1の6 ランの友達、僕の同郷
やぁ諸君、緋烙だよ!
あれからランは良く遊びに来るようになった。 どのくらいかって云うと、週2のペースだ。
……ランって小学校行ってるはずだよな?
お、今日もランが来たみたいだ。ん?今日はもう一人来ているみたいだな。ランの友達か?
「ラクちゃーん、遊びに来たよ!」
「いらっしゃい、ラン。
今日は友達も連れてきたんですか?」
「うん、そう!ほらオトちゃん、挨拶して」
「……どうしてこんな怪しい奴に挨拶しなきゃいけないんだ?」
ランが連れてきたのは、赤色の髪に橙色の瞳をした男の子だった。……ていうか、怪しい奴って………。
「……自分で分かっていましたし最もな事ですけど、他人に言われるのは辛いですね…………」
「なら、そのお面外せばいいだろ」
「これ呪いの装備だから取れないんですよ」
「え……マジで?」
「マジです。大マジな感じです」
「マジかよ……なんか、ゴメンな」
「いえ、別にいいですよ」
「……俺は音波っていうんだ、よろしくな」
「僕は緋烙といいます。よろしくお願いしますね」
僕は二人を机のある和室に案内した。
「さてと。それじゃあ今日は何をしますか?」
「ん?何をするか決まってないのか?」
「そうだよ、いつも来てから決めるんだ!」
「ランは来るのが不定期ですしね、計画は無いです」
「それ、お前の都合とか予定は大丈夫なのか?」
「まあ基本的に僕はこの屋敷から出ないですからね。予定も何も無いですよ」
「閉じ込められてるのか?」
「………まぁ確かに最初はここに置き去りにされましたけど、どちらかと云うと引き篭もってますね。
それに、この世界の魔術という物も気になりますし」
「この世界?」
「あー、珠にラクちゃんってそういう事言うんだ。
不思議だよね!」
「……なあ緋烙、お前もしかして転生者か?」
「そのワードが出るという事は、音波君も?」
「まぁな」
「へぇ~前世は何だったんですか?」
「男子高校生。ちょっとした小説を書いてた」
「それは凄いですね」
「そこまで人気のないネット小説だったから。
そういう緋烙の前世は?」
「僕も高校生でした。入学したばかりでしたが」
「そうなのかー、御愁傷様だな」
「そちらこそ、御愁傷様です」
「二人とも何の話してるの?俺も混ぜて!!」
「あー……いいか肆蘭、これは、絶対秘密だぞ?」
「うん、絶対に秘密!父上にも母上にも言わない!」
「じゃあ話すぞ。まず、俺と緋烙には前世の記憶があって、それを覚えている奴を転生者っていうんだ」
「?前世?」
「音波、説明が小難しいですよ。
要するにですね、僕達は、自分が自分になる前の記憶を持っているんです」
「緋烙が緋烙になる前?」
「はい、そうです。髪や瞳の色だって違いますし、顔や声、背だって違います。その、自分になる前の人物の記憶を持っている人達の事を転生者と言うんです。
分かりましたか?」
「………うん、何となく」
「そうですか、それは良かったです。
では、絶対秘密ですよ」
「わかった!」