1-07 建国祭 4
「今はまだ困るのよ。その名前を出されるの」
フィリア姫は柵の2本の横棒の間から這うような格好でアルベルトとミリーの間に顔を出し、ポコンのバケツに手を伸ばしている。道側からみれば、柵からケツを突き出した滑稽な姿に見えるはずだ。
しかし、フィリア姫はそんな事は気にしないとでもいうように、二人の間でその格好のままくつろいでしまっていた。
アルベルトもミリーも、何とも言えない微妙な表情を浮かべてフィリア姫を見つめるしかなかった。二人にとっては全く想定外の事態なのである。
そんな膠着状態を打破したのはミリーであった。
「あ、あの・・・姫様・・・ですよね?」
「そうよ。なあに?」
ポコンを摘みながらフィリア姫は返答する。
「そ、その姫様が、一体何をなさっておいでで・・・」
「美味しそうなポコンがあったら摘まむ。ポコンを摘みあえば会話も弾むってもんでしょ?」
「あ、あたしのポコンが・・・」
「気にしちゃダメ。白髪になるわよ」
フィリア姫はニカッと笑いながら、さらにポコンを摘まむ。既に漫才のような会話が成り立っていた。
アルベルトは感心した。この姫様はあっという間に二人との距離を縮めたのだ。ミリーもすっかり打ち解けた表情で、フィリア姫との漫才を続けていた。フィリア姫の狙いがどこにあるかは判らないが、直接色々な情報を手に入れるチャンスであることは確かだ。おそらくミリーもそう考えているだろう。ミリーがさり気なくスニーキー隊の事を尋ねると、招待状を渡した事やその時の顛末をあっさりと話してくれたのには驚いたが。
三人の会話は思いのほか弾んでいた。話題は自然とマシーナ全般の事に移っていた。フィリア姫が闘技場で調整しているマシーナを見ながらあれこれ質問し、アルベルトとミリーが答える。アルベルトとミリーが驚かされたのはフィリア姫の知識の広さと深さであった。質問の内容は高度なものが多く理解も早い。普通の姫様達はそんな事まで知らないですよとミリーが感心すると、自分の命を預ける相手の事をキチンと理解するのは礼儀でしょ?と答えたのは好感度を上げる一面だった。
話題が傭兵三人のマシーナに移った時、フィリア姫はこう切り出した。
「ねぇ、あの三人、何しに来たと思う?」
アルベルトは驚いた。この姫様は何かを感づいているのか。ミリーはどう答えるのか、固唾をのんで見守る。
「姫の暗殺ですよ」
「依頼主は?」
「レンザリア公国ですね」
「ありがとう。その線で裏付けを取らせるわ」
アルベルトは呆気にとられていた。ミリーはあっさり答えるし、姫様は平然と切り返す。一筋縄ではいかない連中だとアルベルトは苦笑しながらフィリア姫に尋ねる。
「驚かないのですね」
「『バリスタン』の二人、ゼート=バランとガイル=ゴーンからは殺意がたっぷり込められた熱~い視線を何度も贈られたから、嫌でも気が付くわ」
「でも、『シャドウクレス』のシオン=サーサからはそんな事一切なかったから少し期待してたんだけど・・・残念ね」
ちょっと溜息混じりのフィリア姫に、ミリーが補足を加える。
「依頼を直接請け負ったのは、ゼートとバランの二人ですね。シオンは二人に助っ人を頼まれただけでしょう」
「何故こんな汚れ仕事の助っ人を請け負う気になったのかしらね」
「仕事の内容をちゃんと聞かされていなかった、ここまで来て真実を知らされた、って所でしょう。きっと報酬が良かったのでしょうね。『シャドウクレス』は『プロトタイプ』ですので修理費用が高額ですからね」
「修理?」
「さっきの行進の様子を見た限りですが、左肩のサーボモーターの調子が少し悪そうです。あれ高いんですよ」
フィリア姫はミリーの鋭い観察眼に敬服した。
「なるほど、そういう事情なのね。でも、どんな理由にせよ依頼を受けた以上、彼女なら全うしようとするでしょうね。冷徹で情け容赦なしと噂される彼女なら・・・厄介ね」
