表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァリュー 〜万物に値段がつく異世界で、俺だけが値段のない存在でした〜  作者: 松竹 ウメ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

第一話 「死ぬ直前に気づいたこと、死んだ直後に気づいたこと」

 死ぬ、というのは、思っていたよりずっと地味な体験だった。

 ドラマみたいに走馬灯が流れるわけでも、神様が迎えに来るわけでも、白い光のトンネルが現れるわけでもなかった。ただ、東京の路上で、夜の十一時に、俺は静かに意識を失っただけだ。

 相場甲治、享年三十二歳。死因は過労。

 死に際に思ったことといえば——。

「……俺、一回も、お客さんに本当に合う車を売れなかったな」

 それだけだった。

 情けない話だと思う。三十二年生きておいて、最後に浮かぶのが仕事の後悔か、と。恋人もいなかった。友達と呼べる人間もほとんどいなかった。家族には十年以上連絡を取っていなかった。それでも俺の脳みそが最後に選んだのは、売り上げノルマの話だ。

 まあ、そういう人間だったということだ。俺は。

 中古車販売員として十年働いた。最初の三年は、会社の言う通りに動いた。在庫を捌くために、客に合わない車を「お似合いですよ」と言って売った。故障リスクの高い車を「整備済みです」と微妙に曖昧な言い方で誤魔化した。ノルマは達成した。上司には褒められた。

 でも四年目のある日、子供を三人抱えた客に、維持費のかかるミニバンを売った翌月——その客が「維持できなくなった」と泣きながら店に戻ってきた。

 それから俺は変わった。

 客の本当の事情を聞いて、本当に合う車を勧めるようにした。たとえ利益が薄くても。たとえノルマを下回っても。「この人には軽自動車の方が絶対いい」と思ったら、高い車を勧めなかった。結果、売り上げは落ちた。上司には怒られた。同僚には疎まれた。最終的には「会社の方針に合わない」という理由でクビになった。

 退職金は雀の涙で、積み上がった借金の前ではゼロも同然だった。生活費を削りながら夜の配達バイトを掛け持ちして、ある冬の深夜——凍結した路面で自転車ごと転倒して、そのまま帰らぬ人になった。

 誰かに見つけてもらえたのは、翌朝になってからだったらしい。

 あまりにもひっそりとした最期だった。

 ——だから、である。

 だから俺は、次の世界では、もう少しうまくやろうと、そう思った。

◆  ◆  ◆

 目を開けたら、空が広がっていた。

 青い。抜けるように、馬鹿みたいに、青い。東京で最後に見た空の色を、俺はもう覚えていない。だいぶ前から、空を見上げる余裕なんてなかったから。だからこの青さが、やけに胸に刺さった。ずきり、と。肺の奥の方まで。

 (……生きてる)

 そう思った瞬間に、次の認識が追いついてきた。

 (いや、死んでたはずだ。じゃあここは——)

 身体を起こす。見渡す限りの草原だった。風が吹いている。草が揺れる。どこまでも続く緑の海の中に、俺は一人で倒れていた。

 自分の手を見た。

 ……手が、小さい。

 子供の手だ。ついさっきまで三十二年間使い続けた、節くれだった中年男の手ではない。白くて、細くて、傷一つない、どう見ても十代前半の手が、俺の腕の先についていた。

「あー……」

 声まで若い。声変わり前か後かくらいの、やたら高い声が出た。

「転生、か」

 呟いてみたら、やけにあっさりと受け入れられた。むしろ妙に腑に落ちる。死んで、別の世界に生まれ直す。そういう話を、俺は知っていた。ゲームで、漫画で、小説で。フィクションの中でだけ知っていた概念が、今まさに現実になっている。

「まあ、悪くない」

 本音だった。前の世界での俺の人生は、客観的に見て終わっていた。借金、孤独、過労死。やり直すなら、むしろ好都合だ。

 立ち上がろうとして——そこで初めて、俺は「それ」に気づいた。

 草原に、数字が浮いている。

 草の一本一本に。転がっている石ころに。遠くの木に。吹き抜ける風にさえ。何もかもの上に、薄く発光した数字が張り付いていた。まるでゲームのUIみたいに、世界の全部に値札が貼ってあるかのように。

「……なんだ、これ」

 草:4。石:1。木:227。風:計測中——。

 試しに近くの石を拾い上げると、ぱっと数字が大きく見えた。【ヴァリュー:1】と。

 ヴァリュー。価値、という意味だ。この世界の言語が頭に入ってきているのか、その単語の意味を、俺は自然と理解していた。

 (この世界では……万物に値段がついているのか)

