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だぶるすたんだ~ど  作者: Than Nen
出会い
9/18

一つ屋根の下

『ってかなんで、俺殺されるのよ??別になんもしてないじゃん!!』


『…一言で言えば不法入界じゃな』


『なんだよ、その不法入界って??』



納得いかない。


不法入界か、不動無我か知らんがなんで俺、いきなりKILL宣言されにゃならんのだ。




『良いか、フウガ。お前の世界にも不法入国というのがあるだろう??それと同じじゃ。正し、お前の考える不法入国とは訳が違う。不法入界は、別世界間を正しい手続きなしで渡る、大変重い罪なんじゃ』


『なんでそれが重い罪なんだよ!!』


『それはな、この世界も、お前のいた世界も一つの独立した世界なんじゃ。その独立した世界に、他の世界から干渉を受けることはあってはならないことなんじゃ』


『…なんとなく分かった。ただね、俺、一般人。俺、ただの男子学生。何もしないし、何も出来ない。分かる??帰ることができるなら今すぐ帰りたいよ!!』



本当そうだよ。


俺だってこんなところ早く出て行きたいさ!!


いきなり仮面野郎にチキンウイングアームロックくらわないで済むし。


隣の家のお姉さんの笑顔見たいし。




『いつぞやも言ったが、この世界から出る方法はない。それにお前の理屈は通用しない。お前が異世界人だと分かれば、有無も言わさず殺されてしまう!!』


『はは…なんだよそれ、この世界の怒りの沸点低すぎだろ…』



これは参った…。


一体どうすりゃ良いんだよ…。



『…お前異世界人だったのか!!』


『ギクッ!!』



その声は階段から聞こえてきた。


もちろん正体は…。



『ミカ、起きてたのか!!』


『あんだけ騒がしいと寝れるもんも寝れねえさ。…んで、今の話本当か??』


『…ああ。フウガは異世界人じゃ。ただ悪い奴じゃねえ。俺はそう思う』


『悪いか、悪くないかはどうでも良い…。ただ、こいつがいるせいで私たちまで迷惑が掛かるだろ!!』


『…そうじゃな』



その声は、喫茶店の、木造の建物を震わせるような大きな声だった。


…そうだよな。そりゃ怒るわな。


見ず知らずの人間のせいで迷惑が掛かるんだからな…。


ロードさんも反論できないし…。



『すいませんロードさん、ミカさん。俺、あの仮面野郎の所行ってきます。短い間でしたがありがとうございました!!』



俺のせいで二人を巻き込むわけにはいかないもんな…。


あの仮面野郎の所行って、謝ろう。事情を説明しよう。


精一杯。少しでも可能性があるなら、それに賭けよう。



『フウガ!!お前は何を言ってるんだ!!』



バチンっ!!



『…!?』



いきなりだった。


俺はロードさんに思いっきり平手打ちを食らっていた。



『お前は何にも分かっちゃいない。話し合いで済むはずがないんだ!!お前は100%殺されるんだぞ!!そんな所にわざわざ行かせるはずがないだろう!!』


『…はい』



俺はビックリした。


そして泣いた。


平手打ちの痛みよりも、ロードさんの優しさに感動した。


人間ってこんなにも暖かいいんだな…。



『…お取り込み中悪いけど、私の意見は聞かないのか??』


『ミカ!!お前には迷惑かけるかもしれんが、こいつは俺が面倒を見る!!良いな!!』


『当たり前だろ!!』



…えっ!?


ちょっと待って、さっきの流れで言えば『出て行け!!』って感じだったじゃん。


何この熱血親子。


嬉しいよ、嬉しいけど…なんか平手打ちくらったのが損したみたいじゃん…。



『おい、アルバイト!!』


『はい!!いや、フウガです…』


『お前は私たち親子が責任を持って、面倒見てやる!!心配するな!!』


『あざーっす!!』



かくして、俺はロード家に正式にお世話になることになったとさ。



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