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チー牛、ラッパーになる  作者: ねーじ
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チー牛、「how to 韻踏み」を学ぶ2

翌日の昼頃にアイジェンからのDMがきた。



「―――――――――――――――――――――


≪レッスン③≫


今回は実際の内容を見て韻を踏む位置と、名称を学びましょう。


私の1バース表を例にあげます。



俺が「相手んな」る、名前は「アイジェンだ」

格の違いを「書いてんだ」それは頭の「回転だ」

お前を狙う「サイレンサー」『の銃口』

寿【命途切】れるまで『50秒』の【秒読み】

【証拠隠】滅して票の【総取り】



ここに改行された『5行』の文章がありますよね?

この『改行』されて一区切りになったものを『小節』と呼びます。

どこで小節を区切るかについては後ほど説明いたしますが、ひとまず『5小節』あるという事で話を進めます。


この5小節に散りばめられた『韻を踏んだ場所』を確認していきましょう。


「アイジェンだ」

「回転だ」


この二つの韻踏みを1セットとして注目してみてください。

この二つの韻踏みは小節のどこにあるかわかりますか?


小節の文末にありますよね?


『小節の文末にある韻のセット=押韻(おういん)


と呼びます。ここテストでます。


押韻=rhyme(ライム)とも呼びます。


押韻を作っていく事をライミングとも呼びます。

私は国語の先生でも無いので若干曖昧ですので、ざっくりと覚えてください。とりあえず知ったふりしてください。


では、この5小節の中に他にも押韻があるか探してみましょう。


【秒読み】

【総取り】


の二つがありますね。


私達はネット上で歌詞を書いていますが、自分達の事を「ネットライマー」と呼んでいます。


『ラッパー』と勘違いしがちですが、ラッパーとライマーは似ているようで少し違います。

ラッパーという言葉については後ほど説明いたします。



   ―――――――――――――――――――――」




ふむふむ。

俺が

「OKAGE de ラッパーデビューしちゃったyo!yeah!」

とか言ってたけど、あれは言い方を間違ってて、正確にはライマーデビューだったのか。


俺はまたアイジェンから追伸で「ラッパーデビューしちゃったなどと浮かれないようにしてください」などと送られてこないか警戒した。


……追伸はこないな。よし!



俺は警戒を解き、次のメッセージがくるまでこれまでのおさらいをしてみようと思った。


まずは、暗にクオリティが低いと評された俺の1バース裏を例にあげてみよう。


俺はチー牛「だyo」

戦闘開始「だぞ」

俺がお前を殺しに「きたぜ」

勝利は俺がいただ「いたぜ」



押韻が2カ所あるって事だな。

まぁ、こんな捻りも無い韻は「韻を踏んだ」とカウントされないらしいが、一応押韻は押韻だ。クオリティに関しては許してちょんまげ。



にしても……アイジェンのレスには押韻以外にもあちこちに韻があったがそれは何なんだろう?

別の名称があるのか?


しばらくするとアイジェンからまたメッセージが届いた。


おっ!待ってました!某通信教育の教材を待つ少年のような気分だ。



「―――――――――――――――――――――


もしかしたら「辛うじて押韻のある自分のゴミな歌詞に対してアイジェン様の歌詞には色んなところに韻があるなぁ」と思われているかもしれませんが、それについてお答えします。


≪レッスン④≫


俺が「相手んな」る、名前は「アイジェンだ」


ここの部分を見ると、1小節の文中で韻がありますよね?


文中で何度か韻を踏む事を『脚韻』と呼びます。


「この勉強で劣等生から天井へ上るよう目指してレッツゴーです!」


↑この文章中に「勉強で」「劣等生」「天井へ」「レッツゴーで」という脚韻がありますね。簡単ですね!



   ―――――――――――――――――――――」



「辛うじて押韻のある自分のゴミな歌詞に対してアイジェン様の歌詞には色んなところに韻があるなぁ」


……って、そこまで思ってねぇよ!

アイジェンめ、しれっとdisっていきやがるな。


なるほど。

例文の方がわかりやすかったが、テキトーに韻をぶち込みさえすれば脚韻と見なされるのか。



ここでまたアイジェンからメッセージが届いた。

マジでタイミング良くメッセージ届くけどガチで監視とかされてないか?




「―――――――――――――――――――――


≪レッスン⑤≫

これまで文末に配置する押韻と、文中に散りばめる脚韻を学びましたが、もう一つあります。



【(寿)命途切】れるまで『50秒』の【秒読み】

【証拠隠】滅して票の【総取り】


↑ここで【(寿)命途切】と【証拠隠】がありますね。


この文頭に配置された韻 を『頭韻』と呼びます。



『頭韻、脚韻、押韻』


これが韻踏みの基礎になります。



『これらを小節内にうまく散りばめつつ、無理の無い内容にして相手のdisにアンサーをする』


これが勝利のための条件になります。



あと、実際に音楽に乗せてラップした時に意識して欲しい『小節』なんですが、説明が面倒なので別の機会にお教えします。


とりあえず、やたら長すぎる文章量の小節にせず適度に改行してください(笑)



他にもいくつかルールやテクニックがありますが、そちらも別の機会にお教えします。



   ―――――――――――――――――――――」



ふーーむ。

実はある程度の評価基準というものがあったのか……


そうなると確かに俺の内容は韻もダメだし文章としても単調だったな。



まぁ、そこそこ勉強になったよ。うん。サンキュ!


面倒くさいがとりあえず返信しておくか。




「―――――――――――――――――――――


詳しい説明ありがとうございました!


これからは師匠と呼ばせてください!



   ―――――――――――――――――――――」



俺はチンケなプライドをけちょんけちょんのぎっちょんぎっちょんにかなぐり捨て、光の速さでアイジェン師匠の軍門に下ったのだった。




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