Clematis
気付かれない程度に仄かに香る、百合、注意です。
オリジナル創作キャラクターのお話です。
よその子お借りしてます。
高く蔓を巻きつけ、此方へ伸ばして、
私を雁字搦めに絡め取るかのようにして女王は咲き誇った。
その姿は優美で妖艶、そして残酷。
まるで貴女みたいで、愛おしくて堪らなくて、首から折った。
ぱき、と音を立て、呆気なく
彼女は死んでしまった。
それから、青藤色の花弁を一枚一枚毟って、口に放り込んだ。貴女を手に入れたい。何としてでも全てを口にしなければいけないと思った。
案の定それは、舌に触れると、吐き気がする程甘くて苦い、貴女の味を残していった。
花は何時の日か枯れる運命にある。
しかし、心から愛していた花ならば、
枯れた姿も美しいと
感じるのではないだろうか。
勿論、貴女の美しくない面も愛せる。
貴女の為なら命さえも投げ出そう。
「私はこんなにも貴女を見てるのに」
熱に浮かされ独り呟く声は誰にも届かないだろう。
無惨に千切れ、口元から零れ落ちた一枚の花弁が盗み聞きをしていなければ。
初めての高揚感や焦燥、宙に浮いたような気持ち。そんな恋慕の情に身を焦がす私。…馬鹿みたいだ。
あの人なんて、好きじゃ…なく、ない。
傍らに咲くクレマチスは、私を嘲笑っているような気がした。