落ち込むフィリア姫にミリーが驚きの反論をした。
「彼女はとっても優しく情に流される性格ですよ。ちらっと見た感触ですけどね」
マシーナが2機を残して闘技場を出る。残った2機は、『オースティレン』と『シューティングスター』である。
今からこの2機による模擬戦が始まるようだ。模擬戦用の武器は城で用意してある。剣、槍そして銃だ。剣も槍も刃の部分は柔らかい金属が使用されておりマシーナが傷つきにくい配慮がなされている。銃の弾丸もやはり柔らかい金属で赤い粉末を包み込んだものであり、着弾すると金属の包みが破裂し、着弾部分が赤くマーキングされる仕組みである。どの武器もマシーナへのダメージは殆どないが、人に当たれば怪我では済まないため、闘技場と観覧席の間はズラリと並んだ高さ25メートル巾20メートルの金網のフェンスで仕切られていた。
『シューティングスター』も『オースティレン』も、右手に剣、左手に銃というスタイルを選んだようである。
暗殺話の後、またマシーナ談義になっていたが、カーキ色のマシーナが残った事で、例の疑問を確認するには丁度いいタイミングと見えた。
「あのカーキ色の『ドドー』擬きは一体・・・」
三人は顔を見合わせ大笑いした。三人の声が見事にハモったためである。
「あれは姫の悪戯ではないんですね」
ミリーが笑いながら問いかける。
「まさか!でも取り敢えず情報が欲しくて『オースティレン』をぶつけてみたの。後でマーレイ隊長に感触を聞いてみようと思って」
「姫はどこが気になりました?」
「そうね、まずは歩き方ね。『ドドー』って結構自然に歩く事が出来るんだけど『ディフューザ』の限界で若干ぎこちなさがでてくるのよね。一言でいえば頑張っているけどぎこちない。でもあのカーキ色はぎこちなさに違和感があるの。本当はちゃんと歩けるくせに、ぎこちなさを演じている感じ」
ミリーは嬉しそうに微笑んでいる。フィリア姫は話を続ける。
「もう一つはエンジン音ね。『ドドー』のとにかく五月蝿いエンジン音。『ドドー』って足を動かすとかで負荷がかかるとエンジン音が変わるのよね。このカーキ色も確かに音が変わるんだけど・・・微妙にずれてんのよ、動きと」
アルベルトが笑いながら提案する。
「今都合よく2機しかいませんから判りやすいかな。姫様、少しの間、目をつむってエンジン音を堪能してみてください」
フィリア姫は言われるまま目をつむり耳を澄ました。
「相変わらず『ドドー』は賑やかね。それに比べて『オースティレン』の水破砕エンジンは静かね、メンテナンス出来てないせいか少し音が濁ってるかしら。あと・・・えっ?」
フィリア姫は突然目を開けて何かを探し始めた。
「見えませんよ、3機目は。もう一つの水破砕エンジンの主は」
アルベルトの優しい声にフィリア姫は真実に気付いて思わず叫んだ。
「フェイクなの?!『ドドー』のエンジン音は!!」
余りにも小さく澄んだ音だったため気づかなかったのだ。もう一つの水破砕エンジンの存在が。
「信じらんない!一体何考えてるの!あのマシーナの作者は!!」
おちょくられていると感じたフィリア姫は怒り心頭であった。
「くそ!なんて奴だ!」
リークは焦っていた。初戦の相手が鳥型と知った時は楽勝だと考えた。シミュレーターでもザコ敵扱いで簡単に倒せる相手だった。だから試合の直前になっても相手をちゃんと見ていなかった。
戦う相手を見ない、把握しない、それでは勝てる訳がない。いや俺はちゃんと見たとリークは反論するだろう。しかし自分の思い込みで相手の力量を正しく測れなかった時点で、見なかった事と同義なのだ。
リークは対戦で相手を目の前にして、やっと重要な事に気が付いたのである。
「こいつ、『オリジナル』だ」
そう、今初めて相手の『コンパウンド・アイ』が目に入ったのである。
