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第78話

「お前は……ドラゴン……なのか」

「ああ。もっとも今は『誓約』によって、元の姿には戻れなくなっているがな」


 俺の確認に、魂壊竜を名乗った女の子は胸を張って堂々と肯定した。誓約、というのも気になるが、もっと気になる事があるので、俺はそれを聞く事にする。


「ブーゲンビリアを一度滅ぼしかけたと聞いているが、本当か?」

「本当だ」

「どうしてそんな事を」

「それが我の役目だったからだ」


 迷いなく、女の子は言い切った。


「役目って……」

「だが今は違う。世界を滅ぼすのではなく救うと、我は約束したからな」

「誰とだよ」

「世界を救うと豪語していた馬鹿なロリコンとだ」

「ロリコンかよ!?」

「ロリコンで何が悪い!」


 開き直られた。


「貴様もロリコンになれ。総ての人間がロリコンとなれば、自ずと世界平和となる」

「なる訳ないだろ!」


 ダメだ。この子の思考回路が全く理解出来ない。人間じゃないから話が通じないとはあまり思いたくないが、ドラゴンはみんなそんな思考をしているのだろうか。


「愚かだな。幼女に優しく無い世界なぞすぐに滅びるに決まっているだろうが」

「そりゃそうだけど! それはともかく、俺たちはブーゲンビリアにある研究所に行きたいんだ」


 まともにやりあっているとキリが無さそうなので強引に舵を切るかのように話を転換させた。こうでもしないと、ロリコンだと頷くまで問答を続けさせられそうだし。


「研究所か。しかしウェリカの持つ力は研究所由来のものでは無いと思うぞ」


 魂壊竜がいつの間にか俺の背中に隠れるように立っていたウェリカを覗き込みながら言った。


「あ、いや。この子じゃなくて、他の子だ」

「てっきりウェリカ絡みの事だと思っていたのだが、そうではないのか」

「それにすぐ行くって訳じゃない。他にもやらなきゃいけない事も多いからな」

「そうか。どうやら早とちりし過ぎたようだな。せっかくガランスも連れて来たのだが」

「ガランス……!?」


 その名前を聞いて、ウェリカがぶるっと震えだす。確かガランスは――。


「婚約の話は無かった事になったはずだろ」

「…………別に……蒸し返しに来た訳じゃ……ないんだ……」


 俺が不快感を隠さずに言うと、なぜかは知らないが満身創痍と言ったように、髪型を崩し、息を切らした当の本人――ガランス・フォン・ブーゲンビリア王子がよろよろとドア枠を掴みながら姿を現した。


「だけど……一旦休ませてくれないかな……片腕を掴まれたまま空を飛ばされ続けて……ボロボロで……クタクタだから……うっ」


 そう言ってガランスは糸がプッツンと切れたかのように倒れた。


 ……とりあえず、回復魔法を掛けてあげた方が良さそうだ。

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