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JK四天王のゆるふわ学園生活  作者: 伝説の貧乏小僧
第1章 入学式〜スプリングセミナーまで
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第2話 初めての授業

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 のどかな住宅街のとある一軒家の一室に、ベッドで気持ちよさそうに眠る一人の少女がいた。何か良い夢でも見ているのだろうか、眩しいほどの笑顔で眠っている。

 

 そんな和やかな雰囲気にそぐわない、けたたましいサイレンの音が部屋の中で鳴り響く。家の外にも音が漏れる程、うるさいサイレンなのにも関わらず、安らかに眠り続ける彼女の姿は、童話の眠れる森の美女を彷彿とさせる。

 

 突然、ドタンと大きな音を立てて部屋のドアがあけられた。


「いいかげん起きなさい、チカ! どうして、あんなにうるさい目覚まし時計を使っても起きることができないの!?」


 数日前、寝坊癖のあるチカはものすごく音の大きい目覚まし時計を購入した。入学式があった昨日はどうにか早起きすることができたのだが、サイレンの音にもう身体が慣れてしまったためか、また元の寝坊少女に戻ってしまったのだ。


「むにゃむにゃ。私は猫です……」


「寝ぼけてないの! もう遅刻寸前よ!」


 チカは朦朧とした意識の中、ぼんやりと目覚まし時計の時刻を眺めた。

 目覚まし時計は八時十分と表示されている。

 チカの高校では朝のホームルームは八時四十分に始まるので間に合うかどうかの瀬戸際の時刻であった。


 遅刻ギリギリの時刻を目の当たりにしてチカはベッドから慌てて飛び起きた。


「どうしてもっと早く起こしてくれなかったんですか、お母さん!」


「何回も起こしたわよ! ほら、時間無いから早く準備しなさい!」


 チカは猛スピードで学校に行く支度を整えると、トーストを口にくわえて家から駆け出していった。








 猛ダッシュすること数分、チカはレイナの家の前を通りかかり足を止めた。昨日、一緒に下校したため彼女はレイナの家の場所を把握していたのだ。

 

(流石にレイナちゃんはもう先に出発していますよね……)


 インターホンを押してレイナがいるか確かめることも考えたが、レイナがまだ家にいる可能性は低いと考え、再びダッシュを始めた。

 






 一年A組の教室では生徒達は既に全員着席しており、黒板の前には担任の教師、織田友美が立っている。


「それではこれからホームルームを始めま……」


 先生がそこまで言いかけたところで教室の扉が、「ピシャーン!」と大きな音を立てて勢いよく開いた。


「ゼェゼェ……お、おはようございます……」


「あらあら、おはようございます明智さん。ギリギリセーフでしたが、明日からはもっと早く来ましょうね!」


「はい、気をつけます!」


 チカが着席して、朝のホームルームが始まった。チカは教室を見渡してレイナを探したが、どうやら彼女はまだ登校してきていないようだ。


(おや?レイナちゃんは休みでしょうか?)

  

「それではホームルームを終わります。今日一日、楽しくやりましょう!」


 ホームルームが終わり、織田は職員室へと帰っていった。

 その直後、レイナが教室へと姿を表した。


「あ、レイナちゃん! おはようございます」


「おはよんチカ! いや〜二日連続で寝坊して遅刻だよ。まいったねぇ〜」


 レイナは遅刻したことをあまり反省していない様子だ。


「朝は辛いですよね、私もよく寝坊します!」


「おお、同士よ!」


 レイナはそう叫びながらチカに抱きついた。


「うふふ……レイナちゃんったら。もうすぐ一時間目の授業が始まるので準備をしましょう」


 二人は自分の席について高校生活最初の授業の準備を始めた。






 一時間目の授業は数学だ。

 始業のチャイムが鳴ると同時に教室の中に20代中盤ほどの見た目の数学教師が入って来た。


(あっ、あの先生は……)


 チカは数学の教師に見覚えがあった。

 入学式の時にチカとレイナに長いお説教をした怖い女教師だ。


「起立、礼!」

  

 先生が来たことを確認した日直が号令をかけ、授業が始まった。

 数学教師はチョークを持ち、黒板に自分の名前を書き自己紹介を始めた。


「私は数学担当の武田(たけだ)香織(かおり)です。この学年の生活指導の担当もしています。色々と厳しく指導していきますが、一年間よろしくお願いします」


(ひぃぃ、何かいきなり怖そうです……)


 簡単な自己紹介が済むと早速、数学の授業が始まった。


「ではまずは単項式の次数と係数について、初歩的な内容ですのでささっといきます」


 武田は教科書の内容を説明しながら、黒板に解説を書いていく。


 チカは必死に板書を書き写すものの内容を理解することは全くできていない。

 目的が「綺麗なノートを作ること」になってしまい、内容が頭に入ってこないというのは学生にありがちな間違いだ。


(駄目です……難しすぎて睡魔が……)


 寝坊するほどたくさんねむったというのにチカは激しく眠気に襲われ、うとうとし始めていた。


「それではこの問題を誰かに解いてもらいましょう。明智さんお願いします」


「え!?」

   

 急に指名されたことに驚き、チカの心臓はバクバクと激しく脈打っていた。


「-5x²yの係数と次数を答えてください」


(板書を書き写すだけで精一杯で授業をほとんど聞いていません……どうすれば、どうすれば……)


 チカの頭はパンク寸前だ。


「え、ええっと……2乗ってなんでしたっけ?」


「そこからですか!? 中学校で何をしてきたんですかあなたは!」


「すみません、中学校の数学は半分以上寝ていました……」


「全くあなたという人は! いいでしょう、今度あなたにはマンツーマンでみっちり補習してあげましょう!」


「そ、そんなぁ……」


 チカは自分の学力の低さを反省し、高校ではなるべく授業中に寝ないように心がけることにした。チカは必死に理解しようと集中して授業を受けたため、一時間目は寝ないで終えることができた。

 なおレイナは一番後ろの教卓から見えにくい位置だったため、授業の初めから終わりまでずっと爆睡していた。


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