 ゆっくりと、理解が追いついてくる。石ころ一個のヴァリューが1。木が227。ということは、数字が大きいほど、価値が高い。

 じゃあ、俺は。

 俺自身のヴァリューは、どれくらいだ。

 水たまりが近くにあった。草原の地面に雨水が溜まった、小さな鏡みたいな水面。俺はそこに顔を近づけて、自分の顔を確認した。

 黒髪、細面、子供の顔。それはいい。問題はその顔の上に浮かぶはずの数字だ。

 俺の顔の上には。

 何も、なかった。

 数字がない。ヴァリューを示す光が、一切ない。草ですら持っている「4」という数字が、俺の上には存在しなかった。

 ただ——数字があるべき場所に、細く、静かに、こう表示されていた。

【ヴァリュー: ——— 】

 ハイフン。空白。何もない。

「……バグか?」

 呟いた声が、草原に吸い込まれていった。

 その時の俺には、まだわかっていなかった。

 この「空白」が何を意味するのか。この世界で値段のない存在がどういう扱いを受けるのか。そして——この空白こそが、俺をやがて世界で最も恐れられる存在にする、その理由になることを。

◆  ◆  ◆

 草原を歩いた。

 方角もわからない。目的地もない。とにかく人の気配を求めて、足を動かした。草が膝まである場所もあって、転生したての子供の体には少々きつかったが、三十二年間の精神が宿っているせいか、弱音を吐く気にはならなかった。

 歩きながら、ヴァリューの見え方に慣れていった。

 飛んでいる鳥は20前後。地面を這う虫は1以下のものが多い。遠くに見える山は数万——桁が多すぎて読み切れない。この世界の「価値」の基準が、徐々につかめてきた。

 (生き物は動けるほど、複雑なほど、数字が大きくなる。山みたいに巨大なものは別の意味で大きい。……基準は存在としての「影響力」か?)

 前世の査定眼が、自然と分析を始めていた。中古車の査定も、最終的には「この車が市場にどれだけの影響を与えうるか」の見積もりだ。構造は似ている。

 そして一時間ほど歩いたところで——俺は、初めて「人間」のヴァリューを目にした。

 丘の向こうに、小さな街が見えてきた。石造りの建物が並んでいて、城壁で囲まれている。城門の前に、二人の門番が立っていた。

 左の門番のヴァリューは【4,200】。右は【3,850】。

「(へえ、人間は数千か)」

 近づいていく。門番の視線がこちらに向く——はずだった。

 向かなかった。

 十メートル。五メートル。三メートル。俺が城門のすぐ手前まで歩いていっても、二人の門番は視線を動かさなかった。ぼんやりと、正面を向いたまま、石像みたいに立っていた。

 (……あれ?)

「すみません」

 声をかけた。反応がない。

「もしもーし」

 手を振った。ない。

 俺は門番の目の前に立って、手をぶんぶん振り続けた。二人はまるで俺が見えていないかのように、完全に無視し続けた。

「……俺、透明人間か?」

 試しに門をくぐってみた。誰にも止められなかった。街の中に入れた。

 道を歩く人々も、誰も俺を見ない。目が合わない。ぶつかりそうになっても、寸前で無意識に避けていく。まるで俺という存在が、この人たちの認識の外側にあるみたいに。

「(……なるほど)」

 薄々、わかってきた。

 この世界では、ヴァリューのない存在は「存在しない」と同義なのだ。人々の脳が、無意識に値段のない対象を認識から除外している。ゼロならまだいい。ゼロすら表示されない「空白」の俺は——この世界の法則の、完全な外側にいる。

「……前の世界でも、誰にも気づいてもらえなかったけどな」

 自嘲気味に笑って——止まった。

 路地の奥に、少女が一人、蹲っていた。

◆  ◆  ◆

 銀色の髪だった。

 ぼさぼさに絡まった銀色の髪が、肩の下まで伸びていて、顔を隠している。膝を抱えて、路地の隅の壁に背をつけて、小さく、小さく、縮こまっていた。

 その少女のヴァリューを見た俺は、思わず足を止めた。

【ヴァリュー:-8,720,441】

 マイナス。八百七十二万。

 (マイナスって……何だ?)

 石ころでも1はある。飛んでいる虫でも0.5くらいはある。この世界に存在するあらゆるものが、正の数のヴァリューを持っている。なのにこの少女の数字は、マイナスだ。しかも八百万以上のマイナスだ。

 もう一度、よく見た。

 ヴァリューの数字の奥に、薄く、別の数字が透けて見えた。まるで二重に重なった印刷のように——。

【本来のヴァリュー: ——— 計測不能 ——— 】

 計測不能。

 俺は息を呑んだ。

 この世界の一番でかい数字は何だろう。あの山が数万だった。人間の最大値がどれくらいかはまだわからないが、おそらく数千万かそれ以上か。なのにこの少女の「本来のヴァリュー」は、計測不能——それを超えている、ということだ。

