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待ちぼうけ

王宮に入ったガラシャ、待つ忠興……

「もうヨイチさん、よしましょうよ」

 すでに聖女ガラシャ一行が王宮に入って、三時間が経過していた。

 その間、忠興はずっと城門前でガラシャが出てくるのを待っているのである。夕日が落ち、辺りは薄暗くなっている。

 城門を守る衛兵が、忠興を不審がり咎めるのを、アルトのパーティーが

「この人、聖女様を一目見たいと……ええ、そうなんですよ」

と、上手く誤魔化してくれた。

 そして今も、忠興を説得しているのだった。

「きっと今日のところは、聖女様は王宮でもてなされて、そのまま泊まりますよ」

「だって、単なる冒険者ではなく国賓として来てるんですから」

 アルトが言う。

(確かにそうだな)

(王ともあろう者が、そんな無礼をするはずがない)

 忠興は思った。

「あと、絶対に揉め事は起こしたら駄目ですよ」

「いくらヨイチさんが強いと言っても、国一つを相手にできるはずがないんですから」

 切実な訴えだった。

 忠興と、アルトらの関係はただ荒野で知り合っただけの関係に過ぎない。しかし、もし忠興が事を起こせば、その咎はきっとアルトらにも降りかかってくることは理解できた。

 ただ、忠興は、たとえ一国を敵としても、珠に会いたいという思いがあった。

「今日は休んで、明日にしましょう」

 サイモンが言う。

 納得した忠興が、ようやく城門前から移動し始めた。

「俺らの取ってる宿があるんです。そこに行きましょう」

 アルトが、ほっとした様な表情で忠興を案内した。

「何故……お前らは」

 そこまでワシに気を遣うのだと、忠興は続けようとした。

「ちっちっち、冒険者は助け合わないと」

 アルトがニカリと笑顔を見せた。

「今日、助けてもらったお礼ですよ」

 サイモンも笑った。

(武士は相身互い……と、いうことか……)

 忠興は、異世界にも武人を見た気がして嬉しく思った。

尺の都合で短いです。

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