そして、対戦してさらに実感する事になった。鳥型は高さが人型に比べて半分程しかなくまた機動力が人型より高いがシミュレーターで慣れていたはずだった。しかし目の前の相手はまるで勝手が違った。その機動力は遥かに高く、また、複雑な動きも楽々とこなしているのだ。これが『オリジナル』の力量なのだ。
さらに厄介なのはパイロットの力量だった。このパイロットが歴戦の勇士なのは明白だった。『オリジナル』を完全に乗りこなし、戦術も多彩で、剣で攻撃を加えたかと思えば次の瞬間には別の角度から銃撃される。こちらの攻撃は全てかわされるだけでなく高確率でカウンターを放ってくる。何とか盾で凌いではいるが、圧されっぱなしなのは明白だった。
「シミュレーター通りの機体なら、もっとうまく戦えるのに!」
リークはこの機体で踏ん張るしかなかった。
「一体何なんだ!こいつは!」
マーレイは焦っていた。確かにフィリア姫からどんな相手か確かめて欲しいと頼まれてはいたが所詮は『ドドー』だ。過去に何度も戦って、癖も弱点も知り尽くしていると言っても過言ではない。だから数分でケリが付くだろうと高をくくっていた。しかしフタを開けてみればそう簡単にはいかなかったのだ。
パイロットの腕もいい。こちらの銃撃は当たるには当たっているが、着弾を表す粉末跡は全て盾に直線状に付いていた。これは銃弾が受け流され有効打になっていない事を示している。また、こちらの変化によく付いて来ており、しっかり訓練されている感じだ。
それより問題なのはマシーナの方だ。明らかにマーレイの経験にない挙動が入るのである。こちらの動きに対応するための手や足の動作ラインが微妙に記憶と違っており無駄がない。確実に転倒させられるタイミングで蹴りがきまっても見たことがないステップで転倒を回避する。挙げ句の果てに、押し合いの力比べで、いつも通り押し切る寸前に有り得ないパワーで押し戻されたのである。
マーレイは思わず叫んだ。
「姫様!断言するぞ!こいつぁ断じて『ドドー』なんかじゃねぇ!」
マーレイの叫びが聞こえた訳ではないが、観覧席の三人も同意見だった。
「試合が終わったら、整備を名目にアレを調べてみたいんですが、構いませんか?」
アルベルトがフィリア姫に許可を求める。
「構わないわ。パイロットが嫌がるようなら私の名前を使ってもいい。その代わり、得た情報は全て隠さずに私に教えて欲しい。報酬が欲しければ払います」
「えぇ、ちゃんとお教えしますよ。報酬は不要です」
三人は笑い合った。
フィリア姫は少し考える仕草をした後、静かに切り出した。
「あなた達は、今、何処かに仕えているのかしら?」
ミリーは少し間を置いて答える。
「いいえ、何処にも」
「じゃあ、物は相談だけど私の所に来ない?」
「そんな・・・私達第四世代ですしとても・・・」
ミリーが、遠慮する形で断りを入れる。
「称号なんて当てにならない事は、あなた達と話をしてよく判る。あなた達は称号以上のものを持っているわ。それに何より、あなた達と話をしたこのひと時がとても楽しかった。今までどんな人と話してもこんな気持ちになった事はないわ。だから、ね?」
これはフィリア姫の本心だった。
ミリーは困ったような表情を浮かべ、アルベルトを見る。アルベルトは好きにしなと言うように微笑むだけだ。
「・・・でも・・・」
「もしかして、例の噂が原因?摂政の・・・」
フィリア姫の問いかけにミリーは更に困った顔をした。フィリア姫はこれを肯定の意味と捉え、(よし!ならあの手を試すチャンスよ)と心の中でニカッと笑った。
「そうなのね・・・」
フィリア姫は視線を外し、伏し目がちに首を傾ける。何度も鏡の前で練習した仕草だ。
「確かに皆が言う通り、今は摂政のレオンがこの国の全てを思いのままにしている。もう、この城の、いえ、この国の誰も私の言葉なんて聞いてくれない。私は空気のような存在になってしまったの」
ここで静かに斜め上に視線を上げながら相手の目を見つめる・・・よし、ここまで完璧!
