それは確かに勝利だったはず
「なんの…つもりだ?」
地球を守るために選ばれた5人の戦士は、長い戦いを共にしたスーパーロボを犠牲に侵略者の要塞に突入、今まさに侵略者の帝王と向き合っていた。帝王を倒せば、この戦いは終結する。すでに要塞の機能はほぼ沈黙し、新しい侵略メカを作ることもないだろう。そんな中
「諸君の奮戦に最大の敬意を。そしてまだ若い諸君を1年にわたり戦いに縛り、傷つけたことを深くお詫びする」
土下座、でこそないものの、おそらく帝国の礼儀で最大の敬意と謝意を示すであろうしぐさで帝王にわびられる、という事態に5人の戸惑いはいや増すばかりだった。
「だ、騙されてるんじゃ?」
「いや、あの眼は真剣だ。むしろうちの博士の方がよほど胡散臭く思える】
「比較が悪いんじゃないかしら」
「戸惑い、疑うのは当然だ。だが、よければ説明だけさせていただけるだろうか?」
「…聞こう」
帝国は、汎宇宙文明圏の一角をなしていた。その文明圏には、永きにわたって守られてきた、多国間条約があった。すなわち、『紛争は対等でなければならない』
もし、技術レベルが低い相手と武力衝突になった場合、相手の技術レベルに対して同等の技術で戦わねばならず、その厳格さは、格差が大きすぎる場合は釣り合う技術を供与してでもまもられなければならない。
「そう、例えば君たちの愛機だったスーパーロボのように」
また、こうも記されている。『新規文明との交渉権は、友好的、非友好的にかかわらず最初に接触した勢力に優先権が認められる』
「我々の文明圏において、未知の文明というのは貴重なのだよ。もう50000年も発見されていない。悠長に交渉準備していたら、どの勢力に出し抜かれるかもわからなかったんだ」
さらに、帝国の気風として、軟弱なものを嫌い、勇敢で誇り高いものを尊ぶこともあった。
「つまり、用意した戦力程度に屈するなら、むしろ放置でいいのでないか、という空気があったのは、事実だ」
「そんな事のために!!」
「できるだけの配慮はさせてもらった。攻撃目標は無人プラントばかり厳選したから物的、経済的被害はともかく、こちらの把握する限り人的被害は皆無だったはずだ。もちろん、勝利した諸君には十分な補償を約束する。我々が提供できるテクノロジーは、諸君の発展に大いに役立つだろう」
「諸君の健康と学業のため、戦闘は必ず日曜朝にかぎるようにしたし、時々は1週間以上のインターバルを置いた」
「…基本1体ずつしか出てこなかったのも?」
「公平性を保つためだ」
「たまに2対1だったりしたのは?」
「勇猛な諸君は我々の母星でも大人気でね。多少ピンチを演出したことも認める」
「話は分かった。皇帝。後はこっちの偉いさんと話してくれ。ただ…」
「ただ?」
「「「「「 1 発 殴 ら せ ろ 」」」」」




