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私の英雄は吸血鬼  作者: 希乃
第三章 夏合宿編
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第63話 妄想大爆発!

 結局私はその後、夏合宿の参加申込書の「参加する」に丸をつけて、自分の名前とおじいちゃんの名前を書いて提出した。


 厳密に言えば列の一番後ろの私が列の子達の分を集めて先生に出したんだけど、お察しの通り皆の扱いが酷かった。


 大袈裟だけど指が切れるんじゃないかと思うくらい猛スピードで私の手に紙を投げつけるかの如く渡してくるスタイルなのだ。


 悲しくて涙が出てくる。


 その様子は隣の席の風馬(ふうま)くんも見ていたようで、


「雑なやり方しないでって言えば良いじゃないか」


 アドバイスをくれたけど私には絶対に無理!


 仮に言ってごらん? 冷た〜い目と舌打ちが返ってくるよ。


 おまけに今の私は『転校生を味方につけた脱ボッチ』ポジションにいるらしい。


 これも風馬くん情報。


 風馬くんは何かと色々教えてくれる。そしてその度にアドバイスをくれる。


 でも私は実行できないまま。


 ていうか、別に風馬くん味方になんかつけてないし!


 楽しく喋ってるだけなのにそれって軽い嫉妬じゃない?


 それに今までの『空気』な私じゃなくなったんだから扱い方変えてくれても良いのに、と多少傲慢かもしれないことを思ってしまう。


 そんなこと口が裂けても言えないけど……。


 傲慢……かな? まぁ、いいや。


「うぅ、そんな事言えないよ」


 やっぱり諦めよう。今は風馬くんとの親睦を深めるんだ。


「でも、あんなやり方されてムカつかないか?」


「うん、嫌だけど……」


 自分のこととなったらナヨナヨしてしまう。だって私を嫌ってる人達に話しかけるなんてハードルが高すぎる。


 絶対『はぁ⁉︎ んだお前ゴルァ!』とか言われそう。怖すぎるよ。絶対無理!


 私が異世界転移してることを知っても風馬くんが変わらず接してくれるだけでありがたいんだから。


 それに夏合宿の班行動になったらずっと二人っきりで居られるんだ。


 これほどの幸せはないよ。まさか私がリア充っぽい青春を送れるなんて……!


「私は大丈夫だから気にしないで」


「そうか?」


 風馬くんはそれでも心配そうだった。


 ていうか、おじいちゃんにしろ風馬くんにしろ、私のことあまり信じてくれないよね。


『大丈夫だよ』『気にしないで』の後に来るのは必ずと言っていいほど『そうか?』『大丈夫?』なんだもん。


 ちょっとは信用してよ……。


 信用に値するような人間じゃないことは自分でも重々承知してるから……。


 ダメダメ! 気持ち切り替えて!


 あと三日後に迫った夏合宿!


 思いっきり楽しむぞ〜!


 私は潔くガッツポーズし、それを天に掲げてみせた。


「何やってるんだ、村瀬」


 とうとう風馬くんにも呆れられちゃった……?


「村瀬さん座りなさい」


 先生にも怒られた。


 ていうか今普通に朝礼中だった……。


「す、すみません」


 素直に謝罪して席に座る。幸い私のことを見るのは風馬くんだけだったから良かったけど。


 変な動きはするものじゃない!


「村瀬、張り切ってるな」


 ……風馬くん、何て優しいの? 風馬くんの笑顔が見れたから良しとしよう。


 帰ったら夏合宿の準備しなきゃ。楽しみだなぁ。

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