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チャラ男登場

一話目がほぼほぼ回想で終わってしまったので、二話目も投稿することにしました。

よろしくお願いします!






ソフィーとお昼を食べ終わった後、とある人物に声をかけられた。


「可愛いお嬢さん。

俺とお茶しませんかー?」


……攻略対象の一人、チャラ男属性、カイ・マーフィーに。


しかもこういう乙女ゲームの世界じゃありがちの壁ドンをされながら。


「……申し訳ありません。

私、先程昼食は済ませまして」


にこやかに、丁重にお断りした。


ていうか早く退いてほしい。

そしてもうやめてほしい。

やられた瞬間、驚きで心臓がとまるかと思った。

近いし、私はキャラにガチ恋する人間では無く前世でも恋愛はしてこなかったから、普通に恐怖を感じるし。

顔には出してないけど。


だが、その体勢のままカイ・マーフィーは話を続ける。


「ではお茶はまたの機会ということに。

……それで本題なんですけど」


本題に入る前に体勢どうにかしません?


ていうか私、この人と社交辞令でしか話したこと無いと思うんだけど……。


「もうすぐある文化祭のダンスパーティー、僕と一緒に参加しません?」


主人公誘えよ。


心の底からツッコミたくなる。


文化祭のダンスパーティーとは、その名の通りのものだ。

ただ、ダンスパーティーには男女ペアでないと参加が出来ないという規則がある。

そのため、私は今年も不参加の予定だった。

休んで家でお菓子でも食べるか~とか思ってたし、寛ぐ気満々だった。


それに、普通は婚約者や好きな人同士で行くもの。


ということなんで、あなたが誘うべきは主人公ですよ?

まぁ紬は嫌がると思うけど……。

でも、少なくとも私じゃ無いから?


「……申し訳ないのですが、私、そのような大勢が集まる場所は苦手でして」


だって私はモブだ。


それに性格に可愛げなんてないし、仮面をつけるように外面の笑顔を浮かべてばかりの令嬢を誘う人間はいない。

私が男だったら絶対誘わない。


だから目の前にいるカイ・マーフィーは絶対におかしい。


「そうなんだ……それは残念だよ」


そんな風に言うけど、あなたの顔だったら十人くらい釣れると思います。

ていうかあなたと参加したがってる令嬢なんて山ほどいると思います。

その中に可愛い令嬢さんもいると思います。


「……引き留めてごめんね。ではこれで」

「はい」


そのまま、カイ・マーフィーは去っていった。


心の底からほっとする。




でも、なんで私を誘ったんだろう?

紬が何かしてバグが起こってるとかかな……と、そこまで考えてハッとした。


確か、カイルートじゃ無かったら、主人公は別の攻略対象とパーティーに参加する。

そのパーティーには絶対カイがいた。

けど、カイが一緒に参加した令嬢がいるはずなのに、その令嬢は一切出てこない。


……はしょられたってことだ。


それはつまり、一緒に参加した令嬢はモブということ。


「もしかして……やらかした?」


その令嬢の役が必要で、ゲームの強制力が働いたと確定するなら……モブの私を誘ってきたのは納得がいく。

つまりは誰でも良かったのだ。


誘ってきた相手は、カイ・マーフィー。


チャラ男属性だけど、後々自分が何かをしようとした時に都合が良いからそういう風に演じているだけで、そこまで女癖は悪くない。

どちらかと言うと、男だろうが女だろうが使える人間はとことん利用するような……所謂腹黒人間。


だが、そのことに気づいているのは主人公だけ。


つまり彼は、主人公以外の人間からすると、顔良し頭良し家柄良しの有料物件。

特に頭の良さでは作中一だと思う。

勉強が出来るということでは無く、綺麗じゃないことを考える頭の良さが、だけど。


……そんなカイ・マーフィーから文化祭のパーティーに一緒に行こうと誘われれば、彼の本性を知らない、婚約者や行く相手が決まっていない相手の大半は、頷くと思う。


そして、私はモブ。

婚約者はいない。

他の誰かから誘われているわけでもない。


しかも断る時に“大勢が集まる場所が苦手”という理由を使ってしまった。


社交辞令でそう言っただけだと、遠回しにあなたとは行きたくありませと言っているのだと、そんな風に思ったかもしれない。


ていうか、彼の人の裏を考える性格的に多分そう聞こえている。


そして彼は基本的に普通じゃないものを好む。

面白い、楽しそう……そんなものに惹かれる傾向にある。


それは、彼が何事も出来すぎたからだ。

何でもそれなりに出来るからこそ、思い通りにいかないものやことに夢中になる。

そんな性格をしている。


……つまり、モブの私は、断るべきじゃ無かったのだ。


今まで上手くやってきたのに、初めてやらかした。


“あくまでモブとして”


それを意識する前に、咄嗟のことに対応出来ずモブらしかぬ行動をとってしまった。



「でも、このくらいなら大丈夫……なはず。

……うん、大丈夫」



唱えるようにそう言って心を落ち着かせ、今の出来事をカイ・マーフィーが忘れてくれることを願いながら、自分の教室に向かった。



チャラ男登場!


……ですが、これから当分出てこなかったりします……(  ̄- ̄)

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