偽物の雨
ちょっと宗教がからみますが・・・ま、キリスト教みたいな宗教がある異世界での話ということで
登場人物の名前は色々な宗教に絡んだ名前を付けています。面倒だし
実際は、先人の知恵で、虹の原理は分かっていたのだろうと思いますが、この世界ではまだわかっていないということにしておいてください
虹。それは大洪水によって世界が滅亡した後に現れたことより、神の証とされた。
多くの研究者が虹について考え、実験していたが、全く答えが出なかった。
この時代の人々は、本物の雨でしか虹はできないと信じていた。
偽物の雨で虹は、だれも作れなかった。唯一作れたのは自然だけであった。
滝の近くでしか見られない虹。それも稀にだ。
神の証を作ろうとするが、一向にできない
「なあ、カイン。虹を作ってみないか?」
俺の悪友、アベルが言った。カインというのは俺のことだ
「おいおい、老人でもできないんだぜ。んなことできたらすげぇよ」
「私は作ってみたいな」
そう言ってきたのはアベルの妹、サラである。
「神の証を作れたら、私たちは認められたってことだよね」
「そりゃそうだけどさ・・・」
俺は一度、試したことがある。先人たちの研究の結果、水がなんらかの役割を持っていると考えられている。
虹ができるのは雨の後、滝の近くだけだ。でも、それ以上のことは分かっていない。
だから、擬似的にその状況を作ろうとしたが、水は雨みたいにできなかったし、小さくすることもできなかった。
水を口に含んでから噴き出してみても、できなかった。
「偽物の雨でできるわけないだろ」
「でも、あそこでは見れるよ」
サラの言うあそことは、山の奥の滝の近くだ。でも、見れるときと見れないときがある。どうしてそういうことになるのかはわからない。
「とりあえず、羊番は弟たちにまかせて行こうぜ」
「・・・わかったよ。明日な」
次の日に、その山の滝に行くことになった。
~次の日~
「ふう、ここにくるのも3年ぶりだな」
山奥の滝のところに着いた。
前来た時には、父親と一緒だった。10歳の時まで、しょっちゅうここで遊んだのを覚えている。
今日はまだ、虹は出ていない。
とりあえず、昼食をとった。
森の奥のため、太陽の光は届かない。すずしい風が吹いている。カイン達の座る切り株の近くには多くの木々が並ぶ。
「出ないね」
「そうだな」
俺は淡々と答える。前、来た時には父親と一緒だった。だが、その父親はけがをして、歩くのもままならない。俺は神に怒りを抱いていた
―なぜ父さんを歩けなくするんだ。あんなに活発だった父さんを―
父親は戦争で強制的に軍に入れられた。実戦前に、他の隊員からいじめにあい、足を悪くしたのだ。ただ、戦争に反対しただけだったのにだ。
―そんな神の証なんて、いらない―
「・・ン。・イン。カイン!!」
「なっ!」
顔が赤くなる。サラの顔が眼と鼻の先にあった。
「ククッ。仲いいなお前ら。子供は何人作るつもりだい?」
「「ち、違うよ!」」
いつもの光景だ。アベルが俺たちをからかう、そんな日常。戦争の痕跡なんて感じさせない。だが、彼らは父親をなくしている。俺なんかよりも不幸なはずだ。それなのに、神を信じている。俺には考えられない。
光が差した
それと同時に、虹が現れた。が、俺とサラがアベルに弁解していたために、その瞬間を見てはいなかった。
「だから、違うって」
「照れんなって」
「そうだよ、違うよ。お兄ちゃん」
「でもお前、毎日こいつの・・・」
「お兄ちゃんのバカ!」
「バカってなんでだ!?」
俺は滝の方を見る
「おいアベル。こっちが本命だっただろ?こんな痴話喧嘩をするためにきたわけじゃあないだろ」
「おお、虹が出た。で、出る瞬間見た?」
「いや、見ていない」
俺は偽物の雨で虹ができる確率は、父親の足が完全に治るのと同じくらいの確率だと思っている。
「なんだぁ。そうか、帰るよ」
山は険しい。早く帰らないと熊にも出会うし、なにより、光がないために迷ってしまう。俺たちは山を降りた。
ちなみに、親に無断で行ったため、俺たちは酷く怒られた。
それから、俺たちは虹を作ろうとしたが、結局はできなかった。
本物の雨と偽物の雨。ヒトはまだ、偽物の雨さえ作れない。
虹を作る方法が知られるようになったのは、それから数年たった時のことである。
こんなもんです。一応完結。
黒色猫さん。どうでしたか?




