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後始末


「王子、ご無事でしたか?」

 ベアトリスが王子に駆け寄る。幸い、王子に負傷はない様子である。

「すまない。恩に着るよ」

「君も、大した腕前だな。ヘルマンは騎士としてもなかなかの剛の者だぞ」

 王子が、ベアトリスと、ヘルマン卿を縛り上げる忠興に声を掛ける。

 すでに、部屋には騒ぎを聞きつけた貴族たちが押し寄せていた。

「ヘルマン卿が……」

「謀反ですか」

 ヒソヒソと話し合う。

 そこに、遅れてようやくローラン卿が戻って来た。ソフィアも一緒である。

「すまない。この罪は万死に値する」

 そう言って、王子の前にローラン卿は跪く。護衛の任務を放棄して女といたというのであるから、申し開きの仕様もなかった。

「ヘルマンに言われたのか」

 忠興が顔面蒼白のソフィアに尋ねる。ソフィアは頷くのがやっとの態である。

「だろうな」

 ヘルマン卿は、ローラン卿に対してソフィアが死んだという噂を聞かせた上で、ソフィアに対してはパーティーで会えるように取り計らうと約束をしていたのである。

 全ては、王子からローラン卿を引き離すための謀略であったわけである。

「私としても騎士として、面目ない話ではある。それにギュスター家に仕える騎士が私を救ってくれたおかげで、ケガはない」

「何も、お前一人が責任を感じることはない」

 と、王子はローラン卿の腕を取って、立ち上がらせた。

「それに、レディの誘いを断るのはフロン騎士道に悖る行為でもあるしな」

 そう言って、笑ってみせた。

 この王子、武芸に関してはからっきしであるが、上に立つ者としての度量は備えているなと忠興は感じていた。

「それで、こいつはどうする?」

 忠興が、縛り上げたヘルマン卿を王子の前に引き出す。口に轡を嵌められ、舌を噛み切ることもできないヘルマン卿は、抵抗を諦め、首を項垂れている。

「おお貴公が、王子を救ってくれたギュスター家の騎士か。すまない、恩に着る」

 立ち上がったローラン卿が、忠興に歩み寄る。

「その男は、私が地下牢まで連れていこう」

 そう言うと、ローラン卿は忠興からヘルマン卿の身柄を受け取った。

「では、これで」

 自分を嵌めたヘルマン卿に対して、流石に腹が立つのだろう。ローラン卿は、ヘルマン卿を引きずるように連れて部屋から出て行った。城兵たちもそれに続く。

 ソフィアも、ローラン卿の後を追おうとしたが、自分の出る幕はないことを悟り、その場に立ち尽くし、恋人の背中を見送った。

「さて……」

 王子が、悠々と歩き出す。

「それではパーティーの続きを楽しむとしよう」

 貴族たちが戸惑いを見せる中、ジュリアン王子は部屋を出て行く。

「何だありゃ、バカなのか?」

 モーレットが陰口を叩くが、忠興は声を出して笑った。

「ふはは、なかなか肝も据わってるおるではないか」

 そのまま、ベアトリスに手招きをして王子に続いた。

「よし、このチャンスを逃しはしないわよ」

 ベアトリスも、裾をたくし上げて小走りで着いて行く。

 その後のパーティーは、忠興とベアトリスは終始、話の中心であった。ヘルマン卿の陰謀から王子を助けた、令嬢と騎士は夜が明けるまで貴族らの歓待を受けたのであった。


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