表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/74

8話

ローズ視点です。

 まず一つに自分の人物鑑定能力がある程度高精度であった事実を再確認した事と、自分と同じ系統の血が流れているはずの弟の行動に思わず頭を抱えてしまった事。そしてロラン君の予想通り、日付は変わってしまったけどその日のうちに襲撃を掛ける短絡的な行動に関して。


 極めつけは、本来抑えておくべきだろう子爵とダニエルをフリーにして自ら全兵力を屋敷に集中してしまった事。



 ある程度予想はしていたけど、最後はさすがに予想外だったわね。



 なにせ子爵とダニエルからの使いがレイモンドたちの襲撃よりも早く屋敷に届いてしまい、襲撃のある程度のタイミングまで私たちに知られてしまっているのだから、言葉もない。



 昼間の内にルーフェスの盛り場を中心にうちの兵に探らせたところかなり派手に金銭をばら撒いて兵力を募集していたみたいで、兵が聞き込みをするまでもなく既に彼方此方の酒場や口利き屋などの周辺で噂になっていたようだ。


 曰く、本日公爵家に仇為す跳ね返りを成敗するために軍を起こす。ついては腕に覚えのある我こそはという人物を探している。手柄を立てれば恩賞も莫大なものになるだろう


 普段からの公爵家の恩に報いる為、または立身出世を夢みるものはこぞってわが軍に集うべし。




 との事だ。公爵家の普段の行いが良かったせいか、意外と興味を持ったものも多く、参加する者も多数いたようだけど、基本的に参加者はこの町に流れ着いてそれほど時間がたっていないよそ者が中心のようで、ある程度この町で過ごしているものはこの一件が公爵家のお家騒動である事に直ぐに気が付いたらしく、巻き込まれないように避けたみたいね。



 第一、公爵家として動いているのなら、態々軍事行動を起こす直前になって訓練も出来ていな兵隊を募集するわけがなく、明らかにこれは公爵家としての行動ではないとある程度頭の回るものなら気が付いてしまうでしょう。


 ともあれ、よそ者を中心にそれなりに兵力が集まったらしいレイモンドはそのまま軍を纏めてその日の夜1時前後には屋敷に正面から堂々と殴り込みをかけてきた。


 前述通り、抑えるべき人をほおっておいて。



 子爵家からの使者からは、現在子爵家がルーフェスの兵力を終結させているようで、この場で数時間時間を稼げばルーフェスの正規軍がこの屋敷に急行できるとの事だけど、私の予定としてはそれまでには色々と終わらせておきたい。



 味方以外には見せたくないものが多いからね。私たちの強さとか。



 両天秤にかけているはずの子爵を説得したのはダニエルかな?ただ、子爵も本当に説得されているかどうかは微妙なラインよね。単純素直に信じるわけにはいかないけど、だからといって疑心暗鬼になる事もない、か。



 万が一があってもそこからどうとでもできるのが今の私たちの強みだし、私が気が付かなくてもマリアがいるし、意外性のエリスが私たちの穴を埋めてくれるはず。



 隊長や副隊長とエリスの話し合いの結果、どうあれレイモンドを逃がすわけにはいかないので、屋敷の敷地内、庭のあたりまで引き込むことが提案されて、三人の合意でその策を取る事になったわ。



 ま、自ら軍を率いて襲撃してくるほどだから、屋敷の外でうろうろしているとは思えないし、何も言わなくても勝手に自分から乗り込んでくるだろうけど。


 その他は、正面から兵力の半分を率いて私が迎え撃ちマリアは20名を連れて敷地内の屋敷側に待機。マリアは遊撃のポジションだけど実際に戦闘が始まったら正面の門から相手を逃がさないようにレイモンドの後背を包囲する役割を持っている。



 今回はエリスも後方だけど出番があるのよね。この作戦で一番のポイントはレイモンドの身柄の確保と子爵、ダニエルの身の安全の確保だけど、同じくらい被害が出るはずの自軍の兵の身の安全の確保も重要なポイントなのよね。



 彼らを雇用する際にも約束した、「死ななければ怪我を治せる。」を実行するためには負傷者を時間が停止しているストレージに確保したほうが確実。だけどストレージを使用できるのはアイクを除けばアイクから力を借りている私たち三人のみ。


 私とマリアは実戦部隊で動く予定だから、そんな余裕はないでしょうし、本人も自分だけ何もしないで待っているのは嫌だとちょっと強めに主張されてしまったので、今回は救護班として活躍してもらう予定よ。



 マリアと彼女付きの三名の侍女は戦闘が開始された時点で屋敷の玄関ホール付近で待機する。負傷した兵が出た時点で周囲の兵がお決まりの言葉「衛生兵!」と叫んでもらう事になっていて、そうなった時点で侍女たちが戦場を駆け抜けて負傷者をエリスの元まで運ぶ手はずになっている。


