破壊神神話~異能力者達の銀河最後の日~
"それ"は羊の角、ハンマー状の尾、黒い装甲の様な肌を持つ悪魔の姿した"何か"だった。
"それ"は雄叫びを上げて地を揺らし、大気を振るわせて若い男女の集団の前に現れる。
その男女は周囲を破壊しながら戦っていた。
彼らは全員、異能者と呼ばれる超常現象を操るSランクの能力者達である。
彼らは今まさに最終決戦の真っ只中であった。
「なんだ、あれ!?」
「俺達と同じ異能者じゃねえ?」
「でも、あんな奴見た事もないよ!」
「ねえ、なんかヤバくない!?関わらない方が良いよ!!」
そんな事を相談している中、一人の青年が"それ"に向かって行く。
彼は転送者である。
転送者は"それ"を危険と判断し、別の場所に転移する為に背後に瞬時に回り込み、"それ"に触れようとする。
次の瞬間、転送者の上半身が吹き飛び、腸や内臓、目玉や脳髄などを撒き散らせながら血飛沫を上げて倒壊したビルまで下半身が転がって行く。
"それ"は口から青白い炎を漏らしながら、呆然とする彼らに襲い掛かる。
最初に我に返ったのは自然発火能力を持つ屈強な身体の持ち主だった。
彼はその発火能力を"それ"に向かって使おうとする。
だが、それはあまりにも早く彼の目では追いきれなかった。
断末魔や悲鳴がそこらかしこから発せられる。
どうして、こんな事になったのかーーと彼は考える。
(俺達が調子に乗り過ぎて戦い続けたからか?これは神の怒りとでも言うのか?)
信心深い彼は考えた。
ーーと"それ"と視線が合う。
「神よ!俺にちかーーぎゃあああああぁぁぁーーっっ!!」
彼は発火能力を使う前に"それ"が吐き出した巨大な青白い業火の玉を受け、周りの連中と一緒に一瞬で灰塵に帰す。
それを見て、戦っていた異能力者全員が"それ"を恐怖の対象として認識する。
「うわああああああぁぁぁーーっっ!!」
「あんな化け物に敵う訳ないよ!」
「逃げろおおおおぉぉぉーーっっ!!」
逃げ惑う彼ら。
中には果敢にも"それ"に挑もうとする者もいたが、そう言った者はその拳で粉砕され、尾で胴体ごと吹き飛ばされ、蹴りで壁にオブジェの様に張り付かされた。
失禁してへたりこみ、動けない少女や"それ"の気にあてられ、気を失う者もいた。
やがて、戦いと云う名の虐殺が終わると"それ"は天高く舞い上がり、宇宙へと飛び立つ。
そして、数分で惑星より巨大な身体へとなるとその惑星へと拳を叩き込み、惑星の核となる部分を爆破する。
かくて、一つの星が超新星となって終わりを迎え、"それ"の雄叫びが宇宙に響く。
そうして、生命の悲鳴や断末魔、無念さ等を取り込む様に"それ"は更に肥大化すると他の惑星を壊しながら、その翼で飛翔する。
だが、それで終わりではなかった。
それは銀河系を抜けると太陽を握り潰し、銀河系に強大なビッグバンとフレアを残す。
塵と灰になった銀河系。
そこに"それ"は新たな惑星と命を吹き込む。
そうして、新たな太陽系が産み出され、新たな生命が産まれる。
生命はやがて、進化し、再び人類が産まれるだろう。
その間、"それ"は別の次元の別の世界へと飛び立つ。
終わりのない破壊と生を繰り返す為に……。
其は破壊神、⬛⬛⬛⬛⬛。
終わりにして、始まりを司る存在なり。
これって昔、書いたのと同じな気がするなぁ
(;・ω・)ヾ