消えた記憶
<注意項目>
・本作には残酷な描写、過激な描写が含まれております。
・批判中傷コメントは受け付けておりません。
・二次掲載等はご遠慮ください。
嗚呼、なんと言うことだろう……。
私は罪を犯しました……とても許しがたい罪を犯しました。
いつになっても許されることではありません。
とても後悔しています、自分の愚かさに……。
人には欲と言うものが存在する。
利欲、性欲、睡眠欲、食欲……。
それは一定の出来事があると、なくなるのである。
利欲ならば儲けを、性欲ならば交わりを、睡眠欲ならば睡眠を、食欲ならば食事を。
人間はそれをもって生きていかねばならないのだ。
辛くとも悲しくともなくてはならないのだ。
そう、それがあるかぎり、自分は人間とゆう証拠なのだから……。
気がつくと赤だった、一面の赤。
目の前に広がる色と光景はとても悲惨なものだった。
独り暮らしと思われる小さな部屋。
原型のとどまらぬ、元は人間だったはずの肉片。
その場にいるのが耐え難い異臭。
鉄のような臭い、威圧感、早まる鼓動。
目が覚める前は楽しい一時を過ごしていたはずだったのに……、いったい何があったのだろうかと考えては、しゃがみこんだ。
これは自分がやったのだろうか、はたまた自分は何かの事件に巻き込まれたのか……。
記憶のない時間が謎に包まれたまま再び立ち上がると、頭に衝撃が走った。
ズキッと痛んだ頭を抱え込むと何かを思い出す感覚を覚えた。
何かあったような……、だがそれが思い出せない……、とても大切なことだったはずなのに忘れてしまっている感覚……。
涙は零れるのに何故かはわからなかった。
どうして忘れてしまったのだろう。
とても大切な記憶、自分が一番に思っていた何かの存在……。
「そうか……」
彼女だ、彼女がいないのだ。
自分が一番に大切にしていた筈の女性。
笑顔が素敵で可憐なあの人がいないのだ……。
記憶は消えているはずなのに何故か分かっていた。
彼女が今どうしているか……。
普通ならわかるはずもない、だが私にはわかってしまったのだ……この異臭は血と肉の塊は紛れもなく、彼女のものなのだだと。
そしてきっとこれは私がやったのだろうと……。
続きは順次掲載していきます。