表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

俺の日常。

朝、なんの変哲もない朝だ。

今日も出勤しなければいけないなんて考えると、着替える手も自然とゆっくりになる。

「朝……きっついなあ」

元々朝は苦手な方だ。なんというか起きたくない。ずっと寝てたい。

だが、会社員になった今そんな甘ったるい考えが許されるはずもなく……

今日も響くケータイのディスプレイには、桜木結花(さくらぎゆいか)の文字が光る。

6:30きっかりに鳴るこの電話にももう慣れた。

出たところで聞く言葉ももう分かっているが、とらないと後が大変だ。

暫く迷ったところで、電話に出る。

「ちょっと~!出るのが遅い!」

耳に当てたところでこのキンキンとした声。

俺何かしたかなぁ……とか思いながら愚痴を聞き、少しスッキリしたらしい結花は、やっと本題に入る。

「今日のノルマは5件!契約しろよ!」

長い愚痴の後にこの簡潔な一言。

合計で15分もかかった。結花の電話は長いから困る。

すでに切れた携帯を恨めしそうに見て、遅刻だと焦って急いで家を出て電車に飛び乗る。これが今では俺の日課となっている。

「よぉ、幸哉(ゆきや)、お前また飛び乗りかぁ?」

通勤通学ラッシュにより混雑した電車の中、いつもは遠い席にいる俺の先輩樽川颯斗(たるがわはやと)。会社内では主にその独特の口調と苗字からタルタル先輩と呼ばれている。本人もまぁまぁ気に入っているのか、その事についてはなにも言わないし、親しみやすい人柄のせいか、俺を含めた新人からの尊敬を一番集めている人だ。

「今日は座れなかったんですね」

「いや、座りはしたんだが目の前に重っそうな荷物持った婆さんがいて譲ったんだ」

「流石です!」

こういう然り気無い優しさも、この人が好かれるひとつの理由かもしれない。

いつもは憂鬱な通勤の電車内も、少し明るくなったような気がして、朝言われたノルマだって、今ならクリアできそうな気がする。

少し話し込んだあと、目的地への到着を知らせるあの耳障りな音が響き、人の波に流されるように外へ出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