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私の英雄は吸血鬼  作者: 希乃
第一章 出会い編
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第8話 やってきた吸血鬼

「じゃあ行ってきます、おじいちゃん」


 朝、学校に行く準備と朝食を済ませた私は、制カバンをよいしょっと肩にかけ、おじいちゃんに挨拶をした。


「ああ。気をつけるんじゃぞ」


 おじいちゃんは、今日も玄関まで送ってくれている。


「うん、じゃあね」


 おじいちゃんに微笑み、私は家を出た。


 とは言っても、やっぱりいざ外に出た時の倦怠感は変わらない。すぐさま家に引き返したくなるけど、おじいちゃんを悲しませるわけにもいかない。


 だから頑張るしかないのだ。


 今朝は暑いほどの快晴。昨日は雨が降ってて梅雨だなって思ってたけどこんなに暑いと夏が近いんだなってひしひしと感じる。


 道なりに歩いていくと、()()横断歩道に着いた。


 そう、昨日私がイアンさん達と初めてご対面したところ。


「昨日は、ほんと楽しかったな」


 ポツリと声が漏れた。


 途中で天兵が来て大変だったけど、イアンさんやキルちゃん、ミリアさん、そして(まこと)さんの連携プレーのお陰で、無事に人間界に戻ってくることができた。


 また行きたいな。誠さんにお願いしてみよう!


「そういえばイアンさん達、大丈夫かな?」


 信号が変わって横断歩道を渡りながら昨日のことを思い出していると、急にイアンさん達のことが心配になった。


 あの時は学校に行かなきゃってことが判明して焦ってたけど、よくよく考えるとキルちゃんが最後まで戦い切れたのかどうかも、あの後イアンさん達がどうなったかもわからない。


 キルちゃん、死んでないよね? 途中でミリアさんが助けに行ってくれたし。


 鬼衛隊の皆が苦戦するくらいだから、天兵の強さは並大抵じゃなさそうだし、そう考えるとキルちゃん一人じゃ、やっぱり荷が重かったんじゃないかな。


 もし私のせいで、怪我してたり大変なことになったりしてたらどうしよう。謝っても謝り足りない。


 ひとまず学校が終わったら、すぐにVEOの基地に行って誠さんに吸血鬼界へ連れて行ってもらおう。


 そう思うと学校が終わるのが楽しみ。それを糧にすれば、今日の学校もいつもより我慢しやすくなる!


「頑張ろう!」


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 とは言ったものの……。


「はぁ……」


 午前の授業が終わり、昼休みに入っていた。


 弁当を教室で(勿論ぼっちで)食べながら、私はため息をついた。


 昨日丸々学校を休む形になってしまったせいで、連続で行われる科目の授業に全くついていけなかったのだ。


 おまけにノートを見せてくれるような友達もいないし、私自身も自分から頼めない。


 そんなことを思いながら例の世界一の卵焼き(おじいちゃん特製)をほおばった。


 ちなみに連続で続いた科目っていうのは数学。


 その担当の先生は、毎時間復習をしてから授業をしてくれる先生だから、六割くらいわかって助かったけど、もし復習しないで次々進む先生だったら私は完璧に終わっていた。


 授業休んだら命取りになってしまうのが、高校という場所なのだと改めて実感する。


 とにかく、今はイアンさんやキルちゃん、ミリアさんに早く会いたいし、他の鬼衛隊のメンバーのことも知りたい。


 イアンさんが『鬼衛隊は三人だけじゃない』って言ってたから、きっとミリアさんの他にも居るはずなのだ。


 楽しみだな〜。思わず頬が緩んでしまう。


 ヤバイヤバイ、一人で笑ってたらそれこそ変人だよ!


 急いで教室を見回したけど、皆おしゃべりに夢中で私のことなんか誰も見ていなかった。


 良かった……! ありがとう、皆! ()()()感謝!


 とにかく、今は我慢して午後の授業を受けなきゃ。そして学校が終わったら真っ先にVEOに突入!


 よし、計画は完璧だ。


 私がそんなことを思っていると、急に窓を叩く音がした。しかも音がするのは私の真横の窓だ。


 何かあるのかと思って私が横を見ると、何とそこには______!


 ニコニコ笑顔のイアンさんともう一人、初めて見た吸血鬼さんが居て、私の方を窓越しに見ていたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで読ませていただきました。意表を突くようなことが次々と起こる展開の速さがとにかく印象に残ります。吸血鬼の世界にガラケーがあるのには思わず笑ってしまいました。 [気になる点] 謎な部分…
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