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私の英雄は吸血鬼  作者: 希乃
第二章 天界の天使編
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第37話 あなたたちは誰ですか?

 村瀬雪とイアンが鬼衛隊のログハウスへ戻った頃、戦場となった市場では吸血鬼vs天使の怒濤のバトルが繰り広げられていた。

 どちらも譲ることなく攻めていく。吸血鬼の方が圧倒的に人数は少ないものの、鬼衛隊の面々はその差をカバーするように次々と必殺技を放っていた。


「【炎嵐ファイヤー・トルネード】!」


 レオが、片手剣に大火炎を纏った必殺技を繰り出す。


「うわあああっ!!」


 レオの前に居た天兵軍達は、彼のあまりの強さに次々と倒れていく。

 そして倒れた仲間を見て他の天兵軍達がたじろいだ瞬間、彼らに追い討ちをかけるように、また新たな必殺技が彼らを襲った。


「【剣光(ソード・フラッシュ)】!」


 同じく鬼衛隊のメンバーのキルが短剣を片手に天兵軍達の間をくぐり抜けていく。

 彼女が通った後の天兵軍達は攻撃を受けてドミノ倒しだ。


「【回復華(リカバー・フローラル)】!」


 後衛では同じメンバーのミリアが二人が受けた傷を両手から繰り出す回復魔法で癒していた。

 そのまま順調に吸血鬼達は勝ち進み、ついに天兵長ルーン・エンジェラを残すのみとなった。



 ※※※※※※※※※※※※※※※



 私が見たのはここから先の出来事だ。

 急いであの場所に戻ると、既に天兵軍達は地面に倒れていて立っているのはルーンさんだけの状態だった。

 それは鬼衛隊の圧倒的な勝利を物語っていた。


「皆さん!」


「ユキ! 隊長は?」


 私が駆け寄るとレオくんが心配そうに聞いてきた。


「大丈夫。私がちゃんと手当てしたよ」


 私がそう言うと、レオくんは安心したように口角を上げた。


「それと、イアンさんに頼まれて様子見に来たんだけど……」


 そう言いながら、私はもう一度目の前の光景を眺める。

 こんなに悠長にしてられるのは、三人が頑張ってくれたおかげだ。

 目の前、といっても少し離れた所。そこでは、ルーンさんが無表情でこちらを見ていた。


「数の割にはあっけなかったよ」


 余裕顔のキルちゃんが『えっへん!』と胸を張る。


「皆さんに怪我がなくて良かったです」


 私が言うと、レオくんがミリアさんに向かって微笑んだ。


「ミリアさんの治癒魔法のおかげですよ。ありがとうございます」


「とんでもございません、レオ様」


 レオくんの賞賛を受けてミリアさんが慌てたように両手を振る。


「ねぇ、天兵長」


 キルちゃんがルーンさんに呼びかけ、得意顔のまま挑発するように尋ねた。


「もうあんただけになっちゃったけど、どうする? 今すぐ吸血鬼界から出て行ってくれるなら命までは取らないけど」


「え!? い、命って……」


 本格的なバトル台詞に思わず困惑してしまう。

 キルちゃん達は本気で天界を潰そうと思っているんだ。

 自分達にとっては敵の世界だし当然かもしれないけれど。


「当たり前だ」


 レオくんがルーンさんを睨み付けたまま言った。


「あいつは俺達にとって最大の敵なんだ。生かすか殺すか、俺達が決めるんだ」


「どうするのかしら? 天兵長」


 キルちゃんがまたもルーンさんに、さらに追い討ちをかけるように尋ねる。

 だけどルーンさんは、余裕そうなその表情に微笑をたたえたまま一瞬俯いた。


「何を笑っているのですか」


 その訝しげな態度にミリアさんが声をあげる。

 たった一人なのに、まだルーンさんの中には余裕があるというのだろうか。


「勝負はまだ終わっていない」


 そして顔を上げ、自信たっぷりに私達を鋭く光る瞳で見据えたルーンさん。


「これからが本番だ」


「どういう意味よ」


 キルちゃんが警戒心を剥き出しにする。

 レオくんとミリアさんも腰を低くして体勢を整える。

 一瞬にしてその場の空気が重たく冷たいものに変化した。

 キルちゃんがルーンさんに尋ねた直後、急に二つの攻撃が私達めがけて飛んできた。


「伏せろ!」


 レオくんの叫び声を聞いて私達は一斉にしゃがむ。

 すると数秒も経たないうちに私達の後ろの地面がひび割れた。


「これ……」


「ボス! 遅くなった!」


 不意に男の人の声がして振り向くと、ルーンさんの側にいつの間にか二人の男天使が立っていた。


「すみません! 用意に手間取ってしまって……」


 一人の男天使がルーンさんにペコペコと頭を下げた。

 白髪に鮮やかな水色の髪が数本混じったマッシュルームヘアーで、その手には小型で水色の弓矢を持っている。


「いや、ギリギリで間に合ったから許してやる」


「ありがとうございます!」


 ルーンさんの言葉にもう一度深々と、頭が地面につくんじゃないかと思うくらい勢いよく頭を下げる男天使。


 彼をよそに、ルーンさんを『ボス』と呼んだ男天使が私達に目を向けた。

 白髪に鮮やかな緑色の髪が数本混じっているツンツン尖った髪型で、その手には植物のツルで出来たような茶色い双剣を持っている。


「おい、お前ら! 油断してたか知らねーが、オレ達が来たからにはもーよゆーな面させねーからな!」


 ビシッと指を差されて、私は思わず尻込みしてしまう。

 でもキルちゃんとレオくんは違った。


「ふん! 何よカッコつけて! やれるもんならやってみなさいよ!」


「俺達をナメてもらっては困る!」


 それぞれ短剣と片手剣を手に取り、戦闘準備の構えをする二人。


「気を付けてください、このお二方からタダならぬ力を感じます!」


 ミリアさんが警戒心を募らせて二人に警告。


「大丈夫よ、ミリア!」


「三対二、俺達の方が有利です。これならいけます! ミリアさん、援護頼みます!」


 そう言うが早いか、キルちゃんとレオくんは目にも止まらぬ速さで敵の二人に向かって突進して行った。


「よーっし、オレ達も負けてられねーぞ、ウォル!」


「う、うん、フォレス。でも向こうも強そうだから冷静にね」


 緑色のツンツン髪を持つフォレスが意気込み足踏みをした。

 その横で、水色のマッシュルームヘアーを持つウォルが不安そうになだめる。


 ____吸血鬼三人vs天使二人による、第二戦闘が幕を開けた。

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