 後はエリスがストレージ内に負傷者を収容すれば、少なくともその時点で死を免れる事が出来るでしょうね。



 冗談じゃないけどさ、うっかり2~3万年、ストレージに入れっぱなしにしないように気をつけなくちゃね。



 因みに残り20人の兵は副隊長が率いて裏の北門を警備することになっている。万が一こちら側に相手の兵力がまわってきた場合は呼子を慣らすことになっていてその場合は御者たちで構成された戦力が向かう事になっているわ。



 強化された者たちは御者がマリアの下で遊撃隊。マリアの侍女のラナが警備室担当にまわっていて後は各々の担当の侍女が付いている感じね。



 ともあれ、子爵とダニエルの使者のお陰でこちらは準備万端整っているし、戦いやすいように彼方此方にかがり火も配置している。


 

 ロラン君にはこちらの軍事機密を盾に、現在は子爵派の付き人の男と一緒に窓の無い応接室の一室で待機してもらっている。


 家族を人質にされた彼としては、意趣返しの意味も含めてレイモンドに対して自分が私と一緒にいることを見せたかったのだろうけど、ちょっと堪えてもらった。



 もとより奇襲をかけるつもりもなかったのかもしれないけど、夜中だというのに全く音に対しての気遣いもしないまま、何人かに松明を持たせて、がやがやガチャガチャと大きなお音を立てて馬鹿が碌に隊列も組まないでやってくる。



 よく見ると、公爵家から持ち出してきた戦力はちゃんと隊列を組んでいるけど、現場で徴収した兵は思い思いにただ公爵家の兵隊の後をついてきているだけね。



 余程お金をかけたのか、それとも気前よく大きな空手形を出したのかこちらの想像以上に人が集まったみたいで総勢で200人近くいるように見える。



 緊張感の欠片もないのか先頭に数人騎乗している中にレイモンドが顔に笑みまで浮かべて屋敷を目指して行軍しているのが見える。



 流石強化された視力ね。まだ夜闇の数百メートル先の騎乗している人間の顔を識別できるのは、自分の能力ながらに恐れ入るわ。



 「ローズ様、やつら私たちの身体を空手形の中に入れたみたいです。ここまで下卑た内容の会話が聞こえてきます。」



 エリアの言葉に思わず顔を顰めてしまう。よく見るとわざとらしく腰を前後に動かして周囲の笑いを取っている男も見える。あぁ、なんとなく令和時代のお笑い芸人の仕草を思い出すけど、その仕草がどういう意味を含めているのかを考えればとても笑えるものではないわね。



 やがて程なくして奴らは屋敷前にたどり着いた。公爵家の兵隊の中にはこちらがかがり火までたいて準備万端待ち構えていた事に何かを思ったのか苦い顔をしているものもいるけど、レイモンドはさして気にしていないようだ。


 パッと見たところ屋敷側の正面戦力は40人前後にしか見えないし、門を開け放っている所を見て屋敷内への侵入は容易であると判断したのかもね。


 そうなれば後は単純に兵力の差が物を言うと。




 まぁ、確かに一見その通りに見えるだろうけど、態々門を開け放っている事に何の疑問もわかない当りはさすがレイモンドね。



 彼についてきた何人かの側近がレイモンドに何かを話しかけているみたいだけど、彼は聞く耳を持っていないようで、騎乗のまま数歩前に出てから屋敷に向かって大声を上げようとしている。



 所謂、戦の前の舌戦と言うやつかしら。



 ……このタイミングで射殺しても良いんだけどね。あれでも一応弟だから、もしかしたら人生最後の見せ場かもしれないこの晴れ舞台に茶々を入れるのはやめときましょうか。



 同時にネットワーク経由で2人からメッセージが入る。




 「ねぇ、今殺っちゃわない?このタイミングであっさり殺っちゃえば面白いと思うんだけど。」



 「流石レイモンド様よね。待ち構えていた事にも門が開いている事にも気に留めないで、状況を読めないで堂々と前に出る。これであっさり死んじゃったら、マリアの言う通り面白いですけど。


 彼の様なお馬鹿を愛でる立場としては、もうちょっと見ていたい気もします。


 まぁ、でも殺っちゃいます?」




 二人の殺意が普通に高い事に思わず吹き出す。



 「それよりも思ったより兵力の差が多すぎるわね。レイモンドを逃がすわけにはいかないから予定変更して、私達が戦力の中心として前に出るしかないと思う。」



 急遽予定変更、ナバにもそう伝えて隊長に伝言を頼む。



 本来なら私の弟だからね。多少は私も何か思う所があるかもしれないと心配して私の気を軽くする為に言葉をかけてくれたのかも。



 二人が殺っちゃう?とか聞いてくれたのは私が短絡的な行動に出ないようにと考えてくれたからかもしれない。お陰で少し冷静になれたかな。



 ……もしかしたら本気かもしれないけど。


いつも読んでくれてありがとうございます。


予定よりも話が長くなってしまいました。

内容もグダグダになってしまって面白くないですね。

時間が取れたら改稿するかもしれません。



一応ローズ視点が終わった後にいくつか幕間をいれて一度区切る予定です。

現在は章の管理とかしていませんけど、章で分けるなら第2章の終わりに差し掛かったあたりですかね。


もし気が向きましたら評価、感想をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