表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界:ジェネラルブラッド  作者: 徘徊猫
幕間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/65

煌めきに触れて その1

「ライブ、ですか?」

 イロハは差し出された券をみながら、首を傾げる。


 アリアはイロハの姉妹の遊び相手をしながら、事情を説明する。

「そう、友達から誘われたけど忙しくて。小さいところで、近くに遊べるとこもあった気がするし…興味あるなら行ってみても良いんじゃない? 誰か適当な人でも誘って」


 イロハは近くにいた院長へと視線を向けるが、院長は首を振った。

「好きに誘うといい。だが、私は遠慮しておこう。体力が持たない…」

 

 *


 イロハは待ち合わせをしながら、緊張から落ち着かなかった。時間は間違っていないか、場所は間違っていないか、変に見られないか……頭のなかで何度も確認しても、そういった不安は拭えない。


 そんなイロハの様子が、余計に周囲の視線を集めていたたまれない雰囲気になっていた。


 そんな感情も、こちらに近づく影を見ればすぐに消えた。

「すまない、待たせたかな?」

「いえ、丁度時間通りですよ。ヒスイさん、コハクさん」

「誘ってくれてありがとね。にしても、アレは何?」

 コハクは遠くからサングラスをかけ、くつろいでいる女性を指さした。


「院長さんです。…ライブは見ないらしいですけど、送迎をしてくれるって。よろしければ、帰りは一緒に帰りませんか?」

「そうね、見終わった後は特に用事もないし。ヒスイもそれでいいでしょ」

「そうだな」


 ライブといっても、アングラな雰囲気のある場所で人々は好きなように居座って、誰かがステージに上がるたびに盛り上がっている。


「まるでこないだのパーティーみたいですね」

 誰もが好きなように振る舞って、楽しそうな表情をしている。ただ、その空気に当てられたのか、イロハは少しずつ高揚感に目眩がした。


「少し離れた場所で休もうか?」

 ヒスイの言葉に、イロハは頷いた。

 二人で端の方にあるバーカウンターのような場所まで行くことにした。そこで冷たい飲み物を買って、ヒスイはイロハに渡した。


「すみません…あんまり、人が多いところは慣れてなくて」

「いや、俺も同じだ…。こういった熱気には弱いのかもしれないな」

 イロハはもらった冷たい飲み物を頬に近づけて、冷たさを感じていた。ひんやりした冷たさが、心地良い。


 *


 暫く休憩すると、少し慣れてきて周囲を見渡すと、同じくらいの年齢の少女が音楽に耳も傾けず、つまらなさそうに手元で何かをいじっていた。

 少し好奇心も湧いてきて、イロハは話しかけることにした。


「こんにちは、何をやっているんですか?」

「別に、何も」

 近づいてみると、ギコギコと機械の音がする。

 しかし、当の少女は無愛想に答えた。


 暫くその様子を見ていると、不機嫌そうな視線がイロハに向けられる。

「あんたみたいな、良いとこそうな子が何のよう?」

「いえ。何をやってるのかなあと興味が湧いて…」

「あっそ」


 それで興味をなくしたのか、少女は再び作業に戻った。よく見ると手元で機械を修理しているようだった。イロハは時間を忘れるくらいその様子を見ていた。周囲の喧騒も、聞こえないくらいに。

 そして、少女がその手を止め、顔を上げると変わらず

「……あのさ、いつまでそうしてるの」

「あれ、もう終わったんですか?」

「見せ物じゃないんだけど」


 少女は荷物を抱えると、少し離れた席へと移動した。イロハもそれについていく。

「ヒヨコか、何か?」

「可愛いですよね」

「そういう意味で言ったわけじゃないんだけど」


「暇なら何処か遊び場にでもいけば良いんじゃない? ここらへん、色々あるんだから」

「おすすめってありますか?」

「さあ? 適当に回って、楽しいところがあれば良いんじゃない? って、何で私の手を─」

 イロハは少女の手を取って、飛び込むように外へと駆け出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