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ヒューマンドラマ

カッパ発見

作者: 山目 広介

 あれは大学で何故か部活を始めたときのころだった。

 そもそも大学に入って何故にサークルではなく部活なのか? 部活に誘った友人は初日に逃げたヘタレだ。


 部活の準備運動で汗を掻いて、ストレッチの名目でくたばって横になっていたところに影が差す。

 見上げるそのシルエットに子供のころ見たおじさんの頭部を連想した。

 髪はあるのに頭の形が透けて見えた。髪の毛が細いのだ。もみあげもなく、眉もない。いや、それは言い過ぎだが、実際片眉を数えても6本だった……。

 前髪は生え際を隠すため伸ばされていた。

 顎は髭もなく、つるりとしていた。まるで尻だった。顎、割れてるんだよね。

 まあ、印象は普通のやつだったが、その陸上部では経験者であったわけでいろいろ世話になった。

 しかし私が怪我して復帰後の初練習、準備運動の時は問題なかったが本気で走ったら痛んで、結局そのまま部活をやめてしまった。それで連絡断ってしまい、月日が経ってしまった。


 再会したのは4年の秋ごろだ。

 図書館で調べものしていたら、声を掛けられた。

 懐かしく、来年の事など聞いたり、現状話したり。部活が一緒だった共通の友人が留年したとか、少々話し込んだ。

 そして別れた。


 そのとき!


 私は見た!


 彼の後ろ姿を!


 正確にはその頭部を!


 カッパだった。お皿があった。

 バイト三昧で何故に大学来てるか不思議な奴の、ストレスで禿げたと言っていた十円ハゲとは比べられないぐらい大きい。

 日本人ならこれだけで言いたいことは伝わったことでしょう。

 彼は留年や浪人はしていなかったため、22歳ぐらいのはず。

 私は耐えた。撮影したい衝動に。

 しかし、友人にそれはないだろうと。

 カッパは人ごみに紛れていった。

 机に突っ伏して、もう一つの衝動をこっそりと吐き出した。

 客観的に見て、不気味だったかも知れない。全身を痙攣させていたからだ。

 だって、あの後ろ姿見ちゃうと、ね。

 く、くすくす。


 その後、彼とは会わなかった。

 が、次の年のボスは横髪を伸ばして頭頂を隠していた。

 人の出入りなどで髪型が崩れると直していた。その後ろ姿は彼が思い浮かぶ。つまりカッパだ。

 関係ないが私は2年後、そこを辞めていた。

 ワ、ワラッテナイヨ。ホントダヨ。



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