仮面はやっぱりヒーローでしょう
『なんだったんだよ、今の!!』
俺は怒っていた。
もう激おこぷんぷん丸どころではない。
カム着インフェルノォォォォォウ!!!ぐらいだ。
『どうしたんだフウガ??』
『超おかしくね??だってさ、さっきまで美人なお姉さんに罵られて、悦(?)に浸っていたら、いきなり仮面の、しかも正義のバッタヒーローとはかけ離れた、ダっさい仮面の、性別も分からない馬鹿野郎にチキンウイングアームロックをきめられて、しかも帰り際俺のこと無視して出て行ったんだよ??無視だよ、無視!!ごめんねの一言もないのかよ。あいつ絶対友達居ないね。ごめんねが出来ない人間は友達が出来ないって隣の家のお姉さんも言ってたし。俺裁判ではあいつは極刑だね。極刑。ちなみに俺裁判で極刑と言えば、皆の前で好きな子に告白することだからね。他にもさあいつは…』
『おい、ちょっと落ち着けフウガ!!』
『…はい』
つい熱くなってしまった。
俺はロードさんに止められるまで、延々と怒りをぶちまけていた。
あんな無礼者、次会った時はドラゴンスクリューからの四の字固めだよ。
『…でさ、ロードさん、あいつ誰なの??なんかロードさんの様子も少しおかしかったし』
『…ああ、あの人は王国特選親衛隊と言ってな。その中でも王の側近にあたるQ武と言うメンバーの人間でな、この世界を守っている人じゃよ』
『なんでそんな偉い人が俺にいきなりチキンウイングアームロックをきめてくるんだよ!!』
『…フウガ、実際のところお前はたぶん異世界人じゃ。この世界は異世界人はタブーなんじゃ』
『…異世界人??ちょっと待ってよ、どういう意味なんだよ??』
『言葉通りじゃ。お前は記憶にないだろうが、どういう経緯かは知らんが、何らかの弾みでこの世界に来た。これまたどういう経緯か分からんが、うちの喫茶店に横たわっていたんじゃ』
『…じゃあここは地球にある、何処かの国じゃないんだな??』
『そうか…フウガ、お前は地球から来たのか…』
そうだ、なんか違和感があると思っていた。
それは、日本語が通じるという事だ。
ここは日本ではない。ということはたぶん英語を話すはずだもんな…。
けど、俺英語分かんねえし、話が通じるはずないもんな…。
『じゃあさ、マジで俺、知らない世界に来ちゃったんだな…??』
『たぶんな。ここに来る以前の記憶はないのか??』
『うーん…』
何かとてつもないことを経験したような…。
なんか、とても大事なことを忘れているような…。
『前説明したと思うけど、気付いたら宙に浮いていて、目の前には凶暴そうな動物!?というか、モンスターがいて、んで、もうダメだ!!と思ってたら意識が無くなって、気が付いたら喫茶【ジョージ】にいて、気が付いたら目の前に凶暴そうなサングラスのスキンヘッドがいて…』
ゴチン
『痛てええええええええ!!』
『ふん、誰が凶暴そうなサングラスのスキンヘッドだ!!』
俺はロードさんにゲンコツを食らっていた。
…マジで痛い。
『…まあ大体そんなところ。それ以外にもなんかあった気がするけど、憶えてないや』
『…そうか。相変わらず要領が得んが。とりあえずお前は今日から俺の親戚だと言え。そして地球での名前を忘れ、フウガとして生きるんだ』
『ちょっと待ってよ!!地球での名前を忘れるとか、ロードさんの親戚とか…』
『良いか、フウガ!!簡単に言う。お前が地球人。異世界人だということがバレたら、お前は殺される!!』
『な、なんだってー!!!』
わざとらしい悲鳴が喫茶ジョージに響いた…。