外国ではあだ名はデフォルトです
『しっかり働けよ!!』
『イエス、ボス』
何故か俺は店のエプロンを着ていた。
そう、グラヘッドは代金分、働けと言って来た。
俺の学校は校則でアルバイトは禁止だと伝えても、無理やりに。
俺はいつかこのヘッドを労働法違反で訴えるつもりだ。
ただ、俺がこの国の貨幣を所持してなかった原因もある。
だから、痛み分けにしといてやるよ…。
『そういえばさ、ロードさん。なんでこの国は真っ白なの??』
『そうか、そんなことも知らんのか。今この世界はホワイトタイムという時間に入っておる』
『何、そのホワイトタイムって??』
『この世界は一日の決まった時間に、一時間だけ世界全体が白に包まれるというのが伝統なのじゃ』
『それってさ、自然現象??』
『そうじゃ。自然現象じゃ。詳しいことはよう知らん。ま、そういうもんだと憶えとけ』
『イエス、ボス』
ふーん、濃い霧みたいなもんかな??
ま、気にしないで良いか。
『おい、そろそろホワイトタイムが終わる。急いで準備せい!!』
『イエス、ボス』
…とは言ったものの、一体何すりゃ良いんだよ。
こんな白いとどこからどこまでが店か分かんねーっての。
そんなことを考えていると、風景が徐々に鮮明になってくる。
まるで白いキャンパスに画家が、現在進行形で絵を描いているように…。
『…すっげえ』
俺は一言そう呟いていた。
今まで白一色だったのに、他の色が付く瞬間はまさしく幻想的だった。
『ふふ。どうじゃ。この世界の名物カラーチェンジ。圧倒的だろ??』
『うん、すごい!!単純にすごい。なんか、すごい!!』
『ああ、そうじゃな。わしもこの風景の変わりようは好きじゃ』
『うん、俺も好きになった!!』
『そうか…。ところでお前、名前はなんじゃ??』
『俺??俺の名前は…不動無我!!超かっこいいだろ!!』
『イマイチじゃな。うーん…フガ。フーガ…。よし、お前の名前はフウガじゃ!!』
『おお!!なんかかっこいい!!よし俺は今日からフーガだ!!』
なんとなく決まった新しい名前フウガ。
俺はフウガとして、このアンリミッテドワールドで過ごすことになる。
どんな冒険が始まるかは、まだ内緒。