
ナギかわ(*´ω`*)
たっぽいたっぽいな狂った時代ではおばあちゃんがでかいのはデフォだからね~(
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