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第62話
「こんな雨の中二人で相合傘なんて一体全体どうしたのよ……?」
馬車から降り、ウェリカが雨の中立ち尽くしていた二人に動揺を隠さずに尋ねた。
「お久しぶり……って感じでもないですね」
ウェリカより少し遅れて俺も馬車から降り、神妙な面持ちのシンシュさんに頭を下げる。レイノには……。
「レイノ、えっと……」
口を動かしながら、何と声を掛ければ良いか考える。俺を避けている理由がわからない以上、どう接するのが正解なのかもわからなかった。
「……ごめんなさい」
言葉の続きを紡げずに逡巡していると、レイノが小さな声で、でも確かに、俺にそう言ってきた。
「先生の……家族を……殺したのは……私、なんです……」
刹那、傘が石畳の地面に落ちる音がした。
そうして沈黙が広がった空間には、ザーザーという雨音が、無情に鳴り響いていた。