 では、マイナスの数字は何だ。

 (……封印、か。本来の数字を、誰かが意図的に隠している。マイナスの数字は、借金みたいなものじゃないか。本来のヴァリューを担保に差し出して、その分の負債をこの子に背負わせている——)

 考えている間に、路地の奥から声が聞こえてきた。大人の男の声が、二つ三つ。

「いたいた、厄病神」

「早く出ていけ。お前がいるだけでこっちのヴァリューが下がる」

「そもそも街の中に入れるな、こういう奴は。規則で弾けよ」

 三人の男が、少女に向かって石を投げた。

 石は少女の膝のすぐ横に落ちた。少女は顔を上げなかった。震えてもいなかった。ただ、ぎゅっと膝を抱く腕に力が入っただけだった。

 男たちのヴァリューを確認した。【6,100】【5,400】【4,900】。門番よりは少し上。それなりの市民か、商人か。

 そして俺の中で、何かがすっと冷えた。

 三十二年間、俺はずっとこういう場面を見てきた。本当の価値を見ようとせず、表面の数字だけで人を判断する奴らを。あの時、維持費のことを考えずにミニバンを買ってしまった客に、「もっと安い車の方がいいですよ」と言えずに黙っていた同僚たちを。

「やめろ」

 気づいたら、声が出ていた。

 三人の男が、きょとんとした顔をした。視線がうろうろと動く。俺の方を向いているはずなのに、焦点が合わない。俺のことが見えていないからだ。

「誰だ?」

「声だけ聞こえる……?」

「幽霊か?」

 三人が明らかにたじろいだ。ヴァリューのない俺は、彼らには「声だけが聞こえる何か」として認識されている。

 俺は三人に向かって、はっきりと言った。

「お前たち三人のヴァリューを俺は見ている。六千と、五千と、四千九百。たいした数じゃない」

「な……」

「だがあの子のヴァリューは、計測不能だ。お前たち三人分を足して、さらに万倍しても届かない」

 でたらめを言っているわけじゃない。俺には本当にそう見えている。

「お前たちが石を投げているのは、自分たちが一生かけても届かない価値を持った存在にだ。それを理解した上で、もう一度やるというなら、やればいい」

 沈黙。

 三人は顔を見合わせて、足早に路地を出ていった。

 静かになった路地で、俺は少女の前にしゃがみこんだ。

 少女がゆっくりと顔を上げた。

 右目が、蒼い。左目が、金色だ。

 その二色の瞳が、まっすぐに俺を見た。俺を、ちゃんと、見ていた。

「……見えるの?俺が」

 少女が、こくりと頷いた。

「見える」

 静かな声だった。声に似合わず落ち着いた、どこか疲れた声。

「あなたには値段がない。値段がない人が見えるのは、わたしだけ」

「……なんで」

「わたしも、ちょっと普通じゃないから」

 少女は、自分のヴァリューが表示されている場所を指差した。もちろん俺にしか見えないはずだが、彼女はその位置を正確に示していた。

「わたしのヴァリューは、マイナス。この街で、唯一の。だからみんな、わたしを怖がる」

「……お前のことが、見えるのか」

「見える。ヴァリューがゼロ以下の存在は、お互いに見える。わたしはマイナス。あなたは空白。どっちも、この世界の法則の外側にいる」

 俺は少しの間、この少女を見つめた。

 マイナスのヴァリューを背負って、街の人々に石を投げられ、路地の隅で膝を抱えている。震えもせず、泣きもせず、ただ静かに耐えている。

 (……この子は、本来は計測不能の価値を持っているのに)

「名前、聞いていいか」

 少女が、少し間を置いてから答えた。

「……ネル」

「そうか。俺は甲治。相場甲治」

 手を差し伸べた。

「お前の本当のヴァリューは、俺には見える。だからまあ——とりあえず、飯でも食いに行こう」

 ネルが、目を丸くした。ぽかんと、口が少し開いた。

「……飯?」

「腹減ってるだろ。俺も減ってる。飯食いながら話せることもあるだろうし」

 少女はしばらく俺の手を見ていた。

 それから、ゆっくりと、手を伸ばしてきた。

 細い手だった。ひどく冷たかった。何日もまともに食べていない人間の手の感触がした。

「……お金、あるの?」

「ない」

「じゃあどうするの」

「なんとかする」

 俺は立ち上がりながら、路地の入口を見た。さっきの男たちが落としていった荷物の中に、小さな袋がある。石と一緒に投げつけようとして、落としたらしい。

 袋を拾い上げた。中を確認すると、硬貨が数枚入っていた。ヴァリューのない俺が持っている物には、誰も気づかない。厳密には窃盗かもしれないが、石を投げてきた連中への正当な請求だと思うことにした。

