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私の英雄は吸血鬼  作者: 希乃
第一章 出会い編
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第27話 ただいま、人間界

「じゃあマコト、世話をかけるがよろしく頼む」


 私に笑顔を向けてくれた誠さんに、ルーンさんが頭を下げた。

 まるで親のような口ぶりだと思いながらも、誠さんが私を大切に想ってくれているのだと感じて、少し嬉しくなる。


「ああ、任せろ。後のことはこちらでしっかりやっておく」


 誠さんは、黒縁メガネを動かしながら力強く頷いた。


「あの、色々とありがとうございました。ちゃんと怒ってくださって。私、やっぱり甘えてました。自分で何もやろうとしないで勝手でした」


 俯く私を見つめる、ルーンさんとフェルミナさんの視線を感じる。

 私は自分の思いを二人に伝えた。


「でも、もうやめます。ちゃんと頑張ります。だから……イアンさん達には、吸血鬼界には攻撃しないでいただけますか?」


 私の言葉に、ルーンさんとフェルミナさんは微笑んで顔を見合わせた。


「お前の行動次第だな」


「頑張ってくださいね」


「はい! ありがとうございます!」


 試すような口ぶりのルーンさんと、応援してくれたフェルミナさんに勢いよく礼をして、私は誠さんの方へ足を運ぶ。


「よし、じゃあ帰るか、雪」


 誠さんの言葉に頷くと、誠さんは引き連れた部下達にアイコンタクトを送った。

 それと同時に、部下の一人がスイッチを押す。

 すると、吸血鬼界やVEOの基地で見たのと同じ魔法陣が地面に現れた。

 誠さんが私の肩を抱いたままその上に乗り、二人の女天使に向き直った。


「色々と世話をかけたな。感謝する」


「我は何もしておらん。我々は同盟を組んでいる者同士だ。当然だろう」


 誠さんの言葉に、ルーンさんが言った。

 そんな二人の会話を聞いていると、魔方陣の光で目の前が真っ白になり、やがてその光は私達を包んだ。

 天界から姿を消す私達を、ルーンさんの横でフェルミナさんが礼をしながら見送る姿があった。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「着いたぞ、雪」


 誠さんの声に目を開けると、そこには見覚えのある景色が広がっていた。

 かつて、イアンさん達吸血鬼の訓練に巻き込まれた時に、私が寝かされていた部屋だ。


 あの時と変わらず、壁や床は白いまま。

 私達を包んだ魔法陣とその光は消えていて、少し離れた場所に白い机、その上に黒いパソコンが一台置かれてあった。


「お前のお爺さんには連絡済みだ。家まで送るから車に乗れ」


 黒眼鏡を二本指で上げて、スーツの襟を整えながら誠さんが言う。


「はい、わかりました」


 頷いて出口に向かい、誠さんの赤い愛車に乗り込む。


 エンジンがブルブルと待機音を出した直後、キーッとタイヤの擦れる音と共に車が発進した。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「ありがとうございました」


 家に着いた私は、誠さんの車から降りると、お辞儀をしてお礼を言った。


「確かお爺さんは仕事中だったな。ちゃんと電話をしておくんだぞ。俺からの連絡だけだと、不安になられるだろうからな」


 誠さんが、助手席の窓を開けて念押ししてくれる。


「分かりました」


「ではまた。何かあったらすぐに連絡してくれ」


 誠さんの言葉に私が頷くと、誠さんは助手席の窓を閉めて前を向き、アクセルを踏んで車を発進させた。

 赤い車が見えなくなるまで私はそれを見ていた。

 これからの()()に対して意気込みながら。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「もしもし、おじいちゃん。家着いたよ。誠さ____VEOの人が送ってくれたの」


 私は誠さんに言われた通りに、仕事中のおじいちゃんに電話をかけた。

 幸い、おじいちゃんも授業が終わっていたようで、電話のコールは数回で済んだ。


「そうかそうか。とにかく無事でよかったぞ、雪。ちょうど学校が終わったくらいの時間に電話したんじゃが出なくてな。何回試してもダメで不安になってたんじゃ」


 おじいちゃんの言葉に私は首を傾げた。


「じゃあ何でまこ____VEOの人助けてくれたんだろ」


「さぁ。それは分からんが、ひとまず雪に何もなくて良かったわい」


「ありがとう、おじいちゃん。じゃあまた家でね。今日も遅くなるようだったら、私が晩ご飯作るけど」


「そうか?」


 おじいちゃんの声色が急に明るくなる。


「ならお願いしようかのう。久しぶりの雪の手作りじゃな」


「うん。じゃあね」


 喜んでくれたおじいちゃんに嬉しくなりながら、私は通話終了ボタンを押してスマホをポケットに突っ込んだ。


 まだ夕暮れも来ていない時間帯だけど、早めに作っちゃえ!


 今日はおじいちゃんの大好きなカレーだよ!

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