第87話
翌日、職員室でいつものように授業の準備をしていると、俺宛てに手紙が届けられていたらしく、丁寧に蝋で封がされている白い便箋を受け取った。書かれていた差出人の名前を見ると「ノーネ・ホプキンス」となっていた。
ノーネからか、一体何だろう。俺はそう思いつつ封を剥がし、中に入っていた便箋を取り出し広げ、そこに書かれていた丸っこくて可愛らしい文字を眺めた。
『親愛なるアルへ
新しくわかったことがあるので、取り急ぎ、簡潔に書きます。
魔物化現象が起こった日、家を勘当になったブーゲンビリア王国の元貴族令嬢、ブルーエ・フォン・サンデリアーナという女性がレイクレイン領を訪れていたことがわかりました。彼女は父親であるサンデリアーナ公爵などにも黙って怪しげな噂のある研究所への出入りの他、資金提供をも行っていたらしく、更には人体実験などにも加担していた疑惑もあるようです。これが何を意味するのかまではわかりませんが、伝えておきます。
追伸 また会いに来てね』
「ブルーエ・フォン・サンデリアーナ……」
声に出してみるが、聞き覚えの無い名前だった。外国の貴族だし当然と言えば当然なのかもしれないが。
とにかく、直接行って確かめるしかない、か。
俺は改めて、決意を固めた。