「だからこそ、だからこそ欲しい!私の言葉を聞いてくれる相手が!私が私の全てを託せる相手が!それがあなた達だと私は感じたの!でもそれでもあなた達が私と共に歩けないと言うのなら・・・私は・・・私は・・・」
ここで再び目を伏せ、最後の仕上げ、来い、来い・・・来た!頬を流れる値千金の涙一粒!
(さぁ!これで、姫様あなたと共に、ってならなきゃ嘘よね)
フィリア姫は、自分の演技に合格点をあげ成功を確信しながら二人の言葉を待った。
しかし・・・
「ぷっ」「くくくくっ」
フィリア姫の期待に反し、アルベルトとミリーは堪えきれずに笑い出したのである。
「ちょっ、ちょっとそこ!貰い泣きこそすれ笑うとこじゃないでしょ!」
フィリア姫は不測の事態に演技を忘れて突っ込みを入れてしまったが二人が気にする様子はない。
「も、申し訳ありません。ただ、余りにも姫様の演技が、くくっ、お上手で、くくくくっ」
ミリーは笑いが止まらないまま答える。
「そんなに下手だった?凹むわ・・・」
はぁ~っと溜息をつきふてくされるフィリア姫をミリーは慌てて慰めた。
「そんなことありませんって。演技は完璧でしたよ。ただ、私達にはもう気づいちゃってた事があって。ね、アル様。今日来たばかりのアル様でも気付いた事、教えてあげてください」
「その通りですよ、姫。今日、暫く姫を見ていて気付いたのですが」
ミリーに話を振られて、アルベルトは説明を始める。
「外からの来訪者、彼等は噂が功を奏して摂政閣下に話し掛けておいででした。が、この城の者は全て姫様に指示を仰ぎに来て、姫様は摂政閣下を一顧だにすることなく指示を与えていらっしゃった。間違いなく城の実権をお持ちなのは姫様で、空気は摂政閣下の方ですね」
アルベルトの言葉にフィリア姫はポコンを口に放り込みながら尋ねる。
「じゃあ何故そんな噂が流れたのかしら?」
「流したのは姫様でしょう?理由は・・・そうですね。様々な攻撃や策略の手を摂政閣下に向けさせて姫様の安全を図る。それにそうした連中を一歩引いた所から姫様が観察し相手の思惑を測る・・・と言った所でしょうか。ミリーは数日滞在してたから、もっと話せる事があるんじゃないか?」
フィリア姫はポコンを放り込み続けながら視線をミリーに移して、さぁ話せと無言の催促をする。
「そうですね。噂に関してはアル様の言うとおり。それから・・・まず姫様と摂政閣下の関係ですが、摂政閣下は姫様を小さい時から面倒をみていた、言わば育ての親のような立場ですね。摂政閣下が姫様を見つめる表情がですね、立派に育った子を誇るような、それでいてこの子の行く末を案ずるような、そんな感じなんですよ」
フィリア姫はポコンをさらに放り込みながら、照れたような表情になる。
「それから、城の人や村の人に姫様がどんな方か評判を聞き回ってみました。評判はとってもよいですね。特に爺さん婆さんはすごかった。赤ちゃんの頃はああだった小さい頃はこうだったと延々と聞かされました。まるで孫自慢です」
ウンザリだったと言いたげなミリーに、フィリア姫は笑いながら、
「全く、年寄りは困っ・・・」
と言いかけて止まった。フィリア姫の顔から笑顔が消え、ミリーの考えを探るような表情になる。フィリア姫は気が付いたのだ、ミリーが投げ付けた爆弾に。
ミリーはしてやったりという表情で話を続ける。