「あった」

「……」

 ネルは何も言わなかったが、目が少しだけ、丸くなっていた。

◆  ◆  ◆

 屋台で買った黒パンを、ネルは三つ食べた。

 俺が二つ食べている間に、ためらいなく、しかし行儀よく、三つ平らげた。よほど腹が減っていたのだろうが、慌てた様子は一切なかった。品があった。育ちがいいのか、単に気が強いのか。

「何日ぶりだ」

「……四日」

「そうか」

 それ以上聞かなかった。聞いても今はどうにもできないことがある。まず目の前の問題から片付ける。それが俺のやり方だった。

「一つ、教えてくれ」

「なに」

「ヴァリューが高いと、何がいいんだ。この世界で」

 ネルは少しだけ考えてから、答えた。

「全部」

「全部?」

「ヴァリューが高いと、いい場所に住める。いいものを食べられる。魔法も、剣技も、知識も、全部ヴァリューで買える。ヴァリューが低いと、街にすら入れない場所もある。ヴァリューが一定以下だと、法的な保護を受けられない国もある」

「……ひどい世界だな」

「そういうものだって、みんな思ってる」

「お前はどう思う?」

 ネルが、少しだけ間を置いた。

「……わからない。わたしは、最初からマイナスだから。普通を知らない」

 俺はパンを一口食べながら、この街の景色を眺めた。道を行く人々のヴァリューが、数字となって見えている。三千、四千、一万、八百——。

 値段で決まる世界。値段で測られる存在。

 (……前の世界と、大して変わらないな)

 売り上げ、偏差値、フォロワー数、年収。前の世界にも、あらゆる数字があった。人間を数字に還元して、数字で序列を決める仕組みが。

 そしてその数字からはみ出した人間が、どういう扱いを受けるかも、俺は知っていた。

「ネル」

「なに」

「俺は、お前の本当のヴァリューを見た」

 ネルの目が、静かにこちらを向いた。

「マイナスの数字の奥に、別の数字がある。計測不能って表示されてた。この世界の尺度じゃ測れない価値が、お前の中にある」

「……嘘」

「嘘じゃない。俺はこれが見える。それだけが、今の俺の取り柄だ」

 ネルは、長い間、俺を見ていた。

 その目が、じわりと、滲んだ。

 泣くのかと思ったら、泣かなかった。ぐっとこらえて、唇をきつく結んだ。

「……証明できる?」

「いつかな」

「いつかって、いつ」

「わからん。でも、俺が諦めるより先に諦めたら、その時は一緒に落ち込もう」

 ネルが、ぽかんとした顔をした。

「……変な人」

「よく言われる」

「値段もないのに、よくそんなに落ち着いてられる」

「俺の値段は、俺が決める。そう思ってるから」

 ネルはまた黙った。今度は少し長く。

 それから、ぼそりと、こう言った。

「……わたしの値段も、わたしが決めていい?」

「当たり前だろ」

 俺は即答した。

「この世界が決めた値段なんか、関係ない。お前の本当の価値は、お前と、俺と——あとは、これから出会う奴らが決めればいい」

 路地から、風が吹いてきた。ネルの銀色の髪が、ふわりと揺れた。

 その瞬間の彼女の顔を、俺はこれから先、長い旅の間、きっと忘れない。

 生まれて初めて、誰かに値段を決めてもらえると知った少女の、戸惑いと、安堵と、かすかな希望が混ざった、あの顔を。

◆  ◆  ◆

 その日の夜、俺は街外れの廃屋でネルと一緒に眠った。

 眠る前に、ポケットを探ったら、何か固いものが指に触れた。

 取り出してみると、古びたコインだった。

 どこで拾ったのか、全く記憶がない。気づいたら持っていた。

 表面は磨耗していて、何が描かれていたかもわからない。ヴァリューを確認しようとしたら——コインの上には、数字が表示されなかった。俺と同じ、空白だった。

「……変なコインだな」

 捨てるのも何だかもったいなくて、ポケットに戻した。

 裏返した時、かすかに何かが刻まれているのが見えた。摩耗して読めない文字の中に、一つの紋章のようなものが。

 俺にはその紋章に、見覚えがあった。

 今日、街に入る時に見た、城門の上に掲げられていた——あの紋章と、同じ形だった。

「……まあ、いいか」

 深く考えるのは後回しにして、俺は目を閉じた。

 明日は、この街でヴァリューを稼ぐ方法を考えなければいけない。ネルの食い扶持も確保しなければいけない。何から始めるか、段取りを組まなければいけない。

 やることは山積みだ。

 でも不思議と、悪い気分じゃなかった。

 前の世界で最後まで持ち続けた「本当に合う相手に、本当の価値を届けたい」という気持ちが、この世界でなら形にできるかもしれない。そんな予感が、じわじわと胸の中に広がっていた。

 値段のない男が、値段のない世界を旅する。

 そこに何があるかは、まだわからない。

 ただ確かなのは——この旅は、始まったばかりだということだ。

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になった方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

コメントも頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