「そう、『赤ちゃんの頃から』です。姫はずっとここで摂政閣下に育てられてきた。これは偶然でしょうか?」
フィリア姫は表情を変えずに黙々とポコンを口に放り込む。
「この地に学院が設立されたのは30年前、同じこの地に城の建造が始まったのが姫の誕生とほぼ同じ十数年前、これは偶然でしょうか?」
「私はこう考えました。今回の三国分割、十数年前に既に計画が始まっていた。分割の真の目的は、このフィスリニア王国の建国にあった。煽りを食ったのは他の二国です」
アルベルトは驚きの表情を浮かべ、フィリア姫は表情を変えずにポコンを摘まむスピードが上がる。
「では何故この国を興す必要があったか。まず体制が特殊です。集めた情報を整理すると、この国はトップの姫様の配下に少数の執政官を置きそこから直接現場に指示を飛ばす、まさにスピード重視と言えます。この体制をとるにはこの国の大きさが限界だからこその分割だったのです。では何故この体制にする必要があったのでしょう?これは簡単、スピード重視ですから臨機応変に事態に対処するための防衛型臨戦態勢にほかなりません」
アルベルトは何も言わずミリーを見守り、フィリア姫はポコンを摘まむスピードがさらに上がった。
「ではこうまでして一体何と戦うつもりなのか。昔ながらの敵対国であるローデモング帝国やレンザリア公国と考えるのは簡単です、が、それを否定する要素の存在を無視できません。それは学院です。学院があらゆる国家、敵対国家に対しても情報公開、技術供与を行うと宣言したことです。もしかすると、小さな国家にしたのは、敵対国家の協力を得やすくする目的もあったのかもしれません。でも、これでは戦う相手がいません。これは困りました。一晩悩んでしまいました」
ミリーはおどけて困ったような表情をしてみせるが、フィリア姫はさらにポコンを摘まむスピードを上げるだけであった。
「しかし、ヒントはありました。旧フォルデベルグ王国は大勢の第一世代が要職に付いていましたがこの国に来るのを嫌がったとされています。しかし事実は逆でしょう。この国が第一世代を排除したのです。唯一の第一世代であるマイケル=スタンレー老とサモン=リスドール老が実権を持たないオブザーバーとして参加しています。この事から、私は次のように結論しました」
そう言うと、ミリーはゆっくり左手を上に向け、天を指差して言った。
「どんな連中がまだいるのです?」
フィリア姫の動きが完全に止まった。その目は大きく見開かれミリーを凝視していた。ポコンを口に放り込む直前だった右手はポコンをきつく握り潰していた。
そんなフィリア姫の様子にミリーも動きを止めざるをえなかった。
アルベルトは大変不味い事になったと焦り始めていた。ミリーも同じ気持ちだろう。
ミリーは調子に乗り過ぎた。やらかしてしまったのだ。この国の最重要秘密事項を看破したことを知られてしまったのだ。普段のミリーならこんなヘマはしないのだろうが、フィリア姫の人柄に気を許し過ぎた結果なのだ。これはそう仕向けたフィリア姫に軍配が上がり、ミリーが危険人物と判断された可能性があるのだ。
そうなると、拘束、監禁という手段に出られる可能性を否定できない。いや、最悪のケースだって考えられる場面だ。俺達は無事にこの国を出られるのか?
今、アルベルトとミリーは、フィリア姫がどう動くのか、固唾をのんで見守るしかなかった。